こんにちは、寝袋!です。
パタゴニアには『ナノパフ』という超ド定番のスグレモノがあります。
ダウンではない化繊の防寒着で、
「軽くて、コンパクトで、温かい。さらに濡れにも強い」
とずっと登山者に使われてきました。
しかし、パタゴニアが新しい化繊インサレーション素材を開発して、
ナノパフより暖かく軽いマイクロパフ
という製品を生み出しました。
はたして、マイクロパフは本当にナノパフより優れているのでしょうか?
買い換える、もしくは買い足す必要があるのでしょうか?
そう思っている人の疑問にお答えしましょう。
同じように疑問に思い、迷って、両方とも使い込んだ感想をお伝えします。
目次
パタゴニアの名品ナノパフ
まず、簡単にナノパフというアイテムについて説明します。
防寒着として最高の素材は、間違いなくダウンです。
しかし、ダウンは濡れると保温性を失うという欠点があるので、街着では大丈夫ですが、登山では取り扱いに注意する必要があります。
「ダウンが雨で濡れちゃって、寒くて辛かった」
という失敗は、珍しいことではありません。
パタゴニアは、重くなりがちな化繊素材を使いながら、
軽くてコンパクトで温かいナノパフ
というアイテムを生み出したのです。
それから長い間、
「山の防寒着ならナノパフがベスト」
と言われ続けてきました。
私もいくつかのブランドを使った後にナノパフを知り、それ以来ずっと愛用していました。
軽量で保温性アップのマイクロパフ
ところが、2017年冬、パタゴニアは新しい素材の開発に成功します。
「ダウンのように軽くて、しかも濡れても大丈夫」
「パタゴニア史上最も重量比で温かい素材」
というものでした。
そして生まれたのが、マイクロパフなのです。
「ナノパフより軽くて、コンパクトで、温かい」
のが本当ならば、もはやナノパフは存在意義がありません。
しかし、カタログからはナノパフは消えず、現在(2019年末現在)も、並行販売されています。
使用する前の予想
まず大前提として、登山者の多くは、
「ナノパフで何も問題はない」
と思っていました。
ですから、すぐにマイクロパフには飛びつかず、他のユーザーなどのレビューを待つ人が多かったです。
私(を含めてかなりの人)は、
「マイクロパフは軽量化に特化していて、温かいけどやや強度が不足しているのでは?」
と予想していました。
「だから、並行販売してるのに違いない」
と考えていたのです。
まずは写真で比較してみます
では、本題の比較に入りましょう。
使用感はあとで書くとして、まずは写真で各部の違いなどを見てください。
ブロックパターンの違い
ナノパフは「レンガパターン」が特徴の1つです。
化繊の片寄りを防ぐのが目的ですが、マイクロパフはよくわからないパターンです。
パタゴニアいわく、こちらのパターンのほうが優れているようですが、私には判別ができません。
袖の形状
袖は両者とも伸縮性があって、袖口から風の侵入を防ぎます。
両者に違いはありません。
すその形状
マイクロパフのすそは、袖と同じように伸縮性があります。
ぴったりと腰に密着して、すそからの風の侵入を防ぎます。
対して、ナノパフのすそは、伸縮性はありません。
そのかわりに、すその裏側にドローコードが付いていて、調整して腰に密着させます。
ドローコードのほうが確実に密着させられますが、毎回調整するのは面倒なので、私はマイクロパフの伸縮性のほうが好みです。
ハンドウォーマーポケット
ハンドウォーマーポケットは、両者ともファスナー付きです。
ポケットの大きさは変わりませんが、入り口はナノパフのほうが大きいのがわかります。
内ポケット
ナノパフは、左胸にファスナー付きの内ポケットがあります。
マイクロパフは、両側にファスナー無しの内ポケットがあります。
パッカブル(ポケットに収納できる)
ナノパフ時代からの特徴ですが、両者とも、ポケット自体がスタッフバッグとなって収納できます。
マイクロパフのほうが、ややコンパクトですね。
ナノパフは、内ポケットにグイグイと押し込むのですが、マイクロパフは左側のハンドウォーマーポケットに押し込みます。
右側のポケットではダメで、左側だけなので、注意してください。
重さ
私が使っているのは、ナノパフはジャケット、マイクロパフはフーディーです。
フードの分が違うので、純粋な比較はできませんが、それでもマイクロパフのほうが軽いですね。
カタログでは、マイクロパフジャケットは230gほどです。
ちなみに、実際の数字もさることながら、着た感覚は結構違います。
ナノパフはけっこうズシッときますが、マイクロパフは本当に軽いです。
ダウンを着ている感覚と同じです。ビックリ。
ナノパフ | マイクロパフ | |
すその作り | ドローコードで閉める | 伸縮性で密着 |
パッカブル(収納)方式 | 内ポケットに収納 | 左側ポケットに収納 |
内ポケット | ファスナー付き左側のみ | ファスナー無し両側 |
実測重量(Sサイズ) | 302g(ジャケット) | 260g(フーディー) |
使い込んだ感想「ナノパフとマイクロパフの違い」
保温性はマイクロパフ
保温性は、間違いなくマイクロパフのほうが優れています。
パタゴニア自身が「史上最高」と言っていることもありますが、数字以外でも感じます。
フワッと膨らむ力(復元力?)がマイクロパフのほうがあるので、ふんわりしてるのもその一因でしょう。
自宅で洗濯できるのも化繊の強みですが、マイクロパフのほうがふっくらと復元します。
軽量性はマイクロパフ
上でも書きましたが、数字以上に、着た感覚が違います。
なんというか、
「ナノパフは化繊を着ている感覚で、マイクロパフはダウンを着ている感覚」
と言えばいいでしょうか。
ナノパフしか知らない時代ならば十分軽いと思っていたのですが、マイクロパフを知ると、重く感じてしまいます。
驚かされました。
表面強度だけが疑問
唯一、マイクロパフに疑問を投げかけるとすれば、やはり表面素材の強度です。
登山者がすぐには飛びつかなかった理由もそこにあると先に書きました。
単純に比較するならば、表面生地の強さは、
ナノパフ>マイクロパフ
です。
ただ、使ってみて感じたのですが、
「だからといって、マイクロパフが弱いとは言えない」
ということです。
たとえば、藪こぎをしたり、岩や枝に引っ掛けたり、そういう場面で使うなら、マイクロパフはダメでしょう。
でも、あまりそういう場面で使うことはありません。
基本的に、行動中に着るものではないからです。
休憩時、停滞時、テント場、山小屋などで使うので、強度は充分です。
実際、何年も使い込んでいるナノパフですが、いまだにどこも破れてはいません。
多少薄くなったマイクロパフでも、たいした問題ではないと感じました。
もし、行動中に着るとしたら、怖くて着れないですね。
ザックベルトとの擦れなどは問題ないでしょうが、切り裂きや突き刺しの力が加わると弱そうです。
ナノパフVSマイクロパフ比較の結論
軽くてコンパクトなのに、暖かくて濡れにも強い。
多少荒く使っても、簡単には破れない。
それが、ナノパフです。
それを、さらに暖かく、さらに軽く、その代わり、ややデリケートに。
それが、マイクロパフです。
ずばり、行動中にも着ることを想定しているならば、マイクロパフはやめましょう。
そうではなく、停滞中やテント場などで使うのがメインならば、マイクロパフは圧倒的に優れています。
きっと、ごく一部をのぞいて、ほとんどの登山者にとっては、
マイクロパフ>>ナノパフ
です。
どちらかを買おうと迷っているなら、絶対にマイクロパフ。
買い替えが必要なら、絶対にマイクロパフ。
買い足す必要があるかといえば、その必要はありません。
ただ、買い足して後悔することもありません。
「防寒着ならナノパフがベスト」
という言葉が、変わる日が来るとは思いませんでした。
「防寒着ならマイクロパフがベスト」
そう言ってしまう時代がやってきたようです。
(写真をクリックすると、公式サイトで詳細な説明やレビューを読むことができます)
公式サイトでは、200件を越えるレビューが寄せられています。
こんなに大量のレビューが書かれたのは、私の記憶では他にありません。
いかにユーザーが感動したかを示しています。
長所短所とも、読んで参考にしてください。
マイクロ・パフ・フーディパタゴニア製品の中で重量に対する保温性が最も高いジャケットです。インサレーションに使用した画期的なプルマフィル(65グラム・ポリエステル100%)は羽のように軽くコンパクトに収納でき、ダウン級の保温性と着心地を提供しながら、濡れても熱を逃さない化繊の特長を発揮します。パーテックス・クアンタム・リップストップ・ナイロン製シェルはDWR(耐久性撥水)加工により風や雪を弾きます。