こんにちは、寝袋!です。
私は毎年、数多くの登山者と知り合います。
そのなかでもユニークな人というのは時々いるのですが、
「こんな人は初めてだ!」
と感じた、ある若い女性登山者Aさんについてお話しします。
Aさんは言いました。
「私はいつもご年配と一緒に登りますが、いいことづくめなんですよ」
興味本位で理由をたずねたのですが、私も「なるほど」と納得してしまいました。
登山界では、とかく邪魔にされてしまいがちなのが高齢者、とくにグループです。
彼女があえて、高齢者グループに入って山を登る理由、「あり」です。
目次
Aさんはこんな人です
まずはかんたんに、Aさんがどんな人なのか説明しますね。
Aさんは20代後半の女性です。
旅行や登山が趣味で、明るくて活発な人です。
仕事はフリーランスの語学教師で、比較的時間が自由になるらしいです。
Aさんは、登山を始めてからは数年経っていますけれど、休みには旅行に出る場合も多いといいます。
Aさんが入っているグループ
さて、そんなAさんが私のペンションに泊まりに来たのも、じつは登山目的ではなく観光でした。
北海道への一人旅だったのです。
お話していると、
「これから帰ったら、私、登山行くんですよ」
とおっしゃいます。
「へえ、登山も1人?」
と聞くと、
「いえ、私は年配の登山サークルに入れてもらってて、その人達と一緒に行くんですよ」
と答えられました。
「え? ご年配の登山サークルに入ってるの?」
高齢者の中に若者1人
「ええ、私以外はみんな若くても60歳ぐらいで、たぶんほとんど70歳近いと思います」
うーん、不思議です。
どうして、そんなグループに参加することになったのでしょう?
「ちょっと詳しく聞いていいですか?」
私はAさんに、根掘り葉掘り質問攻めにしたのでした。
Aさんいわく、
「年配の方々と登ると、私にはいいことづくめなんです!」
Aさんがおっしゃる理由を、順を追って説明します。
マイペースでちょうどよい
「年配の方々と登ると、のんびりしてて私にはちょうどいいペースなんです。といっても、実は私のほうが遅いくらいですけどね」
Aさんは歩くペースが遅いので、ご年配のゆっくりと歩くのが、合っているのだそうです。
同世代の人と行くと、
「ガッと登ってサッと休憩して、またガッと登る」
のですが、
「マッタリ歩いて休憩もマッタリ、最初から最後までマッタリ」
で、いいんですって。
また、登る山もサークルの方が選ぶのが、
- 比較的近所の低山
- ハイキング程度のもの
が多くて、ゼーゼー言って登ることはないんだそうです。
日常の緊張感から解放される
「同世代だと、話す内容がついついリアルな話題になってしまうでしょ? ご年配の話題はそうじゃないので」
Aさんは友達と登ると、せっかく山に来ているのに、話がつまらないのです。
ついつい、近況報告や共通して興味のある話題になってしまうのです。
それが、イヤというわけじゃないけれど、世代の違う人と登ると、
「庭仕事とか、料理とか。サラッと聞き流せる話題が多くて、会話に気を使わない」
んですって。
いつも食べ物がいっぱい
「みなさん、漬物とか果物とか、自分じゃ重くて持っていかないような食べ物、いっぱい持っていくんです」
ですから、
「これ、食べる?」
と言って、差し出されるものがとにかく豊富なんだそうです。
そして、たいてい手作りのものが多いので、美味しいんだとか。
私、ご年配と登る山が大好きなんです。
Aさんも、最初からそういう狙いがあったわけではないそうです。
たまたま山で知り合った人たちと話しているうちに、
「よかったら、今度一緒に行かない? みんな年寄ばかりだけど」
と誘われたのです。
一緒に行ってみたら、思ったよりも楽しくてリラックスできました。
「あ、私はこういうハイキングが合ってるんだな」
と、今では他にももう一つ、年配の登山サークルにも所属しているんだそうです。
年配の方は、ずっとマイペースで登り続けるのがお得意です。
私も山でそれを感じることが多いです。
それは、若者同士で登っていると、案外身につかないもので、勉強になりますね。
- のんびり登山でリラックスできる
- 話を合わせる気遣いがいらない
- 美味しいものを食べられる
そしてじつは、Aさん自身は意識していませんが、
「一定のペースで歩くことも学びながら」
歩いているのです。
登山の初心者にとって、高齢者のグループ登山は、いい入り口かもしれません。