【山岳ガイド兼写真家】志水哲也は手が届くヒーロー【果てしなき山稜】




こんにちは、寝袋!です。

世間一般に知られる有名クライマーは、

私たち一般人には手の届かないスーパーヒーロー

です。

植村直己さんに始まり、山野井泰史さん、平出和也さんなど、

私たちが行けない世界

での挑戦をする人たちです。

今回紹介したい登山家(?)は、一般人でも一部の上級者ならば、近づけるレベルの登山家です。

一般登山者でも手が届きそうなヒーロー

なのです。

登山対象が理解できますから、逆に凄さもわかります。

そして、その山行を伝える、彼の文章が素晴らしいのです。

現在は富山県の黒部で、山岳ガイド兼写真家をしている、

志水哲也さん

について、私が知るマル秘エピソードも交えて紹介します。

志水哲也の経歴

まずは、彼が登山に目覚めてから、写真家に転向するまでの、おおまかな経歴を見てください。

1982年 16歳、南九州一人旅の途中、屋久島で旅の一環として登った宮之浦岳縦走で、山に魅せられる。沢登り、岩登り、雪山登山も開始。
7~8月 南アルプス全山縦走(24日間)
1983年 7~8月 北アルプス全山縦走(42日間)
1985年 大井川の主な沢25本をトレース(井川本村に下宿して約4ヶ月間)
1986,87年 黒部川の主な沢25本をトレース(86年は宇奈月温泉街に、87年は黒部湖畔に下宿して、それぞれ約3ヶ月半)
1989年 6~9月 ヨーロッパアルプス(シャモニロジェールキャンプをベースに約3ヶ月半)ドリュボナッティ岩稜と、モンブランデュタキュールジエルバズッチ岩稜を単独登攀
同行者とグランドジョラス北壁ウオッカー稜、チマグランデ北壁コミチルート、グランカピサン東壁、ミディ南壁などを登攀
12~1月 冬季南アルプス全山縦走(20日間)
1991年 2~3月 冬季中央アルプス全山縦走、冬季知床半島全山縦走
5月 日高山脈全山縦走
1992年 北海道襟裳岬~日高山脈全山~十勝大雪山地~北見山地~宗谷岬 山スキーで縦走(約5ヶ月間)
1999年 積雪期剱沢大滝単独登攀に2度失敗し、エンジェルフォール登攀計画頓挫を機に登山から写真に転向。
  • 日本の南北アルプス、北海道を舞台とした縦走
  • 海外の岩登り
  • 黒部を中心とした沢登り

と、さまざまな分野の登山をしています。

特徴として上げられるのが、数ヶ月にわたる、長期計画が多いことです。

1992年の北海道南北縦断は、なんと5ヶ月間におよびます。(あとで詳しく書きます)

この経歴を見て、中には、

「これくらいなら、出来るやつ、けっこういるんじゃないか?」

と感じる人もいるでしょう。

そうなのです。

最初に書いたとおり、彼は飛び抜けたスーパーヒーローではないのです。

高校3年夏、北アルプス全山縦走

1983年、高校3年生。

彼は、夏休みを利用して42日間をかけ、餓鬼岳から日本海まで、250kmを縦走しました。

粗食の長期縦走に備えて、毎日10合食べていた米を、2合に減らしたそうです。

また、寒さに慣れる体を作るため、学生服の下は裸で、冬を過ごしたりしたそうです。

アルバイトでお金を貯め、両親には山小屋でバイトすると嘘をつき、こっそりと縦走したのです。

黒部の沢登り

彼は2年がかりで、黒部の沢登りに向かいました。

大量の道具と荷物を受け入れてくれる下宿先を探し、主な沢25本を、徹底的に遡行したのです。

これほど短期的・集中的に、黒部の沢を調査して遡行図にまとめるというのは、過去なかったことでした。

冬期北海道縦断

1992年、彼は北海道の襟裳岬から宗谷岬まで、山脈をつないで縦断しました。

5ヶ月におよぶこの山行は、かつてないものでした。

日高山脈縦走や、大雪山系縦走というのは、上級登山者や山岳部などには、登山の対象になります。

しかし、それらを全部あわせて、一気に北海道を縦断しようというのは、

他に誰も考えつかなかった

計画です。

登山者では思いつかない発想ですし、旅人では実行できないでしょう。

彼は、両方を兼ね備えていたから、計画し、実行できたのだと思います。

志水哲也の魅力

経歴を見て、彼の主な登山を、簡単に紹介しました。

「すごいけど、すごくない」感じがしませんか?

あなたの知っている登山仲間で、一番レベルの高い人なら、実行できそうな登山ばかりではないでしょうか?

でも、彼の魅力を知るには、もう少しお伝えしなければなりません。

チロリアンブリッジ

オールラウンドな登山

著書の中に、彼を評してこういう言葉があります。

『世の人の目を引くことを考えると、1つの分野に尖鋭化していく必要があるが、彼はオールラウンダーとしての立場を変えなかった』

オールラウンダーな登山者、それはつまり、私たち一般の登山者に近いのです。

普通の縦走をしたり、沢登りをしたり、岩登りをしたり、

いろいろなことを楽しむ

登山者です。

彼いわく、

「全部やっていると、青春がどれだけあっても足りない・・・」

から、他のクライマーはみんな、自分の目指す世界に特化していくのです。

彼は、それをしなかった、珍しい例だと言えるでしょう。

山野井泰史さんは
誰もが認めるクライマーの山野井泰史さんですが、彼は自分のことを、

「岩登りや壁登りはとても得意だけど、大きな荷物を背負う長期の縦走では、それほど強くはない」

と話しています。

志水哲也の書く文章

彼の書く文章は、簡明な言葉ばかりなんですが、心に響くものが多いです。

とくに、彼が20~30歳のころに書いた著書、

『大いなる山 大いなる谷』『果てしなき山稜』

は、青春時代の若々しさにあふれていて、何度も読み返してしまいます。

ジャンプッ

失敗して流される(でも楽しそう)

発想の自由さ

奥さんと登山に行った時に、2人で荷物を分けるのではなく、2人で1つのザックで行ったことがあるそうです。

1人が担ぐ時は、1人は空身で歩けるので、試してみたそうです。

しかし、彼が背負っている時は、

「お姫様のようでいいわねえ」

と嫌味を言われ、彼女が背負っている時は、

「女性にだけ荷物持たせて!」

と、いきなり怒られたときもあったそうです。

彼は、世の中の「こうあるべき」という見方に反発し、生きてきたのです。

誰もが思春期に持っていた思いを、まだ持っている大人なのです。

マル秘エピソード

ここでちょっと、彼のエピソードを1つ。

東京大田区にある、居酒屋さんでのお話です。

彼は、かなり酔っていたのですが、居合わせた女性を口説き始めました。

「2人で南の島へ行って生活しましょう。私が魚とか獲って食べさせますから」

今どき、こんなナンパありますか?(笑)

たまたまそこに居た人が、私が志水哲也が大好きだと知って、後日教えてくれたエピソードです。

その人は、

「どこまで本気かしらないけど、なんていうか、変わった人だったよ」

と、言葉を選んで言いました。おそらく嫌いだったと思います。

しかし、私に言わせると、

「彼らしいな」

と感じましたし、笑ってしまいました。

私にとって、志水哲也は、

いつまでも夢のような青春を追いかけてる

男なのです。

志水哲也の現在は?

今は、黒部に移住して、山岳ガイド兼写真家として、生活しています。

ずいぶん写真家としてのウェートが、大きくなっているようです。

正直、私は彼の写真には魅力を感じません(わからない)ので、あまり観ません。

彼自身が話しているように、登山に関しては、もう「ただの山岳ガイド」に過ぎない人です。

最後に

私は、現在の彼には、興味がありません。

しかし、彼が若い頃に計画して、実行した登山は、素晴らしいと思っています。

かなりのファンです。

いまだに彼の本を取り出しては、読み返してしまう、輝きがあります。

彼の青春がまぶしいのか、彼の文章が素晴らしいのか、どちらでしょうか。

最初に、彼は、手が届きそうなヒーローだと書きました。

スーパーヒーローの青春には、感心こそすれ、共感は感じません。

でも、彼の青春には、まるで自分自身の青春に重なるような、そんな思いを抱けるのです。

強引に作り上げた自由

1つのことだけに焦点をあて、とことん追求していこうとする、ある種の芸術家に多くみられる生き方に憧れていた。

でも、僕はそういう生き方は出来なかった。

自分を待ってくれている人、見てくれる人の存在を望んだ。山への夢だけでは生きられない。

彼が今、どういう思いで生きているか知りませんが、彼には今も、青春の中にいて欲しいと思います。

私たちがやりたかったこと・やれなかったことを行ってきた、

私たちの青春の延長上にいる、手の届きそうなヒーロー

彼は、そういう登山者です。

著書紹介

彼が北海道の襟裳岬から宗谷岬まで、山を歩いて縦断した5ヶ月間の旅の日記です。

私はこの本で彼を知り、魅せられました。

山の上だけではなく、下山中の彼の行動も書かれています。

彼のことを知るためには、ぜひこの本を読んでいただきたいです。

長く絶版でしたが、ヤマケイ文庫から再販されました。

ちなみに、この本を出版する時、編集スタッフの1人に服部文祥がいて、共感を覚えて頑張ってくれたという裏話があります。

彼が、高校生の時に北アルプス全山縦走をした記録から、黒部の谷遡行まで、青春の記録です。

絶版で、なかなか手に入らないと思います。

中古で見つけたらぜひ、手にとってください。

上の2冊のほか、後年書いた自叙伝や写真集もありますが、ここではオススメはしないでおきます。

彼の青春の言葉は、上の2冊に詰まっています。






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