こんにちは、寝袋!です。
今回は、ある登山者が、
登山道で超汚い帽子を拾ってしまった
ことから始まる出来事を、お話しましょう。
普通ならば登山道の落とし物は、
- 登り⇒近くの木などにわかるように置いておく
- 下り⇒登山口まで持って降りてあげる
のどちらかでしょう。
ところが、この帽子が「超」のつく汚れ方で、触るのも気がひけるものだったのです。
拾った登山者の奮闘と、その帽子の行方の物語です。
まさに「汗と涙の物語」ですよ。
この話の登場人物
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まず最初に、この物語に出てくる登場人物をご紹介します。
Aさん(女性) | 私のペンションから2泊3日で周回縦走に出かけました。帽子を拾った人です。 |
Bさん(男性) | Aさんと同じ日程で出かけました。帽子を落としてしまった人です。 |
私 | おふたりが前泊したペンションのオーナーです。 |
下山時に超汚い帽子を見つけてしまう
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Aさんは、3日間の縦走を終えて、登山口へ向けて歩いていました。
すると、前方の登山道のど真ん中に、何かが落ちているのに気付いたのです。
第一印象は、
「ボロ布? それともタヌキの死体?」
だったそうです。
近づくとそれは、ものすごく汚れた帽子でした。
正直、触るのも嫌だったそうなのですが、同時に、
「あ、Bさんの帽子だ!」
と気付いてしまったのだそうです。
3日間一緒に山で過ごして、言葉を交わしたので、そのまま素通りするのは気が引けます。
しかも、この帽子はBさんが、
「長年ずっと使ってきた愛用の帽子」
だと聞いていたからなおさらです。
無視できない・・・よね?
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Aさんは、帽子を持ち帰ることにしました。
ただし、ドロドロに汚れていますし、汗でしっとりと濡れていますのから、
「ザックに入れるのはもちろん、外にぶら下げるのも匂いそうでイヤ」
でした。
そこで、顔をしかめながら、木の枝を拾って帽子をつまみ上げました。
そしてコンビニ袋に収納して、口を固くしばってザックに下げることにしました。
ペンションに預けられる
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帽子を落としたBさんは、下山後そのままどこかへ移動してしまいました。
Aさんは下山後の後泊も、私のペンションに宿泊することになっていました。
ここでAさん、この「お荷物」を、私に預けることにしたのです。
「私は渡せないので、どうかBさんの住所に送ってあげてください」
ペンションには宿帳がありますから、たしかに私は、Bさんの住所がわかるのです。
Aさんは大笑いしながら、
「絶対触りたくなかったけど、なんとか持ち帰ってきましたよ! ほんと、ゴミかと思いましたから」
と、満足げです。
Aさんは解放されて、さぞ、気分もよかったのでしょう。
縦走後ということもあって、ビールが美味しそうでした。
今度はこの「お荷物」を、私が背負い込む番です。
そのまま送る? それとも・・・
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さて、この帽子をBさんに送るのはかんたんな仕事です。
でもここで、1つの迷いが頭に浮かんだのです。
「このまま汚れたまま送るべきか、一回洗濯してから送るべきか?」
このまま送っても問題ないのですが、なんだか少し後ろめたい気持ちです。
「仕方がない、洗ってあげるか・・・」
本当は使いたくないですが、家庭用の洗濯機に帽子を放り込んで、洗濯機にかけました。
洗濯水は、一瞬で真っ黒。
「いったい、いつから洗っていなかったんだろう?」
私の登山用品を洗っても、こんなに汚れないぞ?(笑)
洗い終わったら乾燥させて、それから梱包してBさんに送ってあげました。
その帽子がどうなったかは不明です
Bさんからは返事はありませんでしたし、Aさんもこの帽子のことなんて忘れてるでしょう。
Bさんは、今でもあの帽子を使っているのでしょうか?
それとも「汗と涙の染み込んでいない」帽子には、もう愛着がなくなってしまったでしょうか?
返事がなかったですから、もしかすると、
「私の帽子を洗ってしまって、余計なことしてくれた」
と怒っているかもしれません(笑)
Bさんはとても愉快で楽しい人でしたから、私もAさんも、嫌な思いをしたのに、不思議と怒りは湧きませんでした。
Bさん、今頃どうしていることやら。