こんにちは、寝袋!です。
登山は、山という静かな環境へ出かけていく遊びです。
人が誰もいなければ、そこには雑音がなく、自然の音があるだけです。
風に揺れる木々のザワザワ。
沢を流れる水のサラサラ。
それを邪魔するのは、あなたも含めた私たち登山者です。
みんなが山を楽しむことを邪魔する、みんなの音。
登山では、音に関するマナーはとても大切です。
基本的なことはみなさんわかっているのに、案外周囲からは、
「あの人うるさい!」
と思われているかもしれません。
「たてる音に対する認識の違い」を知っているかどうかが、マナーの分かれ目です。
「私はマナーを守る、よい登山者でありたい!」
と思っている人は、ちょっと読んでみてください。
「あ、そこまでは気付いていなかった!」
ということが、1つでもあれば幸いです。
目次
登山最大の音「熊鈴」のマナー
みなさん、基本的にはあまり音を立てないように心がけているでしょう。
例外として、わざと音を出しているものがあります。
それは、熊鈴(ラジオや笛も含む)です。
熊との遭遇を防ぐために、熊鈴を付けている人は多いです。
とくに、私の住む北海道の山々では、必須のアイテムと言われています。
チリーン、チリーン。
遠くから人が近づいてくると、姿が見える前から熊鈴の音が聞こえます。
熊鈴は、鳴らしている本人が思っているより、ずっと遠くまで聞こえています。
ところが、
「熊鈴は、使うべきものだから」
と、誰にも遠慮せず使う人が多いです。
「熊鈴は、うるさくても仕方がないでしょ?」
と、考えている人が多いのではないでしょうか?
熊鈴は小屋やテント場を離れてから
熊鈴は、とても耳障りです。
熊鈴を鳴らすのは、歩きだして小屋やテント場を離れてから鳴らしましょう。
小屋の中から、ザックの熊鈴をチリンチリンと鳴らしながら行くのは、マナー違反です。
まるで、
「私はこれから出発しますよ!」
と、他の人に知ってほしいのかと思うほどです。
小屋やテント場のすぐ近くに、熊はいませんから!
- ザックのサイドポケットにしまう
- 手でつかんで音を止める
などで音を鳴らさず、じゅうぶん離れてから鳴らし始めましょう。
会話中は音を消す
山の中で他の登山者と出会って、立ち話になることがあります。
そんなとき、すっと手のひらで熊鈴をつかんで、音を消してみてください。
チャリチャリと金属の擦れる音をバックにではなく、自然の音をバックに会話を楽しんでください。
こちらが熊鈴を止めると、相手もハッと気付いて、同じように止めることが多いです。
熊鈴は、「止めて初めてそれまでのうるささに気づく」んですね。
同じことは、山頂などの休憩中にも言えるでしょう。
山頂に近づいて人がいるとわかったら、私は熊鈴を外してポケットに仕舞います。
そして、山頂を出発してしばらくしてから、また熊鈴を付けるのです。
時々、付け忘れることもありますが(笑)
多人数では数を減らす
グループで登る場合、熊鈴を減らしましょう。
山の中で、数人のグループにすれ違うことがあります。
すれ違うあいだじゅう、チリンチリン、チリンチリン、ものすごくうるさいです。
そういう場合、先頭と最後尾だけにするなど、配慮が必要です。
「◯◯さんと△△さんだけ熊鈴付けて。あとの人は外しましょう」
そんな出来たグループ(リーダー)に出会うと、嬉しくなります。
むしろ、
「大人数で話しながら行くのだから、熊鈴なんていらないでしょ?」
とも思うのですが、「強制は出来ないかな」と思っています。
ホテルでも気をつけて
登山者のみなさんは、なぜかホテルでも熊鈴を鳴らしながら歩いてしまいます。
朝早くから、廊下をチリンチリン鳴らして行くのです。
「ホテルの中には、熊はいませんから!」
一般の人から、
「登山者はマナーが悪くて、うるさい」
と思われるのは悔しいです。
登山の音に関するマナー
さて、「わざと音を出す」熊鈴(ラジオ、笛)に対して、「立ててしまう音」について考えてみましょう。
山でよく言われる迷惑な音というと、
- ビニール袋のガサガサ音
- 食器などのカチャカチャ音
- 荷物整理のゴソゴソ音
などがさっと思い浮かびます。
他にも、山小屋の中を歩く音や、咳、くしゃみ、いびきなどもあります。
他人にはうるさい音
どれも気をつけていても、「ついうっかり」出してしまう音ですよね。
時々、まったく周囲の迷惑に気付かず、やりたい放題ガサガサ、ゴソゴソ、挙句の果てに
「ハックショーーン」
と、盛大に騒がしい人もいます。
そんな人は問題外!
マナーうんぬんではなくて、ルール違反です。
誰かから注意されたり、怒られたりするまで理解しない人です。
基本的認識の大きな違い
さて、私がお話したいのは、マナーについてです。
私が長年、山で観察してきた結果、あることに気づきました。
登山者は、音に関して、大きく2つにわかれます。
どういう違いがあるかを「歩く音」を例に出してお話しますと、
- 走ったりしないで、普通に歩く
- 抜き足、差し足、忍び足
という違いです。
「ビニール袋」を例にすれば、
- ビニール袋はうるさいので、あまり触らないようにする
- ビニール袋をポシェット・スタッフバッグに変える
という違いです。
「早朝出発」を例にすれば、
- 他の人が寝ているので、なるべく素早くパッキングする
- 荷物を全部外に運んでから、外でパッキングする
という違いです。
おわかりでしょうか?
まとめてみますと、
- 自然に出てしまう音は、仕方がないと思っている人
- 自然に出てしまう音を、なるべく小さくしようと思っている人
です。
1の人は、傍若無人に騒音を立てるような人ではありませんし、なるべく静かにしようと考えている人です。
マナーを守ろうと頑張っている人で、悪い人ではありません。
しかし、残念ながらマナー違反です。
あなたも「うるさい人」じゃない?
「1」の人は、悪い人じゃないのに、
「あの人、うるさかったね」
「うん、迷惑な人だった」
と思われています。
もしかして、あなたもそうじゃないですか?
騒音をたてる人と違って、注意されることも怒られることもないでしょう。
でも、迷惑だと思われている人なんです。
音に関するマナーが出来ている人というのは、
可能な限り、音を立てないように努力している人
のことです。
良いマナーは伝染すると信じています
こうして書いている私だって、周囲には「うるさい人」と思われているかもしれません。
たとえば、
- テントペグを抜いた後、投げ捨てないでそっと置く
- ビニール袋はいっさい使わない
- 山小屋ではなるべく寝返りを打たない
- くしゃみは口をふさいで(これは当たり前)
- ガスから固形燃料に変えた
など、自分では精一杯やっているつもりですが、それでも音は出てしまいますから。
「山に遊びにいってるのに、そんな窮屈な思いはしたくないよ!」
と思われる人もいるでしょう。
でも、良いマナーは、それを見ている人に伝わると信じています。
それを見た人が、今度から真似をするかもしれないと思っています。
極端に言えば、みんながマナーよくなれば、自分が気持ちよく山に行ける!
誰のためでもなく、自分のためです。
「おれ、正しい行いで世界を変えるんだ!」
などという、遠い未来のことではありません。
少人数しかいないテント場や山小屋では、その日だけかもしれないけれど、みんなが気にするようになりますよ。
「あ、音をたてちゃダメだな」
という空気が、場を支配するのです。
音だけにかぎらず、
あなたがマナー良ければ、あなたが気分良く過ごせる
のです。
みんなで山を快適に楽しもうではありませんか!