こんにちは、寝袋!です。
北海道の北部苫前町(とままえちょう)に、三毛別(さんけべつ)羆事件の再現現場があります。
この事件は、北海道の開拓時に起きた日本最大の獣害事件として有名です。
開拓村が1頭のヒグマに何度も襲撃され、結果7名の生命が失われちゃったんです。
その現場に行って見て、感じたことは・・・
登山者は行かないほうがいい
ってことです。
三毛別羆事件のあらまし

三毛別羆事件石碑
大正初期、まだ北海道の開拓が辺境に及んでまもなくの頃、その事件は起きました。
集落が1頭の何度もヒグマに襲われて、計7人もの犠牲者を出してしまったのです。
この事件、まったく知らないという人は、まずはwikipediaを読んでください。
「ヒグマは積極的に人は襲わない」
というのが北海道の登山者には常識となっていますし、むしろ、
「そうじゃなければ怖くて山なんて歩けない」
という絶対前提のようなものがあります。
ですから、この事件のように積極的に人に近づいて襲ってくるという例があると、珍しく、そして心に突き刺さってくるんですよね。
その事件を再現して観光名所(かどうかは不明ですが)になっている場所があり、そこを実際に訪れてみて感じたことを書いてみたいと思います。
アクセス
北海道道北の苫前町、国道239から道道1049に入ります。
通称ベアーロードと名付けられていますが、その突き当りが再現現場になります。

最後の200mだけフラットダートです
最後200mだけがダートですが、車はもちろんオンロードバイクでも走れるフラットで締まった道ですよ。
ベアーロードに入ってからは、点々と農家さんがありますが、どんどん寂しくなった果てにこの現場はあります。
再現現場のデカすぎる羆!

案内図。不要なくらい狭いですが
突き当たりはちょっとした広場のようになっていて、駐車場と案内図があります。
案内図を見ただけでは広さがわかりにくいですが、この案内図に描いてある物はひと目で見渡せるような狭さです。

史実解説
なんといっても目に飛び込んでくるのは、開拓住宅の再現とその横の巨大なヒグマの作り物でしょう。

デカすぎるって!
ヒグマの高さは3m以上あって、第一印象としては、
「こんなデカいヒグマいないって!」
と声が出るほど、大きさがずいぶん強調されていると感じました。
実際に巨大なヒグマだったらしいのですが、なにしろ言い伝えとしか残っていないので、どうだったんでしょうね。

開拓住宅内
私が行ったときは雨で薄暗く、他に誰もいなかったので、周囲をキョロキョロしながら見学していました。
開拓住宅はご覧のように薄暗く、壁の粗末さに驚きます。
「こんな壁じゃーヒグマが防げなかったのもわかる」
と思うと同時に、
「これで寒さを防げるのか?冬を乗り越えていたのか?」
と当時の厳しさを想像せずにいられませんでした。

デフォルメされたくま。雨だから不気味に見えたなあ
他にも見てほしいもの
この再現現場に行くまでの道中に、ぜひ見てほしいものがあります。
ずべてベアーロードにありますので、必ず通ります。
三渓神社

三渓神社
当時襲われた集落の生き残りの方々は、現地を離れて少し下流に「三渓」という集落を作り移住されました。
そこには三渓神社があり、境内に慰霊碑が立てられています。

胎児を含む7名
再現地を見学したあとには、ぜひ手を合わせて帰りたいものです。
射止め橋

あと5kmの看板のところ
再現現場まであと5kmというあたりに、「射止め橋」があります。
「いとめはし」かと思いきや「うちどめはし」が正しいようです。

うちどめはし
このあたりでヒグマに最初の銃弾を命中させたらしいです。
でもよく考えてみてください。
ここから集落まで5kmですよ。
ヒグマはものすごくテリトリーが広くて移動するとは聞いていますが、たしかに移動範囲が広いじゃないですか。

看板があるからすぐわかります
正直な感想

怖い顔してるなあ
それでは、実際に現地で私が感じた正直な感想を書きます。
集落がどんどん寂しくなって、その突き当りに現場があるわけです。
事件の現場と知っているから、なんとなく胸がキューッと締め付けられるような緊張感がありました。
ちょうど雨ということもあり、薄暗い中1人でいたわけですが、周りの林にひょっとしてヒグマが隠れているような、そんな薄気味悪さを感じました。

途中の(立入禁止)看板もなんか不気味
「北海道の田舎にはどこにでもある雰囲気の場所」だと思いました。
当たり前ですが、
- ここにとくにヒグマが多いわけではない
- ここのヒグマがとくに凶暴なわけではない
ので、
どこでこの事件が起きても不思議じゃなかった
ということでしょうか。
そして、逆にそこに怖さを感じました。
最初に書いた、
『ヒグマは積極的に人を襲わない。だから登山出来る』
という大前提・常識が、いつ崩れるかわからないという怖さです。
福岡大ワンダーフォーゲル部の事故もそうですが、突発的にそういうヒグマが出現して、
「そこに運悪く自分が犠牲者としていたくはない」
という思いがわいてきました。
ちょっと山が怖くなったかな・・・。
こういう事件から教訓を学ぶことは大切ですが、登山者はあまり悪い事件のことを調べすぎない・知りすぎないのがいいかもしれませんね。
観光客にはきっとただの観光名所で、1時間後には忘れてソフトクリーム食べてるようなお化け屋敷みたいな場所でしょう。
でも、登山者のみなさんは別の感じ方をして、考え、しばらくは忘れられないんじゃないかな?
この事件のことが本当に知りたければこの本がベストです。
怖いよ。