「山のパンセ」登山者のふとした空き時間に読んで欲しい本




こんにちは、寝袋!です。

登山者向けにお気に入りの本を紹介します。

「紹介」といっても、もう超ロングベストセラーの名著なので、ご存知の方が多いかもしれません。

『山のパンセ』といいます。

古い本で時代も違いますが、きっと若い登山者にもスッと染み込んでくる、そんな山の本です。

山のパンセ(串田孫一)

これはヤマケイ文庫の「山のパンセ」

名著「山のパンセ」とはどんな本なのか、まずは概要をお話します。

パンセとは?

題名についている「パンセ」とは、フランス語で「思考」とか「思索」とか「考えたこと」を意味する言葉だそうです。

つまり、「山で考えたことを書いてみたよ」という本です。

串田孫一さんとは?

著者の串田孫一さんは、登山家という肩書ではなく、詩人です。

お恥ずかしながら私は串田さんのことは、この本で知り、この本でしか知りません。

「詩」とは程遠い人生を送っております。

この串田さん、本を読むと、じつはすごく登山されていた方のようです。

「詩人」という肩書きから受けるイメージとは正反対で、泥臭く汗臭いハードな登山をされていて、

「なんだこの登山、はあ~すげえなあ」

とため息が出ます。

「山と食欲と私」であのおじさんが涙してた本がこれ

そうそう、最近人気の山漫画「山と食欲と私」で、昔気質の山小屋の主人っぽい人が「山のパンセ」を読んで涙しているシーンがありました。

確かその人は、主人っぽい風貌でありながらただのバイトで、仕事しないで本読んでて怒られてる記憶があります。

どうだったかな?

話はそれましたが、この本を知ってる人なら、

「ああ、わかるわかる(笑)」

と思ったシーンではないでしょうか。

「山のパンセ」全体の印象

「山のパンセ」は、串田さんが山の中で感じたこと、考えたことを、多くても5ページほどの短い文章で書いたものをまとめたものです。

本当は3冊に分けられていたものが、ヤマケイから1冊にまとめて発行されています。

難しい言葉はいっさい使っていなくて、思ったことをただシンプルな言葉で表現されています。

とても読みやすいのです。

それでいて、詩人ならではといえる敏感な感性というのでしょうか、登山者ならぐっとくる言葉ばかりなんです。

「ああ、わかるなあ」

「へえ、そんな感じ方するんだ~」

と、共感と驚きが連続して襲ってくるような。

しかもそれがシンプルな言葉で書かれているから、

脳細胞働かせなくても、心に直接染み込んでくる

と私は思ってます。

気に入っているエピソード

ものすごくたくさんのエピソードがあるのですが、いくつか印象に残っている言葉を例として紹介します。

利口に山に登る人が増えた

串田さんいわく、

「登山なんていうものは、体力だけがとりえの自分のような人間が、汗水垂らして愚直に登る楽しみだった。でも最近は利口な人間が山に来るようになって、こうすれば楽だとか、こっちが近いとか・・・愚直な私たちは置いてきぼりだ」

表現はもちろん私の意訳ですが、そんなことを書かれていました。

「山のパンセ」では雪山の中でビバークする話が多いのですが、現代だったら「遭難予備軍!」なんて怒られそうなエピソードがたくさんあります。

でも、本人たちにとってはそれは当たり前のことで、凍えそうになって夜を明かしたりしているんですね。

装備とかウェアとか、どんどん良くなったものを利用する私たちは、きっと「利口な登山者」の部類なのかな。

もっと愚直に汗水垂らして登ると、違うものが見えてきたりするのかもしれません。

そう考えさせられました。

息子の登山がリアルすぎて不安

山に限らず、

「子供が山に行ってる。遭難しそうで怖い」

という漠然とした心配をします。

子供じゃなくても、友人だったり恋人だったり。

世間一般の親たちと同様に、串田さんも息子が山に行ってる間、とっても不安だったそうですが、その理由がいいのです。

「あの岩のところ大丈夫かな?」

「あそこは踏み外しやすいけど無事かな?」

と、リアルに登山ルートの危険箇所がわかるので心配が尽きないと。

その後、どんどん成長していってからは心配もしなくなったそうですが、登山者ならわかる心情ですよね。

「これなら一緒についていってたほうが安心だった!」

空いた時間に5分ずつでも

たっぷり500ページ以上あります

「山のパンセ」は、文庫本でまとめられて小さく1冊になっています。

私はしおりを挟んでおいて、ちょっとした空き時間・・・電車の待ち時間とか寝る前とか、気が向いたときに1つ2つエピソードを読んで、延々とリピートさせてます。

上で書いたように読みやすく、頭を使わず心で読む感じなので、リラックスして本を開けるんですよね。

少し前の時代の本で、この方が行っている山も、装備も、具体的にはわからないことが多いです。

でも、不思議とこの人がそのときにいる周囲の情景だけは想像できるんです。

だから、全然古い感じがしません。

きっとどの時代の登山者にも受け入れられて、読み続けていくんじゃないかな、と思います。

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