こんにちは、寝袋!です。
登山経験を積んできて、今では登山のガイドをしている私ですが、
「初心者の頃の自分に、これを教えてあげたい」
と思うことがたくさんあります。
それらを、当時の私の気持ちを振り返りながら、まとめていきます。
今回は金言その8、
「雨で濡れるのと、汗で濡れるのは大違い」
というお話です。
目次
私が初心者の頃
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雨の日の登山はイヤですよね
濡れるのは一緒
よく登山者の方に、
「レインウェア着ると蒸れて汗で濡れるし、それなら着なくても一緒でしょ?」
「雨で濡れても、汗で濡れても同じ」
と言われます。
「バカヤローッ!」
と叱りつけたいところですが、そんなことしません。
だって、私もそう思っていた時がありましたから。
たしかに、レインウェアって透湿性があるのですが、山を登るとほぼ蒸れます。
蒸し暑く感じて、レインウェアの中は汗でびしょ濡れ。
「濡れるのを防ぐためなのに、意味ないよ!」
と思うのも、仕方がないのかもしれません。
私の経験「ある雨の日にレインウェアを脱いだ」
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あの日は汗でびしょ濡れでした
ある初夏の頃、気温も高く風もなく、穏やかな日でした。
ただ1つ、天気は悪かったのです。
最初こそ順調だったのですが、1時間も歩かないうちに、想定より早く雨が降り出しました。
「濡れちゃ嫌だな」
と、早めの判断でレインウェアを着て、登山を続けました。
ところが、暖かいものですから、どんどん汗をかいてしまって、どんどん濡れてしまいました。
しかも、気持ち悪い!
「雨足は弱いし、レインウェア脱いだほうが濡れないな!」
と、バカな私はレインウェアを脱いでしまったのです。
レインウェアを脱いだ瞬間の、汗がスーッと冷えていくのが、とても気持ちよかったです。
「やっぱり!絶対こっちのほうが気持ちいい」
と元気に登っていったのです。
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しかし、それは長くは続きませんでした。
大したことのない雨なのに、私の体がどんどん冷えていったのを感じたのです。
「うわっ寒いかも。レインウェア着たほうがいいな」
そう思ってレインウェアを着たのですが、じつはもう遅かったのです。
レインウェアを着ても、冷たく濡れたウェアは冷たいままで、寒気を感じるほどでした。
止まると寒いので、ガツガツ登っていくうちに、寒気はなくなりました。
私は愚かでしたが、体力はまだあったので熱を生み出せて、助かりました。
私があとで気付いたこと
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濡れるのは一緒だけど
体験して初めてわかったことがあります。
雨でも汗でも、濡れるのは同じですが、1つ大きく違うことがあるのです。
みなさん、おわかりになりますか?
それは、
『気温は体温より低く、雨は気温よりさらに低い』
ということです。
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汗(水蒸気)は自分の体から出るものですから、最初は体温に近いのです。
そのまま濡れたままで、汗が冷えてしまうのはもちろんいけません。
冷たくなった汗で体が冷やされ、ゾクゾクッと寒さを感じてしまいます。
いわゆる「汗冷え」というものですね。
雨はダイレクトに体温を奪います
それに対して、空から降ってくる雨は、最初から冷たいのです。
体にあたった瞬間から、熱を奪っていきます。
ですから、雨に直接当たるのはダメなんですね。
「暖かいシャワーを浴びて、体を拭かず湯冷めする」
のと、
「冷水シャワーを浴び続ける」
のとの違いです。
私たちは、一般生活では当たり前のように知っていることなんです。
それなのに、山ではどうして間違っっちゃうんでしょう?
山岳レースを見たことありますか?
あの人達は、すごい運動量をキープしますから、汗の量も多いです。しかし、雨が降るとみんなレインウェア着てますよね?
そういうことです。
私は比較的短い登山で失敗して、経験できました。
それ以来、雨が降ってレインウェアを着ないことは、絶対にありません。
私はラッキーだったと思います。
登山ガイドからのアドバイス
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もし興味があれば、一度登山用のウェアを着て、雨の中で立ってみて下さい。
もちろん、「平地で」ですよ。
雨粒は、信じられないくらい直接的に、肌に当たるのを感じるでしょう。
普通の衣服のように、ジワーッと濡れてくるのではないのです。
雨粒は、登山用の高機能素材のウェアを、素通りしてきます。
「まるで裸で立っているみたい」
で驚くと思います。
蒸し暑いのに、レインウェアを着るのは苦痛です。
誰でもそうです。
みんなその不快さに耐えて、頑張っているんです。
「雨が降ったらレインウェア」
この基本を忘れずにいてください。
私のように失敗した時、もし高い山の上だったら、後悔しても遅いことになりかねません。
登山と熱との関係は、この記事でも書いています。
レインウェア着てても、どんどん熱が奪われる場合があるのです。
こちらもどうぞ
かなりの登山経験を積んだ今になって、初心者の頃を振り返って思います。
「あの頃、これを知っていたら・・・」
登山について、お金も時間も無駄にしてきた私ですが、
「これから誰かの役に立てば、無駄じゃなかった」
と思えます。
初心者・初級者が同じ思いをしないために、恥を捨てて書きまくります。
最初から読んでみてください。
お役に立てれば幸いです。