こんにちは、寝袋!です。
山に登っていると、いろいろな面白い登山者に出会います。
私は、山も好きだけど、山に登っているユニークな人との出会いも楽しみです。
今回は、縦走中の食事がすべてアンパンだけという、面白い人を紹介します。
その人のザックからは、次から次へとアンパンが出てきました。
テントでの食事も、行動食も、全部ですよ!?
2泊3日の縦走コース
私がそのアンパン登山者Aさんと出会ったのは、初夏の縦走コースでした。
2泊3日の予定で、1泊目はテントで、2泊目は無人小屋です。
Aさんもまったく同じコースで、同じ日程だったのです。
休憩で出会いました
道中はほとんど分岐もありませんでしたから、私とAさんは抜きつ抜かれつで歩いていきました。
そのうち、なんとなく言葉を交わすようになったのです。
歩き始めて何時間だったでしょうか?
Aさんが休憩しているところに、私が追いつきました。
ちょうど私も休憩したかったので、横にザックを下ろして一緒に座り込みました。
「なかなかキツいですね~」
なんて、話したと思います。
アンパンが美味しそう
Aさんは、ザックの中からアンパンを取り出して食べていました。
山で食べるアンパンは、甘くて塩分もあっておいしいものです。
「おいしそうだな~」
と思って見ていました。
ところが、Aさんは食べ終わると、もう一つザックからアンパンを取り出したのです。
私は、行動中はあまり食べられない体質なので、
「うわっ、もう一つ食べるんだ!」
と、うらやましく感じたのを覚えています。
「アンパン好きなんですね」
と言うと、
「ええ、『山ではアンパンがいい』って言うじゃないですか。初心者の頃からずっとアンパンに決めてるんですよ」
とおっしゃいました。
え?もしかして
1泊目のテント場で
その縦走コースには、他にはもう1人だけいました。
1泊目も2泊目も、3人で過ごすことになりました。
気持ちの良い人たちで、近すぎず遠すぎず、距離感が心地よい登山でした。
テントの外で食事を作っていると、Aさんはなんと、またアンパンを食べています。
最初は、
「傷む前に、今日中に食べるつもりなんだな?」
と深く考えませんでしたが、それにしては多すぎます。
注目していると、なんと夕食だけでアンパン3つではないですか。
口にしているのは、アンパンと水だけ!
「まさか・・・」
2泊目の無人小屋で
次の日は私が一番出発が早く、しかもそのあと、誰にも追いつかれませんでした。
Aさんと次に一緒になったのは、2泊目の無人小屋でした。
そして、なんとAさん、その日もザックからアンパンを取り出して食べていたのです。
私はとうとう聞いてしまいました。
「あの、もしかしてずっとアンパンだけ食べるんですか?」
Aさんは豪快に笑って答えました。
「だから言ったじゃないですか。全部アンパンだって」
ええ~~~~!?
なんとAさん、行動食も朝晩の食事も、すべてアンパンだけなのです。
「1日あたり8個です」
Aさんは、こともなげにそうおっしゃいました。
じつは効率的?
Aさんは、じつはガスも食器も持ってきていません。
いっさい調理もしなければ、お湯を沸かすことすらしないのです。
だから「アンパンと水」なんです。
Aさんいわく、
- ガスも鍋もいらないから、軽いしかさばらない
- 1日8個(Aさんの場合)なので計算しやすい
- ザックの中でつぶれるので、案外コンパクト
- どんどん軽くなる
のだそうです。
「アンパンに飽きるのだけが欠点」
とおっしゃっていました。
その場ではAさん含め3人で笑っていましたが、
「もしかして案外効率的なのでは?」
という思いが、数年経った今でも消えません。
試す勇気がないのですが、どうなんでしょうか?
世の中には、教科書には載っていないユニークなことを考える人がいるものですね。
みなさんも、山での面白い人との出会い、楽しんで下さい。