こんにちは、寝袋!です。
あなたは山で「シャリバテ」したことありますか?
「シャリバテ」とは、シャリ(ご飯)のエネルギー不足で、バテる(歩けなくなる)ことです。
つまり、車で言えばガス欠で、エンジンがプスンと止まっちゃった状態ですね。
私はお恥ずかしながら、1度ひどい目にあったことがあります。
「どうしてシャリバテしたのか?」
「どういう状態になっちゃったのか?」
「食べたら回復するというけど、本当?」
あまり話したくないですが、詳しく説明しましょう。
こんなふうに失敗したくなかったら、どうぞお気をつけください。
よくばって重すぎた荷物
あれは、初めてトムラウシ山に登ったときのことでした。
日帰りピストンすればよかったのですが、どうしても山の上で時間を過ごしたいと思いました。
そこで計画したのが、トムラウシを越えてヒサゴ沼まで行って、テント泊というプランでした。
当時の私にはちょっと長めのコースにも関わらず、必要装備の他に余計なものをたくさん積んでいきました。
巨大な三脚、一眼レフとレンズ数本、缶詰などの食料多数、ビール、そして、厳選されていない余計な荷物。
ザックを背負った途端、
「おっと、さすがにキテるな」
と感じる重さでした。
朝ごはんの悲劇

長いコースに備えて、前日の夜は登山口で車中泊しました。
朝食はコンビニで買ってきたオニギリとヨーグルトを、クーラーボックスに氷と一緒に入れてました。
普段ならオニギリなんか外に放置しておきます。
しかし、ヨーグルトとコーヒー牛乳を冷やすために、クーラーボックスがあったので、
「ついでだからオニギリも入れておくか・・・暑いしな」
と考えてしまったのでした。
そして、朝起きていざ食べようとすると、クーラーボックス内で融けた氷が水になって、オニギリがビシャビシャに濡れていたのです。
ビニールの包装の中に、水浸しでバラバラになった米粒がありました。
「せめてお茶漬けなら・・・」
と思いながら、食べてみましたが、数口でギブアップしました。
美味しくないのです。
結局、ヨーグルトだけ食べて、私は出発することにしたのです。
目的地の遠さに焦る

トムラウシは遠い山です。
コースタイムで片道5時間はかかります。
それでも体力には自信がありましたから、
「重装備背負ってるけど、普通の人と同じくらいで登れるだろう」
と目論んでいました。
実際、トムラウシ山頂までは順調に登れました。
ただ、なんだか食欲がなく、トムラウシ山頂で魚肉ソーセージを食べただけで、また歩き始めてしまったのです。
「まだまだ長いし、ルートの様子も初めてでわからないし」
と、不安にかられていました。
山頂の先にはまったく人がいないことも、私を焦らせていました。
私は行動食もほとんど食べず、ひたすら歩き続けたのでした。
そしてシャリバテ

いつも以上の重装備を背負って、朝ごはんを食べず、行動食も食べず・・・。
そして、突然、足が前に進まなくなってしまったのです。
私は朝ごはんを食べていないということ自体を、忘れてしまっていました。
ですからこの時は、
「うわっ、さすがにこの装備でこのコースは自分にはキツかったか?」
と、ただの体力不足と思っていました。
ほんの少しの段差を上るのも必死で、ガクンとペースが落ちました。
たしかトムラウシ山頂からヒサゴ沼までは3時間ほどのコースタイムですが、このときは5時間ほどかかった気がします。
一番問題なのは、自分が体力不足でそうなっていると思いこんでいることでした。
ですから、
「これがシャリバテか! 何か食べないと!」
と考えることは出来ず、ただ必死に自分にむち打って、
「根性出しやがれオレ!」
と頑張るのみでした。
「食べたら回復する」と言いますが
そして、ようやくヒサゴ沼にたどり着いた時、本当に倒れ込みました。
気が抜けたんでしょう。
そこにいた男性に事情を話したら、
「それってきっと、シャリバテですよ?」
と言われました。
「シャリバテ? あっ!」
そこで初めて、私は朝から何も食べていないことに気づいたのです。
「シャリバテは、食べたら嘘のように回復する」
と言いますが、それはまだ軽度のときです。
今回の私の場合、ガクンと力が抜けたときに、すぐに何かを食べれば、回復したのかもしれません。
ところが、私はそこからさらに、体力をしぼりにしぼってしまいました。
車で言えば、給油ランプが点灯しているのに、本当にエンジンが止まるまで走らせてしまったようなものです。
そうすると、本当にバテてしまって、何も食べられないのです。
- シャリバテする
- 食べれば回復するのに食欲がない
- さらにバテる
- 完全にバテて、絶対に食べれない
という悪循環でした。
ブドウ糖と味噌汁

アルファ米を作ったのに喉を通らず、私はただ座っていました。
そこで、その男性が、
「これ、食べてみたらどうですか? 元気になりますよ?」
と差し出してくれたのが、ブドウ糖のかけらでした。
それは、ちょっと酸っぱくて、口の中で溶けていくので、食べることができました。
すると、少し元気が出て、何かを飲みたくなって、味噌汁を飲んだのです。
味噌汁はとても美味しく感じたので、それから何杯も飲みました。
体にしみ込んでいくようでした。
ブドウ糖でちょっぴり回復し、そのおかげで食欲が出て、味噌汁を飲めるようになったのでした。
「いやあ、ひどい目にあった。お恥ずかしい。ブドウ糖なかったらどうなってたことやら」
と、その男性とは話が弾み、それから2日間一緒にそのあたりを探索しました。
今ではとても懐かしく、良い思い出です。
それから私は、ブドウ糖のタブレットは必ず持っていますし、インスタント味噌汁は多めに持っていくようにしています。
固形物が食べられなくても、味噌汁は飲めないことはまずありません。
そして、ご飯に味噌汁をかけると、たいてい美味しく感じるのです。
私がシャリバテから学んだことは、今でも続けていますので、あれはあれで有意義だったのかなと思っています。
みなさんもお気をつけください。
「シャリバテは食べれば回復するのは本当ですが、食べられるとはかぎりません」
とにかく有効なのはブドウ糖。
ラーメンスープがダメでも味噌汁なら飲めるものです。