こんにちは、寝袋!です。
冬山を登ろうとすると、必要になってくる道具の一つが、アイゼンです。
アイゼンについて一応説明しておきますと、氷や氷化した雪の上を歩く時に滑らないように、靴底に取り付ける金属製のツメのことです。
アイゼンには、
- ワンタッチ式
- セミワンタッチ式
- ストラップ式
と、3つの取付方法があります。
それぞれ長所短所があるのですが、現在、1番人気があるのはセミワンタッチ式です。
一般的に、
「簡単に取り付けできて、初心者にも安心」
という説明の仕方をされています。
本当でしょうか?
初めてアイゼンを買う人は、ちゃんと違いを理解して、納得してセミワンタッチ式を買っているのでしょうか?
私は「ストラップ式」こそ、初心者向けだと考えています。
アイゼンの取付方法を説明して、その理由を書いていきます。
目次
アイゼンの取付方法
それでは、まず取付方法を簡単に説明する。
ワンタッチ式
登山靴の前後の溝(コバと呼ぶ)に、金具とビンディングをはめて取り付ける方法です。
前後にコバが付いている、専用の登山靴が必要となります。
セミワンタッチ式
ワンタッチ式が前後ともコバが必要なのに対し、セミワンタッチ式は、後側だけがビンディングで固定されます。
登山靴は後ろだけコバがあれば大丈夫です。
ストラップ式
前後ともすべてストラップで固定する、昔ながらの基本的な取付方法です。
登山靴はとくに選びません。
誤解を生む表現
誰でも最初は、(セミ)ワンタッチというと、
「スキーを履くように、ビンディングで『バチンッ』と固定されるんだな」
と考えてしまいます。
ところが、それは間違いで、じつは
「すべて最後はストラップで固定する」
ものが多いのです。
コバとビンディングは、
「取り付ける時に噛み合って、固定されますよ」
というだけなのです。
取付方法の比較
取付方法をいろいろな視点から比較してみましょう。
登山靴との関係
まずは、登山靴との関係を表にしてみました。
前コバ | 後コバ | 相性 | 合わないと | |
ワンタッチ式 | 必要 | 必要 | とても重要 | 外れる |
セミワンタッチ式 | 不要 | 必要 | 重要 | 外れる |
ストラップ式 | 不要 | 不要 | なんでもOK | 外れない |
合わないとすぐに外れて使い物にならなりません。
コバを利用するものは、登山靴とアイゼンとの相性があります。
ですから、アイゼンを買う時は、必ず登山靴をお店に持っていって、実際に合わせて買う必要があります。
また、最初に調整しておく必要があって、調整がズレるとやはりすぐに外れてしまいます。
ここでお気づきの方もいると思いますが、つまり、
登山靴を変えると、アイゼンも買い換えなければいけない可能性がある
ということです。
取り付け速度と固定力
次に、取付方法による、取り付け速度の違いと固定力の違いを表にしました。
取り付け速度 | 固定力 | |
ワンタッチ式 | やや速い | 強い。登攀などには安心。 |
セミワンタッチ式 | やや速い | 強い。登攀などには安心。 |
ストラップ式 | 普通 | 普通。 |
まず、取り付け速度ですが、言葉で表すと上の表のように差があります。
だけど、実際の差がどの程度かというと、
「ワンタッチ式で3分かかるとしたら、ストラップ式だと3分30秒」
という程度なのです。
慣れている人なら、ほとんど差はありません。
また、ザックを下ろしたり、取り出したり、アイゼンを履くために停滞する時間全体からすると、誤差みたいなものです。
どうでしょう? 「イメージと違う」という人が多いのでは?
「相性が良くて調整もバッチリ」な(セミ)ワンタッチ式は、固定力が強い。
ズレないので、アイスクライミングなど、前ツメを積極的に使う場合には大変頼りになります。
こういう登山を指向する人は、(セミ)ワンタッチ式を選んだほうがベターでしょう。
ストラップ式の取り付け方法解説
それでは、
「難しそう」
と言われる、ストラップ式の取り付け方法を説明していきます。
たったこれだけ。思ったより簡単だと思いませんか?
正直、ビンディングがあろうとなかろうと、「時間に差はない」と断言したいくらいです。
最後に
私は、
- 靴を選ばない
- 外れにくい
- 取り付け時間に差がほとんどない
- 他人にも貸せる
というメリットが大きいので、初心者にはストラップ式のアイゼンをおすすめします。
(セミ)ワンタッチ式の長所は、取り付け時間などではなく、固定力の強さなのです。
もし前ツメを積極的に使うようなクライミングを楽しみたいなら、(セミ)ワンタッチ式を選ぶメリットは大きいです。
ですが、そういうことをしないのならば、ストラップ式にデメリットはありません。
そもそも、ほんの少し前まで、ストラップ式しかなかったことを考えれば、ウソじゃないと解ってもらえるのではないでしょうか?
「ストラップ式で力不足」なシーンは、かなり上のレベルの話です。
どれを選んでも結構ですが、
「なんとなく難しそうだから」
と、最初からストラップ式を除外するようなことだけは、しないほうがいいですよ。
個人的にはブラックダイヤモンドが大好きです。
私は信頼して使っています。
グリベルのエアーテックシリーズは、ツメが短めで歩きやすいので、初心者にはいいかもしれません。