こんにちは、寝袋!です。
私たち登山者、山というフィールドで遊ぶのは同じですが、登り方や楽しみ方はいろいろ違います。
花、鳥、山頂、記録、写真、挑戦、爽快感・・・なかには下山後が最大の楽しみという人も。
みんな、自分が興味を持ったことに力と時間をかけていき、私(あなた)だけのスタイルが出来ていきます。
そして、山でたまたま出会う他の人・・・自分とは違うスタイルの人に影響を受け、また自分のスタイルも変化していくのではないでしょうか。
さて、そんなスタイルとは別に、山には「違う側面での楽しみ方」があると思いますので、今回はそちらをお話していきます。
それは、「季節による山の楽しみ方の違い」です。
まだ夏などの限られた季節しか楽しまれていない人に、
「他の季節もいいものですよ」
って教えてあげたいので記事にしました。
「今度は春先に行ってみよう」
「秋は避けてたけどチャレンジしてみようかな」
などと感じてくれたら、きっと山登りの楽しみが広がると思うのです。
目次
季節による山登りの楽しみの違い
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私が登山者さんから聞いて残念だなと思う言葉があります。
「私は危ないから夏しか山は行かないんですよ」
とか、
「あの山はお花が終わったから登らないよ」
などです。
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たしかに、山には山ごとの「ベストシーズン」はあるかもしれません。
有名なお花畑だったり、山小屋が営業していたり、池の景色がきれいだったり。
私も実際、遠くへ出かけて行く山は、そういう時期を選ぶことが多いです。
でも、比較的ご近所で気軽に行ける山は、季節を選ばず登りに行くんですよね。
花がまだ咲いていなくても、もう散っていても、登山道の整備がまだでも、人が少なくても。
それは、「その山」じゃなくて、「その季節」だからこその魅力があるからなんです。
私の楽しみ方なんて例に過ぎませんけれど、書き出してみたいと思います。
どれか一つでも、興味をもってもらえたら・・・うれしいです。
春残雪期
固くしまった雪の上を歩く
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冬が終わって、下界では暖かくなってきたころ、山の上にはまだ雪がたっぷりと残っています。
かといって、冬山のように新しく降り積もる雪はなくて、冬の間に積もって固く締まった雪です。
雪をかき分け苦労してラッセルする必要もないのに、景色だけは雪山。
「冬山はやらないけど・・・」
雪の上を歩く楽しさを、お手軽に味わえるんですよね。
これから冬山にもチャレンジしたい人にとっては、春の残雪期はいい様子見になりますよ。
暖かい
残雪は太陽の光を照り返しますから、太陽が出ているとじつはとても暖かいです。
しかも、体は冬の寒さに慣れていますから、ポカポカと気持ちがいいんです。
芽吹き
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残雪の下の花は、もちろん影も形もありません。
ただ、木々は違います。
普段は高いところにある木の芽が、残雪期はすぐ目の前にあるのです。
もう春近しを感じることが出来ます。
そっと手にとって、観察すると、花とは違う可愛らしさがあって、ついつい足を止めてしまうんです。
春
高山植物が咲き始める
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低山では、雪が消えて最初の高山植物が咲き始める季節です。
「満開になるのはもう少し先」
ですが、1輪、1株、消えかけの残雪の脇で、陽当りの良い場所から順番に咲いているのはとても健気で可愛いです。
「お花畑を観るのは夏、お花を観るのは春」
と私は思ってます。
地上では終わった桜を観る季節
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日本人は桜が好きですよね。
普段は花に興味がない人でも、桜だけは関心が高いですから。
春の山の上に行くと、地上ではもう散ってしまった桜が、ようやくツボミをつけたりしています。
「うわー、まだ桜だよ」
と、嬉しくなります。
桜を通して季節の訪れの違いを感じるんです。
初夏
人が少ないギリギリの季節
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初夏、高い山ではようやく春が訪れます。
上で書いた、「低山での春」と共通するところがあります。
雪渓の脇から顔をのぞかせる高山植物は、緑をバックよりも雪をバックのほうが映えます。
「高山植物って、なんでこんなにかわいいんだろう?」
と、いい年のオッサンですら笑顔になりますからね。
山小屋はオープンし、登山道の整備も着々と進むこの時期は、人が少ないギリギリの季節です。
何百人も入るような山小屋でも登山者は数名だったりしますから、スタッフさんたちも優しいしノンビリしてるし、穏やかな時間が流れています。
テント場も登山道も、出会う人数が少ないのでとてもいい雰囲気。
私は大好きな季節です。
水が豊富な季節
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残雪があるということは、水が豊富なのも魅力です。
それは雪渓の雪解け水が利用できて、飲水に困らないという意味もありますが、土の上や岩の間を縫うように流れる水は、なんかいいんですよ。
耳を澄ますと、チョロチョロ・・・という音に気づきますのでぜひ足を止めて聴いてほしいなあ。
判断力を試すスリル
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この季節は、人が少ない反面、自分で判断しなければいけないことが増えます。
登山道には踏み跡は少ないですし、昨年通れたルートが冬の間に異常を起こしていないか、まだわからないからです。
これが夏なら、「ルート注意」という看板が設置されたり、ロープが張られたりしますが、もしかすると自分が最初の一人かもしれないのです。
もちろん危険を含むわけですが、これは楽しいことでもあるんです。
「行けるか行けないかハッキリしている道」
と、
「行ってみて自分で判断しながら進む道」
とでは、達成感が全然違います。
語弊があるかもしれませんが、スリルがあるんですよね。
もしかすると登れないかもしれませんが、それはそれで満足できるものです。
自分の判断力を使って登った(登れなかった)山は、誰でも足を動かせば登れる山より面白い!
みじかい夏
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山の夏は短いですが、いちばん人が多く訪れる最盛期です。
人が多いということは情報もあふれるほど多いですし、登山道も道に迷うことが難しいくらい人でギッシリ。
安心感をもってリラックして登れるのは、この時期がダントツです。
ただ、そもそもこの記事を書いている理由にもなりますが、
「山が一番いいベストシーズン」
ではなくて、
「社会人が山に行きやすいベストシーズン」
に過ぎないとは思います。
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秋
地上より早い紅葉
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山の紅葉は、早くしかも大規模に訪れます。
北海道の大雪山黒岳などは、8月下旬には色づき始めますからね。
私も紅葉は好きですが、山の紅葉で特に好きなポイントは、
「いろいろな種類の紅葉が、自然な姿で混ざり合って観れる」
ところです。
地上で観れる作られた並木や庭園は、統一感がありすぎて、自然の姿には及ばないと感じます。
きのこ鑑賞
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秋には花が少なく、山や森から色彩が消えてしまいます。
かろうじて残っているのは、木の実の赤とかでしょうか。
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そして、それまで花が主役だった登山道脇にあるキノコたち。
色も形もバリエーション豊かで、知識がないぶん、出会うものすべてが新発見で面白いです。
晩秋
葉が落ちた森
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秋も深まってくると木の葉っぱが落ちてしまって、遠くまで見通せるようになります。
私は「森が透き通る」と勝手に表現していますが、好きなんですよね。
とくに、高いところから見下ろすダケカンバの森が大好物で、
「地面の下から亡者たちの白骨の腕が伸びてきている」
ようだと思ってます。
霜柱の楽しみ
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寒くなってくると、登山道の霜柱がきれいです。
朝早く歩き始めると、地面が5cmほど盛り上がり、ザクザクと霜柱を踏み砕きながら進んでいくことになります。
誰かが歩いただと、なんだか損したような残念な気持ちにすらなりますし、気温が上がった頃には霜柱が融けてグチャグチャになる(転ぶと悲惨な目に)ので、早朝一番乗りだけの特権でしょうか。
動物が冬毛に
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この季節は、動物たちも冬毛に衣装替えする時期です。
たいていは白く、毛が長くモコモコになるので、可愛らしい。
北海道で言えばキタキツネが可愛いのも冬毛、オコジョが真っ白で目立つのも冬毛。
雷鳥も、タヌキも、この時期に出会えたら嬉しさ倍増です。
美しい冬
冬山は、あまり安易にはオススメできませんが、魅力にあふれています。
雪と氷の造形
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なんといっても、雪や氷が生み出す造形は、この時期だけの、しかも山へ登った人だけの楽しみでしょう。
霧氷や樹氷、シュカブラ(雪で出来た波型模様)に代表されますが、山全体が白く覆われて岩が黒く感じる世界はそれはそれは美しいです。
危険を伴う冬山に行く最大の理由は、みなさんこれじゃないかな。
独特の面白さ
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雪が積もると、登山道は雪の下に埋まって、コース取りが自由になります。
足元がお花畑だろうが関係ないですし、ジグザグに登るのもまっすぐに突っ切るのも自分次第。
スノーシューやアイゼン、スキーなどの道具を使って歩くのは、歩くこと自体が面白くて病みつきになります。
ピッケルなども含めて、冬にしか使わない道具や、冬の登山ウェアに身を包むのもワクワクしてしまいます。
挑戦する楽しみ
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冬山は、たいへんです。
夏なら簡単に往復できる山でも、登れるかどうかはわかりません。
雪が深ければ2倍も3倍も時間がかかりますし、荷物も重いし、どんな危険が待っているかわかりません。
そのぶん、達成感はとてつもなく大きいです。
真っ白で景色が見えなくても、山頂まで登りきっただけで嬉しいのは、夏山とは比べ物にならないですよ。
動物のあしあと
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雪の上には動物の足跡が残りますから、それを観察するのも楽しいです。
アニマルトラッキングといいますが、観察しているうちに、どんな動物かわかるようになりますよ。
「この子は、いったい何を考えてこっち行ったんだろう?」
などと考え出すと、楽しいのです。
私は動物好きですから、冬山でいちばん楽しみにしていることかも。
クマがいない
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そうそう、冬山にはクマがいません。
彼らは冬ごもりしていますから、気配も感じません。
春が近づいて雪の上にヒグマの足跡が出てくるまでは、人間に危険を及ぼす動物はいません。
どうしてもクマが怖い人でも、安心して登れますね。
リスクも忘れてはいけません
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いろいろな季節に山へ向かってほしくて、季節ごとの楽しみだけを紹介してきました。
ただ、「大勢が登る夏じゃない」ということは、それだけリスクもあります。
楽しそうだからというだけで、夏と同じ気分で突っ込めば予想外のトラブルに出会うかもしれません。
一気に飛躍することなく、少しずつ少しずつ季節の幅を広げていってください。
いつでも山には楽しみがあるってこと
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「季節外れだから誰もいないだろうな」
と思って山へ向かうと、案外他にも登山者がいて驚かされることがあります。
あまり人が登っていないように見えるのはSNSなどの世界だけのことで、みなさんコッソリ(?)と自分たちだけで楽しんでいるものです。
誰かに見せたいような楽しさじゃなく、ジッと自分だけで噛み締めたい楽しさ。
「こんな楽しさ、誰かに言ってもわからないだろうな」
という感じでしょうか。
でも、それがまた楽しくて楽しくて仕方がないわけですよ。
「どうしてこんな時期にも山へ行くの?」
と言われても山へ向かうのは、みんな楽しみ方を知っているからなんです。
季節関係なく山へ登るようになると、
「夏なんて人が多いからなあ」
と思うようになるかもしれません。
山ごとにベストシーズンはあるかもしれないけれど、登山人生にベストシーズンなんてないんです。
あなたの次の一歩のきっかけになれば嬉しいです。
「どこでも好きな時期に1週間休みを取れることになった。山登りに行きたいので案内してほしい」
と言われたら、真夏は選ばないってことです。