こんにちは、寝袋!です。
「山の自慢話は1/3にして聞け」
と、よく言われます。
登山者という人種は、
- 自慢したい
- 上に見られたい
- 誇りたい
- 負けたくない
という、あまり感心できない特性を持っていて、しかも下界よりも主張が激しくなるようです。
私も嫌というほどそういう人に出会ってきましたし、あなたもきっとそうでしょう?
そういう登山者が歩みがちなルートを、段階をもって見て考察していきます。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」
偉い人がこう言っていたように、相手がどの段階なのかを見極め、優位に立ちましょう。
目次
カラフルで格好のいい登山ファッションに身を包む
最近の登山用ウェアは、大胆なカラーリングや、奇抜なデザインのものが多いです。
私のようなセンスのない人間は、
「ちょっと無理」
と、手を出せません。
そこで、あなたのファッションセンスを振り絞って、上から下までカラフルな衣装に身を包んでみましょう。
出来るだけカラーは多いほうがいいでしょう。
より上級の着こなしが必要になるからです。
「こいつ、ビッとしてて格好いいな。さぞ登山の実力も・・・」
と、一目置かれるに違いありませんね。
これであなたも登山口のアイドルです!
ビシッと決まって注目を集めている以上、歩き方にもスキを見せてはいけません。
歩き方が下手だと、
「なんだこいつ、チャラチャラした格好しやがって」
と、強烈な反作用を生み出してしまいます。
格好良ければ良いほど、滑稽に見えてしまいます。
ちゃんと着こなせているのか、お知り合いに本音でチェックしてもらいましょう。
ビシッと決まっていなければ、ただの色気違いです。
「いくつ登ったか」を大きな声で言ってみる
静かな山頂がチャンスです。
同行者と「何気ない会話のふり」をして、
「自分たちが百名山いくつ登ったか」
を、声高に宣言してやりましょう。
「この人達、難聴なの?」
と思われても気にせず、凄さを十分に思い知らせてやりましょう。
場合によっては、手近な人間に、
「あなたはいくつ登ったの?」
と、直接攻撃に出るのも有効です。
万が一、 自分よりたくさん登っている人がいたら危険です。あなたが劣勢になってしまいます。
また、百名山に興味のない人もたくさんいます。その人たちには効果がないのでご注意ください。
すごい知り合いのことを大きな声で言ってみる
これも、山頂や山小屋などの、静かな空間がチャンスです。
あなたのお仲間や知り合いの中で、一番すごい人のことを、さり気なくアピールしましょう。
「知り合いの知り合い」でも「知り合い」と、わかりやすく省略して言い換えてもいいでしょう。
当然、
「この人達、難聴なの?」
と思われてもいいので、大きな声で響き渡らせてやりましょう。
「あいつ、ほんとヤバイところでも行けるやつだから」
「マジで? 最強なんですけど!」
と、会話形式で練習しておくといいでしょう。
もしかすると、
「すごいのは知り合いであって、お前らじゃないだろ?」
と思われる可能性もあります。自分たちも同レベルであることを、アピールしてもいいかもしれませんね。
とりあえず腕を組んで歩いてみる
テレビなどで、登山ガイドさんの歩く姿を見たことがあると思います。
ガイドさんやボッカさんで、腕を胸の前で組んでように歩く人がいますよね。
腕を組むだけで上級者に見られるのだから、こんな簡単な手はありません。
「あの人、きっとすごい人だよね」
と、評価急上昇でしょう。
腕の組み方によっては、わかる人にはバレてしまいます。
下手すると考え事している人のようで、
「何かお悩みですか?」
と心配されるかもしれません。
格好の良い腕の組み方を、練習しておきましょう。
ストックを使えないので、バランスが悪いとフラフラします。
腕を組んだまま倒れて怪我をしないよう、一応最後には腕を使いましょう。
「冬のこと」を大きな声で言ってみる
初心者に対して自分の凄さをアピールするには、舞台を冬に移すのが効果的です。
紅葉がキレイな登山道で、いきなりぶちかましてやりましょう。
当然「大きな声で」です。
たとえば、
「この山、冬に来た時の美しさったら、なかったなあ」
という基本的な攻めもあれば、
「俺なんてどの斜面観ても、滑れるかどうか考えてるからね!」
という上級バージョンもあります。
「この人、冬もやるんだ。すげー」
と、周囲から思われてるに違いありませんね。
初心者に有効な単語、アイゼンとかラッセルなどを、セリフに混ぜると効果的です。
しかし、あまり冬の話ばかりしていると、さすがの初心者も、
「目の前の景色を楽しみなさいよ」
と、反感を持つ可能性があります。
なぜか巨大なザックを背負う
なんらかの理由で、簡単に登れる山へ登るとき、普通に登ったのでは、あなたもその程度の登山者と思われてしまいます。
その山へ登りに来る奴らとは、格が違うということを教えるのに、いい手があります。
それは、わざと大きなザックで登ることです。
中身は空っぽでも関係ありませんが、ザックの外にマットを付けて置くのがいいでしょう。
「縦走に入る訓練かな? すごーい」
「ほんとうは、こんな簡単な山へ来るような人じゃないんだろうな!」
と、一目置かれるでしょう。
登山者は、大きなザックに敬意を払う特性があるので、効果抜群です。
ザックはなるべく軽いもので膨らませておきましょう。
ザックが潰れていると、バレる恐れがあります。
また、ザックを下ろす時&背負う時は、重く見せる演技を忘れずに。
それでもダメなら「海外のこと」を大きな声で言ってみる
登った数でも、冬でもダメなら、海外の『あの山』のことを言っちゃいましょう。
日本の山々だけを楽しんでいる登山者が大半のなかで、自分は違うんだと教えてやりましょう。
経験がなければ、ちょっとお金を使って、ツアーで称号を手に入れましょう。
なるべく高い山で、初心者でも知っている山がより効果的です。
あまりマイナーな名前だと、相手が「ポカーン」となる恐れがあります。
逆に、メジャー過ぎると、
「ああ、私もそこ行きました!」
と、レア感がなくなって、掛けた費用が台無しになる可能性もあります。
山選びは慎重に。
ボロボロのウェアに身を包む
初心者もちょっと経験を積んでくると、言葉を使った自慢話では感心しなくなってきます。
そこで、その段階からは、口を閉じ、話ではなく持ち物で
「わからせる」
ことが必要になります。
まずは、使い込んだ古めのウェアを引っ張り出してきましょう。
最初に学んだとおり、初心者は最初カラフルな新品を着てきます。
同じもので対抗しても敵わない恐れがあるのです。
そこであえて、使い古したウェアを着込むことにより、
「かなり長い登山歴を経たツワモノ」
をアピールするわけです。
「自分とは違う」あなたに、初心者は一歩下がらざるを得ないでしょう。
場合によっては、
「沢屋、藪こぎ」
などというキーワードを使えるようにしておくのも良い手です。
失礼な若者が、
「貧乏くさいオッサン、汚えな」
「臭そう・・・離れてご飯食べよ?」
と、つぶやく声が耳に入るかもしれません。
大人の対応で聞き流しましょう。
ピッケルを持ってみる
初心者はピッケルを持っていません。
せいぜいストックを使っているのが精一杯でしょう。
そこで、ザックに彼ら憧れの武器「ピッケル」を差し込んでおき、目を釘付けにしてやりましょう。
「うわっ、ピッケル! 山男~」
と頼りにされるかもしれません。
「同じ登山口にいるけど、きっとここから、違う難ルートとか行くんじゃね?」
と、別世界の人のように見られるでしょう。
登山口から山頂までずっと一緒だと、さすがの初心者も、
「結局この人、なんでピッケル持ってきたんだろう?」
と気付いてしまう恐れがあります。
ベテランからは、最初から
「こんな山でピッケル持って、こいつアホか?」
と思われる可能性があります。
夏なのにアイスバイルやハンマーはやりすぎです。ほどほどにしましょう。
メットをかぶってみる
「どんなオシャレな帽子かぶっていこうかな?」
と悩むのが精一杯の連中に、ビシッと登山用のヘルメットを見せつけてやりましょう。
「うわっ、絶対バリエーションとかいくんだ!」
などと、敬意を持って見られるでしょう。
ピッケルと同じく、登山口から山頂まで一緒だと、最初は敬意を持ってた初心者が、
「こんな山でメット必要って、どれだけ心配症なのよ」
と小馬鹿にされ、下山が辛くなります。
最近は北アルプスでも装着者が多いので、効果絶大とは言えなくなりました。
過剰な期待は禁物です。
カラビナをチャラチャラ言わせる
ザックに、カラビナをぶら下げておくのもいいでしょう。
カラビナといっても、小さなものやオモチャのようなものでは効果は薄いです。
クライミング用のカラビナをいくつか準備しましょう。
ザックにぶら下げておくと、カチャカチャと
「クライマーから聞こえてくる音」
がするので、一般登山者を耳から虜にしてやりましょう。
使い込んだ、渋い雰囲気が出せれば言うことなしです。
軽いのでそれほど負担にならないのもいいですね。
スリングやヌンチャク、エイト環などで変化を付けるのも効果的!
ただ買うためだけにしては高価ですので、無駄使いには注意しましょう。
万が一、使うべき場面に遭遇した場合、使い方を知らないと、とても格好悪いことになってしまいます。
ハーネスを付ける
ハーネスってわかりますか?
クライミングする時に腰に付ける、あの相撲のマワシのようなアレです。
ハーネスを利用するということは・・・?
もう完全にあなたはクライマーですね。
最近は剱岳の別山尾根程度のツアーでも、ハーネス着用が義務付けられることもあります。
全体的にクライマーの雰囲気を醸し出さないと、
「おっさん、ツアーからハグレたの?」
と迷子のように見られる可能性もあります。
興味ない人間にとっては、
「ウンコ大変そうだな」
という冗談のネタにしかならない可能性もあります。
ロープを持つ
私のとっておきの奥の手をお教えしましょう。
それは、ロープを持つこと。
クライミングロープを買って、ザックに取り付けておいてはいかがでしょう?
私、考えてみたんですが、これ、ちょっとやそっとじゃバレません。
使わなくても問題ないし、仮にド素人がこれをやったとして、見破る自信はありません。
上のカラビナ系のアイテムと組み合わせれば、さらに完璧です。
荒縄ではだめですよ。
「何時代の登山家よ?」
と嘲笑を受ける恐れがあります。
最後に
今回の記事、
「こういうやつ、いるいる!」
と考えながら、書いている時はとても楽しかったです。
山にはこういう、
「なんとかして相手より優位に立とうとするハリボテ野郎」
が多いですよね。
そういう人と出会うのは、まったく面倒なことですが、
「ちょっと上から目線」
で、おおらかに見てあげると、あれはあれで面白く、笑えるのです。
「あ、この人、私を楽しませてくれてるんだな?」
と、そう思ってあげれば、彼らがとてもチャーミングにみえてきますよ。
彼らも早く、
「登山者は、歩き姿や所作の美しさで語る」
ということに気付いてほしいものです。
山は気分良く、楽しく歩きたいですからね!
最後に、こういうくだらない記事を書いた自分を、ちょっとだけフォローさせてください。
「使えないのに山にロープを持って行く登山者が増えると、現場に使える人間がいれば、役立つシーンがあるかもしれない」
というわけで、長文、失礼いたしました。