こんにちは、寝袋!です。
「少しの荷物を持って、どこかへ行ってしまいたい」
「あてもなく旅を続ける、そんな生き方に興味がある」
という人はもちろんですし、そこまで思わなくても、
「自然の偉大さを共感させてくれる、素敵な本が読みたいな」
と思っている人へ、ぜひ読んでいただきたい本があります。
ジョン・クラカワー著、
INTO THE WILD
です。
事実に基づいたストーリーはもちろん、それに彩りを加える、
ソローなどが残した名言
が、深く心に染み込んでくる一冊です。
『INTO THE WILD』とは
あらすじ
アラスカの荒野で、1人の腐乱死体が発見されました。
その死体は、クリストファー・マッカンドレス(以下、クリス)という青年のものでした。
彼は大学卒業後、車も貯金も捨て、現金すら燃やし、ほとんど何も持たずに放浪旅をしていた青年です。。
街よりも荒野を好み、自然の中に入っていった彼が、旅の集大成として向かった土地、アラスカ。
彼はアラスカの荒野で、
「自然が与えてくれるものだけを食べて、生きていく」
ということに挑戦します。
その試みは、彼の周到な準備と知識によって、成功するかと思われました。
ですが、たった1つのミスによって、彼は自由を奪われ、餓死することになったのです。
死体が発見されてから、徐々に死体の正体が判明していきました。
称賛する者と馬鹿にする者、世間は真っ二つに別れました。
作者は、
過去の様々な放浪者、冒険者、そして自分自身の経験談
に基づき、クリスの深い精神性に迫っていくのです。
映画の映像の美しさもいい
この作品は、ショーン・ペンの手により映画化もされています。
私も最初はこの映画を先に知って、その後、原作であるこの本を読みました。
ジョン・クラカワーは、どちらかというとクリスに理解を示した立場で、本を書いています。
映画化しようとした、ショーン・ペンも同様の立場なので、原作と映画、どちらから入っても問題はありません。
ただ、
「アラスカという土地のことをよく知らない」
私のような人間にすれば、映画のほうが直感的・視覚的に、クリスが魅せられた世界を、知ることが出来ると思います。
この映画の自然の映像は美しい。
すぐに道具を持って旅に飛び出したくなる、そんな映像です。
魅せられる
私の目指すものとは違う
私は、自然が大好きです。
旅でも山登りでも、美しい自然に入っていく時は、心がときめきます。
ただ、どんなに「原始的な自然が残る」と言われる登山縦走コースでも、私が入っていけるような場所は「荒野」ではありません。
また、同じ放浪旅でも、クリスが目指した
「大自然の中で、1人で生きていく」
というようなものではありません。
悲しいかな、私程度の人間が、語っていい世界ではないのです。
正直、私には出来はしないでしょうし、やろうとも思いません。
しかし・・・
彼のやろうとしたことに対して理解したり、
憧れを抱いたり、
共感を覚える程度には、自然の偉大さを知っているつもりです。
この本や映画に感動する人が多いということは、私のような人間が多いのでしょう。
誰にも顧みられることなく、幸福で、しかも、生命の野性的な中心部の近くにいた。
孤独で、若くて、気ままで、野生の心を持っていた。
はげしい風や、半塩水や、貝や、海藻などの海の幸にヴェールをかけたような灰色の陽の光にたっぷり恵まれながら、孤独だった。
この笑顔には真実がある
彼の最後の所持品の中にはカメラが残っていて、そのフィルムはのちに現像されました。
ネットを探すと、その中の数枚が見つかります。
上の写真は、彼が死ぬ前に撮った最後の写真ですが、おそらく、
死ぬことを悟った後に撮った
と本には書いてありました。
私はこの写真のクリスの笑顔を見た時、ザワッとした。
「こんなすてきな笑顔で、死んでいけるものだろうか?」
私は本の中でも引用されていた、ソローの言葉を思い出しました。
自分に正直に生きて、誤った方向に進んだ者はこれまで誰もいない。
それによって、肉体的に弱ったとしても、まだ残念な結果だったとは言えないだろう。
それらはより高い原則に準拠した生き方であるからだ。
クリスは、きっと大満足で死んでいったと思います。
発見された時、死に顔は穏やかで、微笑んでいるようだったといいます。
最後にこんな笑顔をして死んでいける人物が幸せじゃなくて、誰が幸せだというのか?
あなたへ
この映画・本はオススメです。
ぜひ作品に触れて、自分自身の人生を見つめ直す、きっかけにしてくれたら嬉しいです。
私自身、今でも読み返すたびに、心が目覚めますから。