こんにちは、寝袋!です。
私が出会った一般の登山者たちのなかから、面白いと思った人や体験談を紹介させてもらっているこのカテゴリー。
世界が違う有名登山家より、もっと身近で、等身大の登山者さん。
「ああ、わかるわかる」
同じ登山仲間として、共感を呼ぶのはむしろそういう方たち?
さて、今回は、関東を代表する初心者向けの低山のひとつ、筑波山で、遭難しそうになった人の体験談をお伝えしたいと思います。
山頂から下山直後、自力では一歩も動けない状態になってしまった。
周りにも人がたくさん、山岳保険にも入っているので救助ヘリだって呼べる。
それなのに、
「どうしても救助要請できなかった」
とその時を振り返り、激痛に耐えて自力下山した理由とは?
筑波山について
筑波山は標高877mで、関東平野にポツンと目立つ低山です。
日本百名山の一つですが、その中では最も標高の低い山となっています。
登山者以外にも、ケーブルカーやロープウェイで山頂直下まで上がることが出来て、観光客で賑わう山です。
サクサクっと登頂!
Aさんは横浜在住ですが、手頃に登れる山ということで、筑波山に登られました。
登山目的ですので、ケーブルカーやロープウェイを使わず、下から歩いて登られたということです。
筑波山は登山コースはいくつかありますが、長いコースでも往復3時間ほどです。
下山開始直後に激痛「動けない!」
30代のAさんにとっては、拍子抜けするほど簡単に登れてしまい、女体山と男体山(筑波山は2つのピークがあります)ともに登ったそうです。
「まだまだ登り足りないなあ・・・」
と物足りない感じもありましたが、売店で買い物をしたり写真を撮ったりして、下山にかかりました。
この筑波山、行かれた方は御存知の通りでしょうが、とにかく観光客が多い観光スポットです。
真面目な登山の格好でそこにいるのがバカバカしくなるくらい、軽装やサンダル履きの人であふれているんですよね。
騒々しくて山の静けさなどとは無縁ですから、Aさんも長いはせずに離れることにしました。
そのときです。
ベンチから腰をあげてザックを持ち上げた瞬間、Aさんの腰に激痛が走りました。
ほとんど空っぽで、軽~いザックだったとうことですが、Aさんはそこで一歩も動けなくなってしまったのです。
いわゆるギックリ腰というやつですね。
「これがギックリ腰というやつ? イッテー!!」
周囲には人がいる・・・でも
Aさん、あまりの激痛で、耳が遠くなったように感じて、それまで周囲にあふれていた雑音が、消えたと感じたそうです。
私はギックリ腰はいまのところ無縁ですが、ものすごい激痛なんでしょうね。
Aさんはなんとかベンチに腰をおろして、激痛に耐えました。
ソフトクリームを食べたりする観光客は、もちろんそんなAさんに気づくことはありません。
「いざとなれば、誰かに声をかけようか・・・?」
と考えたそうです。
ヘリも呼べる・・・でも
Aさんは全国の山に登るので、山岳保険にもしっかりと加入していたということです。
いざとなれば、救助要請すれば助けてもらえますし、費用も心配はありません。
携帯電話ももちろんバリバリ通じますから、いつでも呼べる状況でした。
ケーブルカーもある・・・でも
さらにいえば、そこは観光客用のケーブルカーがあります。
視界に入っている駅(たった20m先)まで歩くことさえ出来れば、駐車場まで一気に下山することだって出来ます。
自力下山しました
でも、Aさんは2時間ほどそのベンチで座ったまま、腰の回復を待ちました。
2時間ほど経つと、腰の激痛も少しおさまり、なんとかヨボヨボと歩くことが出来るようになったそうです。
念のために持っていたロキソニン(痛み止め)を飲んで、痛みに耐えつつ、歩いて下山できました。
一歩一歩が恐ろしくて、まるで地雷原を歩いているような、そんな気分だったということです。
「どうして助けてもらわなかったんですか?」
と聞くと、Aさんは笑ってこう言いました。
「救助要請して、サンダル姿の観光客に囲まれたところで、救助隊員とかヘリとかで運ばれる自分を想像すると、あまりに恥ずかしくて・・・(笑)」
「ケーブルカーは少し考えましたけど・・・」
たしかに、ある意味登山者人生を終わらせ、一生消えない汚点になったかもしれませんね。
自分だったらどうしたかな?
まあ、判断の是非はともかく、無事に下山できましたし、笑い話になってよかったということにしましょう。
恐るべき筑波山、救助隊を寄せ付けない、魔の山かもしれません。
あなたなら、どうしましたか? 救助要請? ケーブルカー? 自力下山?
ああ、だから登山者って面白い!