【登山中】凍傷の処置と、絶対にやってはいけないこと




こんにちは、寝袋!です。

冬山で登山者を襲う危機のひとつが、凍傷です。

しかし、名前は知っていても、じつは詳しい症状や、対処方法は知らない人も多いです。

凍傷にならないようにするのが一番ですが、なってしまったときの対処法を紹介します。

軽症では素人でも対処は簡単ですが、症状が重くなってくると、素人では難しい処置もあります。

しかし、少なくとも、

絶対にやってはいけないこと

というのがありますので、それだけは覚えておいてほしいと思います。

凍傷とは

凍傷とは、指や足、顔などに起きる寒さによる障害です。

組織が凍結してしまう、つまり、細胞の中や周囲に氷の結晶が出来てしまうことをいいます。

皮膚はマイナス2℃で凍ってしまいますが、風が吹いたり、さらに低温にさらされると、凍傷になってしまいます。

ピッケルにどんどん熱を奪われて・・・

凍傷としもやけの違い

しもやけは、零下でなくても、寒さのために局部的に血流が低下するために起きます。

組織が凍結しないのが、凍傷との違いです。

どうして気づかない?

凍傷のなり始めは、ジリジリ、ピリピリと痛みます。

この段階は、多くの人が自覚します。

しかし、だんだんとその感じがなくなって、さらに手足の感覚がなくなってきてしまいます。

痛いわけでもないので、

「感覚がなくなったことに気づかない」

「ジリジリ、ピリピリから回復したと思ってしまう」

ことになり、凍傷に気づきにくいのです。

凍傷の症状

凍傷は段階的に進行します。

表在性凍傷

皮膚が赤みを帯びて、水ぶくれが出来ることがあります。

この段階では、軽症のため、回復することが多いです。

冬山をやっている人で、この段階を経験したことがある人は、そこそこいます。

深部凍傷

そこから、皮膚が蝋のように白くなって、触っても感じず、やがて、炭のように真っ黒になってしまいます。

私達が、「登山家の凍傷」というと思い浮かべる、あの黒いアレですね。

処置1 凍っているか確認する

それでは、凍傷になったら、現場ではどう処置すればいいのでしょうか?

まずは風の当たらない場所に移動して、靴下や手袋などが濡れていれば交換します。

つまり、これ以上の進行をまずは防ぐのです。

次に、仲間(いなければ自分)の脇や股(温かいところ)に挟んでもらい、10分ほど温めてみます。

これで感覚が戻ってくれば、大丈夫です。

もし、戻ってこなければ・・・凍結しているということです。

その場合は、患部を溶かす「急速融解」に移ります。

処置2 急速融解

まずは、小屋やテントなどの安静な場所を確保します。

コッフェルや鍋などにお湯を沸かします。温度は37~39℃です。

そこへ、凍結した部位を入れて急速に温めるのです。

凍傷の部位の温度が、他の場所と同じ温度になるまで、温めます。

20分から60分ほど、かかる場合があります。

お湯はどんどん冷めてしまいますから、お湯を足したりして一定に保つようにしなければなりません。

ここで、猛烈な痛みが襲ってくることになりますので、痛み止めを飲んでおくといいでしょう。

痛いということは、組織が生きていた証拠であって、回復するということです。

このときの痛みは、経験するまではわかりません(私も経験していません)が、正座して足が痺れた後に血行がよくなったときの痛み、あれと同種の痛みと想像します。

あれの何倍か?は知りません。知りたくもないですね。

復温(温度を戻すこと)に成功したら、乾かして、ガーゼや包帯をあてます。

絶対にやってはいけないこと

「表在性凍傷」の段階、脇や股に挟んで回復させるというのは、一般の登山者でもなんとかできます。

しかし、急速融解が必要な段階になってくると、かなり難しそうだと思いませんか?

そこで、「低体温症」のときにもお世話になったドクターに、

「せめて、素人がやってはいけない間違い」

を聞きまして、勉強してきました。

  1. 絶対に水ぶくれを破らないこと(凍傷後は感染しやすいから)
  2. こすってあたためようとすること
  3. 温風やストーブで加熱すること(均一に加熱できないから)
  4. 復温したあとに再凍結させること(その恐れがある場合は、そもそも融解してはいけない)

これだけは、私達も覚えておく必要がありそうです。

誤った認識で、さらに悪化させることだけは、避けなければいけません。

最後に

先生に伺うと、

「かなり重症のように見えて真っ黒でも、最終的に切断するかどうかはわからない。時間がたって初めてわかること」

だそうです。

低体温症と同じく、私達では、適切な対処を、しかも環境の悪い山の上で行うことは、難しいと思います。

せいぜい、初期の「10分間、温める」くらいではないでしょうか。

本人も、仲間も、動揺しているでしょうから、冷静に物事を運ぶことすら出来ないかもしれません。

ですから、

絶対にやってはいけないこと

だけは覚えておいて、それを避けましょう。

そして、なるべく早く専門家の手に委ねるべく、努力することしかないと思います。

【遭難防止】登山での低体温症の症状と、最低限やるべき現場処置

2019年2月6日

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