こんにちは、寝袋!です。
可愛らしい童顔と、「ケンロー」という呼びやすい愛称のクライマー、
中島健郎
さんを記事にしたいと思います。
テレビなどで姿を観る機会が増えてきた彼ですが、彼の雰囲気はクライマーたちのなかでも独特なものがあります。
彼が誰とどのように山へ登っているのか、それを調べていくと、彼の個性が見えてきます。
これからもっと活躍していくクライマーでしょう。
(写真はドイター公式サイトよりお借りしております)
目次
登山家としての実績
彼は、平出和也さんと組んだシスパーレ北東壁登頂の功績が認められて、
ピオレドール賞(登山界のアカデミー賞)
を受賞しています。
他にも、エベレスト、マッターホルン、デナリ(マッキンリー)など登っています。
私たち一般人から見るとすごいですが、クライマーとしては特色があるものではないです。
テレビ番組に同行したり、先鋭的クライマーたちのパートナーとしての登頂が多いからです。
私も彼のことを、人柄などを好んではいましたが、
「クライマーとしては平凡なのかな?」
などと侮っていました。
平出和也さんと一緒に登頂した、シスパーレ北東壁の新ルート開拓で、
「正直、彼を見直した」
のです。
ダウラギリのエピソード
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/02/20190211-img_6020.jpg)
左が竹内氏、右が中島健郎
2014年、竹内洋岳さんが、8,000m峰14座完登をかけて、ダウラギリ(8,617m)に挑みました。
地球には、標高8,000mを越える山が14座あり、それをすべて登ることは、登山家の目指す目標の1つです。
竹内岳洋さんは、2014年にこのダウラギリが14座目でした。
そこで、彼のパートナー兼カメラマンとして同行したのが、中島健郎だったのです。
中島健郎は体調が悪く、7,000m付近で動けなくなってしまいます。
本人はもっと登る意志を示していたのですが、
「これから上に行って、調子がよくなることはないよ。悪いけど、ここで引き返して欲しい」
と竹内洋岳さんに説得され、引き返すことになりました。
竹内洋岳さんは一人で登頂し、疲労困憊で帰ってきたときに、
「ケンローがいないから、苦労しちゃったよ(笑)」
と、穏やかに声をかけていました。
その時は、竹内洋岳さんの優しさを感じたシーンでした。
このときの印象から、
「中島健郎は、クライマーとしてはまだ見劣りするのかな?」
と思ってしまったのかもしれません。
デナリのエピソード
デナリ(マッキンリー、6,168m)にテレビ番組「世界の果てまでイッテQ!」でカメラマンとして登りました。
主役のイモトアヤコが登頂したときは、悪天で景色が悪かったため、翌日、1人でもう一度登って山頂からの景色を収めて帰ってきたのです。
「2日連続で登頂って・・・」
近所の山でさえ「2日連続で登れ」と言われたら嫌なのに、仕事とはいえすごいなと思いました。
中島健郎はクライマーでありカメラマンでもある(平出和也さんと同じ)ので、自分だけで行って撮影できるという強みがあります。
「1人で登った2回目の方が、山を楽しめたんじゃないの?」
と、本人に聞いてみたいところです。
シスパーレのエピソード
シスパーレに登ったときの様子は、NHKの番組で詳しく観ることができました。
平出和也さんの記事を書いたときに、そちらは詳しく書いていますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
今回は、それ以外の中島健郎さんの様子を書いてみたいと思います。
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/02/20180204-3.jpg)
お好み焼きをふるまうシーン
登山の天候待ちの間に、彼がお好み焼きを作って振る舞うシーンがありました。
関西人だけあって、お手の物なのでしょう。
とても楽しそうに作って、食べていました。
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/02/20180204-2.jpg)
「暇さえあれば懸垂」というナレーション
平出和也さんとともに、暇さえあれば懸垂していたようです。
しかし、どちらかというと、平出さんが習慣的にやっているのを「後輩の彼が無理やりやらされていた感」もあって、微笑ましかったです。
苦しそうに笑っているのが、こちらも楽しい気分にさせてくれます。
彼は、そういう雰囲気の人なんだというのが、伝わってきました。
本題の登攀ですが、今回、最後のほうは平出さんがかなり体力を消耗しているのに対し、中島健郎さんは最後までタフで強かったです。
「彼がパートナーじゃなかったら、登頂は難しかったんじゃないだろうか?」
そう思えました。
とくに、テレビでは収録されていない「下山の様子」が、ブルーレイのほうでは観ることができます。
平出さんは消耗しきっていて、
「俺、バテてるから、しっかり確保してくれ」
とお願いして、2人でなんとか下山したのです。
中島健郎、強し!
ほんとうに見直しました。(上から目線ですみません)
このブルーレイは本当におすすめです。
BSで放送されたものも素晴らしかったですが、特典映像も含め、いろいろなシーンが追加されていますよ。
中島健郎が付けていた記録の文字が、最後のほうはほとんど読めないような文字でした。
いかにあの下山がキツくて、ギリギリだったのか、よく伝わってくる映像でした。
彼の特徴
私が彼に惹きつけられる個性、特徴を書き出してみたいと思います。
いつも微笑んでいる
彼はいつも柔らかい印象で、あまり前に出てこないシャイな性格です。
登山で起きる様々な過酷な環境を、他の人達は気合と根性で、力づくで乗り切っていくイメージです。
ですが、彼はのほほんと、淡々と乗り越えていく感じです。
もちろん、彼だって辛いのでしょうが、辛さはあまり感じさせないんですよね。
麦わら帽子を被っている(た?)
若い頃(彼は今も30代前半で若いですが)、いつも麦わら帽子を被っていました。
大きなザックに麦わら帽子という格好で、スゴイところを登っていく姿は特徴的でした。
今は、使っていないようですね。
絵が得意
シスパーレでは、彼が登攀ルートの計画や、登山日記を絵で描いています。
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/02/20180204-カラコルム・シスパーレ_Moment.jpg)
登攀計画
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/02/20180204-5.jpg)
テントがスノーシャワーで埋まったときの絵
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/02/20180204-12.jpg)
平出さんがスノーシャワーで埋まったときの絵
私のような絵心ない人間からすると、何気ないこういう絵が、とてもうまく感じます。
高度順応が苦手
彼は、残念ながら、非常に高所に弱いタイプの人間だと思います。
生まれつきで、強い人と弱い人がいるらしいです。
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/02/20180204-カラコルム・シスパーレ_Moment1.jpg)
つらそう
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/02/20180204-6.jpg)
さらに、つらそう
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/02/20180204-4.jpg)
かわいそうなくらい、つらそう
平出さんが全然平気なのに、彼だけ、とても辛そうなんです。
上で書いたダウラギリのときも、結局は高度順応がうまく出来ずに体調を崩したのです。
彼にはこれからもどんどん活躍して欲しいですが、この「弱さ」を乗り越えなくてはいけません。
こういう弱点を持っているのも、彼の魅力だと私は感じています。
なぜ彼が選ばれるのか?
彼は、なぜいろいろなクライマー、TV番組でパートナーとして選ばれるのでしょうか?
私なりに考えてみました。
撮影が得意
まずはなんといっても、カメラマンとしての腕がいいので、
「記録を撮ってほしい」
ほうの人間からすると、喉から手が出るくらい魅力でしょう。
かつて、平出和也さんも竹内洋岳さんの登山や、三浦洋一郎さんの登山のカメラマンとして頑張っていました。
登れるカメラマン
は貴重なのです。
じつは登攀技術が優れている
クライマー同士の比較は私などには出来ませんが、シスパーレで平出さんが中島健郎にほとんどトップ(先に登ること)を任せています。
いわゆる、エースの立ち位置です。
これは、少なくとも平出さんが
「中島健郎なら大丈夫」
と、登攀能力を認めているということです。
「俺が俺が」じゃない
一般的に、登山家(とくに先鋭的な人になればなるほど)は、ギラギラしていてリーダー的な存在が多いです。
「俺が登ってやる!」
という意欲が半端じゃないのです。
たぶん、そういう人同士が組むと、うまくいかない場面も出てくると思うのです。
チームワークがとても必要なんじゃないかな?
その点、彼は一歩下がって立つような性格のようですし、温和な雰囲気もあって、彼らに重宝がられるのだと推測します。
一言で言えば、
「先輩を立ててくれる、いい後輩」
なわけです。
彼が「自分の山」を登るときが楽しみ
先日、放送された番組で、平出和也さんが、次の目標を前人未到の
K2西壁
に定めて、偵察に行く様子が放送されていました。
パートナーは、中島健郎です。
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/02/20181114-9.jpg)
クレバスに落下したシーン
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/02/20181114-8.jpg)
2人で逆立ちの図
一筋縄ではいかないルートのようで、平出さんが、
「今ざっと見て、行けて半分」
と話していました。
私は、その挑戦が行われるのを、楽しみに待っています。
しかし、ファンとして、もう一つ楽しみにしていることがあります。
それは、シスパーレにしろ、K2にしろ、あくまでも平出和也さんの登山なのです。
もちろん、リーダーとパートナーとで、功績に差が出るとは思ってはいません。
でも、なんというか、
「彼が自分で行きたいと決めて、計画を立てる登山」
を見てみたいと思っています。
どんな山を登るのかなあ?
期待を込めて、これからの彼を見守っていきたいと思っています。