こんにちは、寝袋!です。
北海道大雪山系のど真ん中に、白雲岳避難小屋があります。
北海道ではめずらしく、管理人が常駐している避難小屋です。
素晴らしい景観、豊富な水場、縦走路が交わる要所ということで、大人気の小屋&テント場です。
初めて訪れる方のために、基本的な利用方法を案内します。
とくに水場に関しては、季節ごとに状況が変わりますので、詳しく解説します。
目次
白雲岳避難小屋の場所は?
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2階の様子
大雪山系白雲岳の中腹あたりに、チョコンと盛り上がった丘があり、その上に乗っかるように建っています。
白雲岳避難小屋へは、いろいろな登山口からアプローチできます。
ざっと、
- 旭岳姿見ロープウェー(6時間30分)
- 黒岳ロープウェー(4時間40分)
- 大雪高原温泉(4時間)
- 銀泉台(4時間30分)
と、4つの登山口から、比較的短時間で到達できます。
「山で1泊してみたい」
と考える人には、とてもオススメな場所です。
また、大雪山系を南北(トムラウシ方面)に縦走する上でも、大切な中継点になります。
ずばり、大雪山系でもっとも重要な宿泊地と言っていいでしょう。
白雲岳避難小屋が人気の理由
重要な場所にあることに加え、白雲岳避難小屋が人気の理由は、それだけではありません。
素晴らしいロケーション
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遠くトムラウシを背景に
白雲岳避難小屋は、小高い丘のような場所に建っています。
初めて観た人は、
「おおーーーっ」
と声が出ると思います。
まるで空に浮いているような、中世の古城のような雰囲気と言ったら大げさでしょうか?
「この小屋を観るために登ってきた」
と言う人も多いんです。
管理人常駐
北海道の山では、本州のような営業小屋(有料で宿泊と食事を提供する)はありませんし、避難小屋もほとんど無人です。
管理人が常駐する避難小屋は、数えるほどしかありません。
黒岳石室、羊蹄山避難小屋、幌尻山荘、そして、ここです。
食料などを買えるわけではないですが、やはり必ず誰かがいるというのは、緊急時に心強いものです。
登山道や天候の情報を、アドバイスしてもらえるのは助かります。
豊富な水場
山の上で宿泊する場合、
「その場所に水場があるかどうか?」
はとても重要です。
水場がないということは、登山口から重い水を背負ってこないといけません。
詳しくはあとで解説しますが、ここ白雲岳避難小屋は、とても水が豊富な場所です。
安心感があります。
白雲岳避難小屋の利用案内
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2階建てです。管理人さんの支持に従ってください。
管理人の常駐期間は?
白雲岳避難小屋には、6月から9月まで管理人が常駐します。
6月から9月というと、一般的な登山者が訪れる季節をカバーしています。
「6月から」と言いますが、必ずしも6月1日からというわけではないのでご注意ください。
例年「6月下旬」から管理人が小屋に入って、登山道の案内表示や、水場の掘り出しを行ってくれます。
料金は?
避難小屋の宿泊は、1人1泊2,000円。
テント場の利用は、1人1泊500円です。(2021年より改定されました)
管理人がいない場合や、テント場が雪で埋まっている場合のテント泊の場合は料金を請求されません。
しかし、小屋の維持管理に感謝する心で、「協力金」として納めたいものです。(お金を入れる箱があります)
2021年より、登山道保護に使われる協力金が導入されました。小屋やテント場を利用しない場合でも、1000円のご協力が求められます。
登山前の問い合わせ先は?
- 上川町役場産業経済課商工観光グループ(01658-2-4058)
トイレについて
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風が吹くと揺れるので、途中で飛ばないか不安になります(笑)
白雲岳避難小屋には、バイオトイレがあります。
当然、汚物以外の処理は出来ません。
使用したトイレットペーパー(持参すること)も必ず持ち帰りましょう。
残飯やゴミを捨てるなど、言語道断です。
水場について
それでは、「豊富です」と書いた水場について説明していきます。
管理人が雪の下から掘り出します
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雪渓の下を流れる水場
これは、残雪の多い時期の水場の状況です。
小屋の周囲は、まだまだ深い雪渓に覆われていて、雪渓の下を流れる水を汲めるように、管理人が穴を掘ってくれるのです。
ひしゃくと漏斗がセットになった「水くみセット」が置いてあって、とても便利です。
小屋には水汲み用のペットボトルもあって、自由に使えます。
管理人が水場を掘り出す前は?
さて、管理人が水場を掘り出す前はどうするのでしょう?
北海道の残雪期の山はたいていそうですが、雪渓を下って水場を探さなければいけません。
むしろ、管理人が掘り出してくれるここが「特別」なのですから。
また、雪渓の水を溶かすのも方法ですが、この時期の雪は汚いので、ろ過しましょう。
水場が枯れるのはいつ?
さて、ここで問題になるのが、
「いつ頃この水場が枯れるのか?」
です。
小屋の雪渓は、例年ですと9月までもちます。
しかし、残雪の量や夏の天候次第で、早めになくなることが考えられます。
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たとえば残雪の少ない水場(2019年)。上の写真と同じ時期です。
こういう年は、8月中にはもう枯れていると思ったほうがいいでしょう。
水場が枯れた後の水場
水場が枯れていた場合、どうすればいいのでしょうか?
持っていくのが確実ですが、ご安心ください。
この小屋には、まだまだ水場があるのです。
周囲の残雪の末端から取る
一応基本的には、周囲の残雪を探して、水が取れないか探してください。
それが一番ラクです。
お花畑を踏まないように気をつけて。
板垣新道の沢がほぼ確実
まったく残雪がない場合、ここで最後の水場が登場します。
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白雲岳避難小屋から緑岳へ向かう登山道「板垣新道」は、沢を横切ります。
この沢は上部の雪渓を水源としていますが、この雪渓が無くなるのは考えられません。
小屋から10分から15分降りれば、沢から水を取ることが出来ます。(上地図赤丸エリア)
ただし、この沢は大小3本あるのですが、
「一番小屋側からはとらないこと」
がおすすめです。
なぜかって? それは、白雲岳避難小屋のバイオトイレがあるからです。
地面に染み込んだ汚水が、そこに到達しているのです。
そこで、沢を一本間に挟んで、2本目の沢からくむのがベストです。
携帯電波はほぼ期待できず
この小屋の最大の弱点は、携帯電波がほぼ届かないことです。
リアルタイムで天気予報を知ることが出来ないのです。
入山前の情報、そして、現地での判断がすべてという難しさがあります。
白雲岳避難小屋へ行ってみよう!
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こんなお花畑に囲まれて
白雲岳避難小屋は、便利なだけではなくて「目的地にする価値がある」場所です。
どこの登山口でもいいですから、いくつかの山を越えて、この小屋を目指す計画を立ててみましょう。
管理人がいて安心。
水場があって便利。
しかも、悪天候の場合は小屋に逃げ込める。
テント泊初心者には最適な場所の1つです。
雪解けのお花の季節から、紅葉の季節まで、いろいろな時期を楽しんでください。