こんにちは、寝袋!です。
日本には、ロマンあふれる登山道がたくさんあります。
登山者それぞれに、好きな道も違うでしょう。
ただ、数多い登山道の中で、
「標高3,000mと海とを繋ぐ道」
というのは、唯一ではないでしょうか?
その名は、栂海新道(つがみしんどう)
私も大好きなこの道ですが、下調べすることも多いので、困っている人も多いのではと思います。
そこで、登山道の様子、水場情報、山荘情報、さらには、ロマンを味わうための知識、をまとめてみました。
栂海新道を味わい尽くせ!
目次
栂海新道とは?
上部にはコメツガの林が続くため、栂の林と海(日本海)を結ぶ道とのとの意味で、本道を拓いた小野健により名付けられた。
かつては、朝日岳が北アルプスの最北端とされていました。
しかし、北アルプスを登った探検家、ウォルター・ウェストン卿が親不知を訪れた時、
「北アルプスの北端はここ、親不知である」
と発言したそうです。
その言葉と同じ思いを抱いていた、故・小野建さんが、仲間とともに切り拓いた登山道、それが、栂海新道です。
栂海新道自体は、親不知から朝日岳までとされています。
しかし、そのまま白馬岳、それ以降の3,000m峰の稜線へと登山道は続いていく、ロマンたっぷりな道なのです。
通過する山々
栂海新道は、いったいいくつの山を超えていくのでしょう?
山名・地名 | 標高(m) |
朝日岳 | 2,418 |
長栂山 | 2,267 |
アヤメ平 | 2,000 |
黒岩平 | 1,670 |
黒岩山 | 1,624 |
さわがに山 | 1,612 |
犬ヶ岳 | 1,593 |
栂海山荘 | 1,550 |
黄蓮山 | 1,350 |
↓ | ↓ |
菊石山 | 1,210 |
下駒山 | 1,241 |
白鳥山(白鳥小屋) | 1,287 |
金時の頭 | 930 |
坂田峠 | 610 |
尻高山 | 677 |
入道山 | 445 |
親不知 | 78 |
日本海 | 0 |
山小屋情報
栂海新道には、3箇所の山小屋があります。
有人の営業小屋は朝日小屋のみで、他は無人小屋です。
朝日小屋
朝日岳にある朝日小屋は、栂海新道を歩く人にとっては、起点もしくは終点になる小屋です。
アットホームで、とても雰囲気がいいです。私は大好きです。
料理がとても美味しく、すべて手作りです。
料理が美味しいので、テント泊の人でも楽しみにするひとが多いです。
テント泊の人でも食事を摂ることも可能ですが、事前に申し込むべきでしょう。
(時期により食事のみの提供は断られます)

朝日小屋

料理はすべて手作りです。この他に鍋も。
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
TEL & FAX 0765-83-2318 テント場:あり ホームページ http://www.asahigoya.net/
栂海山荘
栂海山荘、白鳥小屋ともに、無人小屋です。
とてもきれいに管理されていて、毛布などの寝具もあります。
篤志金1名につき2,000円を、山荘内金庫に入金してください。
登山道、山荘の維持に協力しましょう。
たぶん、歩いてきた人ならば、喜んで協力したくなるような道です。
維持の大変さがわかりますから。
トイレはありますが、トイレットペーパーは持参したほうが良いでしょう。

栂海山荘
「ベニズアイ山岳会」 会長:齊藤八朗さん
電話:025-545-2885
篤志金:1名2,000円(山荘内金庫に入れること)
白鳥小屋

白鳥小屋(白鳥山頂)
栂海新道の水場情報
あらかじめ、すべての場所を地図で確認しておきましょう。
必ず採れる水場は「北又ノ水、シキワリの水場」です。
黒岩平
水場の標識はなし。流れている小さな沢です。

黒岩平の沢
北又ノ水
栂海山荘に泊まるなら、ここが最寄りの水場です。
看板は目立つので、見逃さないとは思います。
50mほどヤブを降りたところに水場があります。
踏み跡はしっかりとしています。ジャブジャブ。
右手に雨樋のようなものが目印で、「ここで汲めばいいんだな」とすぐにわかります。
水をたっぷり汲んでから、犬ヶ岳を登るのがキツイです。

北又ノ水
黄蓮ノ水
看板から5分ほど歩いていくと、沢に降りる場所があります。
看板はわかりやすいです。

黄蓮ノ水
シキワリの水場
登山道上にあるので、見逃しません。
コップも置いてありますね。
一番親不知に近い水場です。

シキワリの水場
携帯電話について
栂海新道全体として、海が見えるところは入る可能性が高いです。
ところどころに「携帯電話使えます」という、親切な看板もあります。
坂田峠で一般道と交差しますが、交差点では使えません。
一般道に沿って多少移動すると、通じる場所もあります。
エスケープのために覚えておいてください。
必ず持参するもの
トレランスピードでないかぎり、栂海山荘か白鳥小屋のどちらかで1泊することになります。
無人小屋ですので、以下のものは必ず持参しましょう。
- 食料
- 寝袋
- トイレットペーパー
- 山荘篤志金
山荘には多少の毛布は備えてあります。
季節は?
栂海新道は標高が低いため、真夏は暑さと虫との戦いになります。
私はそうは思いませんが、
「夏の栂海新道なんて、ただの里山歩きだ!」
と、毛嫌いする人もいます。
まあ、虫が邪魔なのは本当です。
標高の変化があるコースですから、温度変化にも注意してください。
個人的には、
残雪とお花がきれいな初夏、もしくは、紅葉の美しい秋
がおすすめです。
朝日小屋の営業が10月上旬までですので、宿泊するつもりならば確認してください。
登山道の情報

朝日小屋~栂海山荘

栂海山荘~日本海
開拓者である小野健さんの意志で、栂海新道は決して巻道を使わず、すべてのピークを忠実にたどります。
そのため、たいへんアップダウンが多いです。
とくに、栂海山荘から白鳥小屋の間は、アップダウンを繰り返すわりに、あまり高度が変わりません。
体力がゴリゴリと削られます。
朝日小屋から栂海山荘までが一般的ですが、白鳥小屋まで足を伸ばす場合は、ご注意ください。
登山道自体に危険な場所、難しい場所というのはありません。

照葉の池付近

朝日岳下から栂海新道の稜線を見る

黒岩山から上方を見る

赤い屋根の栂海山荘が見える

栂海山荘を見下ろす一等地に小野健さん碑

栂海山荘下のブナ林

坂田峠との交差点

海に近く林の雰囲気も変わってくる

日本海が見えてきた

登山口

ホテル横の階段を降りれば日本海。必ず行くべし

ウェストン像

特徴ある看板群
魅力を味わうために
栂海新道は、ロマンに満ち溢れる道です。
より深くこの道を楽しむためのポイントを書いてみます。
『栂海新道を拓く』を読もう
この道を歩くなら、絶対に読んでから行くべき本があります。
この本を読めば、私が以下に書くことは不要です。
すべて書いてあります。
山の名前の由来
- さわがに山 標高1,600m超のこの山に、サワガニが歩いていたそうです。本当かなあ?
- 菊石山 菊石=アンモナイトが見つかった山
坂田峠のお地蔵さん
かつて、親不知が通行できないときのバイパス道として、往来する旅人が通った道が坂田峠。
今では通る人はいないけれど・・・。

古いお地蔵さん
現在、坂田峠には、古びた地蔵が一体ひっそりと昔日の故事来歴を秘めて立っているが、昭和46年に開通した栂海新道の縦走者が、峠に新たな足跡を残して通過していくようになった。
下山後のこと
下山した親不知には、親不知ホテルと駐車場だけがあります。
駅まで行くには、タクシーか徒歩しかありません。
個人的に、徒歩は危険だと思います。
入浴について
親不知ホテルで日帰り入浴が出来ます。
15時までに出ることが条件です。
ありがたいことに、宿泊、日帰り入浴ともに駅まで送迎してくれます。
親不知駅から
親不知駅からは、まず糸魚川駅まで行きましょう。
糸魚川駅からは新幹線が出ています。
最後に

海で終われるのが下りの良いトコロ
「海と3,000m峰を結ぶ縦走路」
というだけでも、ロマンたっぷりで魅力的な登山道です。
標高がどんどん下がる(上がる)ので、
まるで季節の変化を旅しているような、そんな気分になれる道
と私は感じます。
ぜひ、歩いてみてください。
登山靴を脱ぎ捨て、海に素足を着けたときの、あの冷たさ、石の感触。
きっと、忘れられない思い出の山行になるでしょう。
計画を考えている方が、少しでも参考になれば嬉しいです。
気をつけて、いってらっしゃい!
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