こんにちは、寝袋!です。
「登山者に嫌がられる危険な生物」というと、何が思い浮かぶでしょう?
クマ? ヒル? スズメバチ?
いろいろいますね。
今回は、マダニについて詳しくお話したいと思います。
本州の方が北海道の山を登りに来る際に、ヒグマと同じくらい気にされています。
北海道民にとってマダニはとても身近な生物で、山登りはもちろん山菜採りで、けっこう被害にあいます。
ですから、
「そんなに怖がらなくたっていいのに」
と思うのですが、気持ちはとてもわかります。気持ち悪いですしね。
今回は、マダニと戦い続ける北海道民の対策方法を交えてお話します。
目次
マダニとは?
マダニは、人間を含む動物に寄生する吸血生物です。
「寄生」と「吸血」という単語だけで寒気がしますね。
通常の状態では、体長3mmから5mm程度で、赤黒く薄っぺらい体をしています。
森の中の草の裏側などに潜んで、動物が通りかかると飛び移ってきます。
そして、体に噛み付いて吸血するのです。
マダニは人間に何をする?
血を吸う
マダニは、人間に飛び移ってから、噛み付く場所を探します。
たいていは、目立たない、皮膚の柔らかな場所に移動して噛みつきます。
噛みつかれても、痛みを感じることは少なくて、ぜんぜん気づきません。
マダニは頭を皮膚の中に潜り込ませて、吸血していきます。
どんどんお腹が膨らんで、トウモロコシぐらいの大きさまでなります。
10日以上噛み付いたまま吸い続けるのが特徴です。
病気を媒介する
極論すれば、血を吸われても、とくに問題はありません。
皮膚にくっついていると気持ち悪いですし、皮膚が突っ張るような違和感はあります。
マダニが問題視されるのは、まれに死亡につながるような、病原体を感染させる恐れがあるからです。
北海道民の予防法
それでは、自然と親しむ北海道民が、日頃からマダニ対策としてやっていることをお教えしましょう。
肌をさらさない
まずは、マダニが飛びついてきていきなり皮膚に到達しないように、長袖長ズボンなどで肌をさらさないことが大切です。
ズボンのすそを靴下の中に入れると、隙間がなくなって有効です。
登山の場合は、スパッツが効果的です。
そのうち中に潜り込んでしまうかもしれませんが、マダニが噛み付くまでの時間が稼げます。
それだけ発見しやすくなりますし、落ちてしまう可能性も高くなるのです。
なるべく白っぽい服装
服装はなるべく白っぽいほうがいいです。
赤黒いマダニがいるのを発見しやすくするためです。
ナイロンなどのサラサラ生地が良い
登山ズボンのような布生地より、レインウェアのようなナイロン生地のほうがマダニ対策になります。
マダニが飛びついても、落ちやすくするためです。
すぐに風呂、そしてチェック
下山したら、すぐにお風呂に入るのが有効です。
マダニは、
「皮膚に噛み付いて頭を潜り込ませてしまうと、お風呂に入れても離れない」
と言われています。
ですから、なるべく早く、マダニが噛み付いてしまう前に、お風呂で流してしまうのです。
そのためにも、マダニが皮膚に到達する時間をかせぐことが重要です。
上で書いてきたことが、なぜ大切かおわかりでしょう。
すぐにお風呂に入れない場合、男性の場合は裸になって、お互いにチェックするのもいいでしょう。
肌は白いので、動いているうちは案外見つけやすいものです。
マダニに噛まれてしまったら(定説)
それでは、もし運悪くマダニに噛みつかれて、血を吸われてから発見した場合は、どうすればいいのでしょう?
理想は病院で切除
マダニを無理に取り除こうと引っ張ると、噛み付いている口から、マダニの体液が逆流してしまいます。
それが、病原体の感染につながるのです。
一番確実な方法は、病院へ行って、皮膚を小さく切開してマダニを除去してもらうことです。
自力で除去
血を吸ったマダニはトウモロコシぐらいになりますから、(気持ち悪いですが)指でつまんで引っ張ることができます。
うまく取れればいいのですが、注意しないと頭の部分だけ皮膚の中に残ることが多いです。
頭部は接着剤のようなもので、皮膚に固定されているからです。
今ここを読んでいる人は、慣れていない人が多いでしょうから、ピンセットのようなマダニ除去機を使用するのもいいでしょう。
塩やワセリンをまぶす
「ワセリンを塗ったり、塩をまぶすと、マダニが嫌がって離れる」
という説もあります。
成功例もあるようですが、本当に効果があるのかわかりません。
離れるまで待つ
マダニは、長くても2週間血を吸い続けると、自然に体から落ちます。
肝の座った人なら、それを待つのも手ですが、現実的じゃありませんよね。
実際の北海道民のマダニ対応
では、北海道民は実際どうしているのでしょう?
山菜採り大好きな北海道民(都会暮らしは除く)は、噛まれる人はしょっちゅう噛まれます。
1回の山菜採りで、何匹も噛みつかれることも珍しくありません。
正直、そのたびに病院へ行くなんて出来ませんし、する必要も感じていません。
「ありゃー、マダニに噛まれてるわ」
と気づいたら、その場で自分でむしり取ります。
頭が残ったら、頭を針などで(トゲを取るのと同じ)ほじくり出します。
あとは、消毒薬でも付けておく程度です。
しばらくカユミや痛みは残りますが、アブに噛まれたようなものです。
昔からこういうやり方が身に染み付いているので、近年感染症の危険を叫ばれても、気にしていない人がほとんどです。
もし感染症が確率高いものなら、北海道民、毎年何十人も死ぬと思います。
良いか悪いかは言えませんが、これが、北海道民のマダニ対応の現実です。
登山中に噛まれたことに気づいたら
マダニに噛みつかれても、すぐには気づきません。
後日、血を吸って大きくなって目に留まるか、たまたま手で触れて気づくことが多いです。
痛いというより、皮膚が突っ張るような違和感を感じる程度なので気づきにくいんです。
もし、たとえば縦走中、運良く(悪く?)発見してしまったら、どうすればいいのでしょう。
手で取れる人は取ればいいと思いますが、取れない人は・・・
下山するまでは忘れましょう!
マダニがくっついているのは気分の良いものではありませんが、すぐに何か問題があるわけではありません。
下山して、病院へ行くまで、気にしないことです。
予定を変更して、下山するような必要はありません。
最後に
北海道民から、北海道へ登山に来られる人へ、アドバイスさせてもらいます。
マダニはあまり気にしないで登山して大丈夫です。
運悪く噛まれたら、それから病院に行けばいいだけです。
緊急性をともなう危険ではないですから、落ち着いて登山を続けてください。
マダニ対策として有効なもの
マダニを摘めるピンセット型の除去機
マダニに慣れていない人は、指でつまんで取るなんてできないでしょう。
パーティーで誰か1つあれば便利かもしれませんね。
マダニ予防スプレー
マダニ予防スプレーも方法の1つです。
マダニが飛び移ってこないようにすることが、大切ですからね。
効果はよくわかりません。