こんにちは、寝袋!です。
登山者さんの会話を聞くのは、とても楽しいです。
「あの花が良かった」
「あそこ怖いよね~」
と楽しそうに話していて、自分も同じように思っていたときなんかは、心の中でうなづいてたりしてます。
そんな会話の中で時々出る話題が、山小屋のご主人のこと。
「あそこのご主人、本当に厳しくて私苦手!」
「あの人の言ってたのと、全然違ってたことあったぞ?」
というのを聞くと、とても悲しくなります。
そんな会話を聞いた初心者さんが勘違いしてほしくないので、詳しく書かせてください。
ずばり、小屋番さんの言うことは正しいのか? 言うことを聞くべきか?
目次
山の達人?小屋番さん
全国にいらっしゃる山小屋のご主人(小屋番さん)は、私は山の達人だと思っています。
登山ガイドさんは全国の山に詳しくて、小屋番さんはそれほど広範囲の山に詳しくないかもしれません。
でも、その山・その地域に関しては、これ以上ない専門家です。
なにしろ、その山で生活しているわけですから。
あなたが近所のコンビニへの道順を知っているように、山の地形は頭に入ってます。
スーパーの旬の野菜を知っているように、今の山の季節を把握しています。
そして、毎日の生活=山歩きで鍛えられた足腰は素晴らしいものです。
小屋番さんのアドバイスは正しいの?
そんな小屋番さんですから、登山者にとっては頼りになる存在です。
宿泊するときはもちろん、通りがかりでも、小屋番さんに情報を尋ねた経験ありますよね?
登山者はその情報を頭に入れて歩いていくわけですが、中には、
「あれ?ここ危ないって言ってたけど、大したことないなあ。心配して損した」
と思った経験もたくさんあると思います。
そういう経験が重なってくると、最初に書いたような、悲しい会話になってくるわけですね。
たしかに小屋番さんのアドバイスは、慎重すぎたり、大げさだったりすることが多いです。
では、小屋番さんのアドバイスは、正しくないのでしょうか?
聞くべきものではないのでしょうか?
教える立場の苦悩
小屋番さんと同じく、私も登山について一応教える立場の端くれです。
教えることの難しさはわかっているつもりですので、教える側としてどういうことを考えているかを知っていただきたいと思います。
安全に楽しんでほしい
まずは当然ですが、登山者の方々に、安全に無事に登山を楽しみ、帰って欲しいと思っています。
これは大前提。
あなたの登山力がわからない
「オレは、姿を見ただけでお前の力がわかる」
というのは漫画の話だけで、何度も会っている登山者さんならともかく、
相手の実力は見ただけでわかるわけではありません。
いや、正確に言うと、
「ダメな人は一見してすぐにわかりますが、一見ダメとわからない人でもダメな人はいる」
というべきでしょうか。
装備も揃っていて、身のこなしも素晴らしくて、マナーも行き届いていて、雰囲気を醸し出している人で、じつは歩くとスットコドッコイな人っているんですよこれが(笑)
なにせ、小屋番さんと会話している時点では、その人歩いていませんからね。
難しいんです。
リアルタイムの情報ではない
小屋番さんの情報は、リアルタイムではありません。
毎日訪れる登山者やパトロール隊からの情報を、自分の長年の経験で分析して、想定してアドバイスすることが多いです。
毎日全コースを歩いて見てくるようなことは、できませんから。
「あの雪渓がそこまで消えてたのなら、そろそろ危ないな」
「あの斜面に花が咲いてたのなら、むこうの岩陰ではあれが咲いてるかも」
とわかるのは小屋番さんのすごいところですが、やはりそこは多少ズレも生じる可能性もあります。
そして、小屋番さん自身が、ズレがある可能性をわかっています。
煩悩の経験
そんな事情もあって、小屋番さんのアドバイスは多少大げさで慎重なもので、しかも多少幅をとったアドバイスにならざるをえません。
想定より気軽な情報を伝えて、実際に登山者が困ることになったら大変ですし、事故に繋がっては悲しいことですから。
以前の私の経験ですが、かなり慎重にアドバイスした登山者さんに、あとで言われたことがありました。
「あそこ危ないって言ってたけど、あれくらい大丈夫ですよ。あれなら○○岳のほうが大変でした」
「5時間かかるって言われたけど、4時間で行けましたよ」
正直「だからなんやねん、知らんがな」と思います。ただそう言われると、まるで私が、
「あなたはそういうレベルなんですね」
と言われたみたいで、悔しかったものです。
でも、そこで次に、
「大丈夫大丈夫、全然危なくない。5時間?いやいや4時間で行けますよ」
なんて言うようでは、話にならないわけです。
今はおとなになって(笑)、そんな煩悩ともオサラバできたようで、
「あなたはすごいんですね。楽で良かったじゃないですか」
と聞き流せるようになりました。
常に慎重に、おおげさにアドバイスする心境、わかっていただけたらと思います。
逆に、安易なアドバイスする人いたら「レベル低いな」って思ってやってください(笑)
小屋番さんのアドバイスはこう聞いて!
アドバイスする側としては、脅しているわけではないので、
なるべく実際とかけ離れないようなアドバイス
をしたいと考えています。
ただどうしても、
- 想定される最低レベルの登山者だとして
- 想定される一番悪い状態だとして
- トラブルがあっても対処できる余裕を残して
アドバイスしちゃうんです。
小屋番さんやガイドさんからアドバイスを受けた時、どういうふうに受け止めればいいのか?
いつもおおげさだからと、安易に考えてはいけません。
相手が自分を最低レベルの初心者として、予想される一番悪い状態(天気・道)で登る場合としてアドバイスしていると理解した上で、
「実は自分がそういうレベルだったとしても対応できる装備、計画、心構え」
でのぞんでほしいと思います。
もしも小屋番さんの言うよりも簡単に楽に登れたら・・・
良かったじゃないですか。あなたはレベルが高かったということです。
見事にその山を登りきったということです。
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