こんにちは、寝袋!です。
山で、石が山のように積み上げられたもの、見たことありますよね。
たいてい登山道や山頂にありますが、あれは「ケルン」というものです。
小さなものもあれば、背の高さを越えるような大きなものもあります。
自分もついでに石を乗っけちゃったという人も、いるでしょう。
ところで、
「ケルンって、そもそも何のためにあるの?」
「ケルンって、誰が作ってるの?」
と思いませんか?
ケルンのもつ意味(1つではない!)を知って下さい。
今度から、ケルンを見る目が変わるかもしれませんよ?
目次
山に積み上げられた石=ケルン
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八方尾根の有名なケルン
ケルンは、登山道や山頂に、石を山のように積み上げたものです。
上の写真は、北アルプス八方尾根にある、おそらく日本で一番有名なケルンの1つです。
ただ、石を積み上げたものもあれば、このようにコンクリートで固めた大掛かりなものまであります。
大きさも様々で、小さなものですと、石が3個だけというようなものもあります。
ちなみにケルンは「cairn」と書き、ケアンとも発音されるみたいですが、日本では昔からケルンですね。
ケルンの意味は?
それでは、ケルンにはどういう意味があるのでしょうか?
山登りをあまりしない知り合いにちょっとたずねてみたのですが、
「ああ、山にあるあれ! 安全祈願のお守りみたいなものでしょ? 前に、オレも一個のせたことある」
と言われました。
なるほど、お守り・・・そう思うものなんですね。
ほんとうの意味は、大きく下の2つに分けられます。
ケルンは道標
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氷河沿いに多いのはこういう形状のケルンです
ケルンは、登山ルートが正しいことを示す、道標です。
もともとは、氷河のあるような高山帯で、ルートを示すために作られたものです。
標高の高いところでは木もありませんので、石を積み上げるのが唯一の目印だったのです。
その習慣が、どんどん一般的になって、現在のようになりました。
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ケルンが示す道
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遠くからでもわかりやすい
ケルンは、木の枝のピンクテープや、ペンキのマーキングより、目立ちますし、どこにでも作れます。
ケルンは慰霊などのモニュメント
ケルンは、その山で亡くなった登山者の慰霊碑という意味があります。
遺品やプレートを、ケルンの石の下に埋めたりして慰霊するのです。
日本中のあちこちの山に、ケルンに限らず、慰霊碑、鐘、岩などで慰霊目的のものがあります。
意識せずとも、なんとなく「自分も気をつけよう」と思わされます。
ケルンは必要なのか?
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ケルンは賛否あります
さて、ケルンは山に必ず必要なものではありません。
じつのところ、賛否両論あるものです。
反対意見、賛成意見、そして、私の私見を書いておきます。
ケルンは邪魔という意見
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唐松岳山頂のケルン
まずは、ケルンには反対という意見を、箇条書きで書き出してみましょう。
- 勝手に石を動かして、積み上げるべきではない
- 植生に影響してしまう
- 崩れた時に危険だ
- 何を意味しているかわからないケルンが多い
- 自然の景観の邪魔
などでしょうか。
ケルンは必要という意見
次に、必要という意見も書き出してみます。
- ガスなどで視界がない時に、助かる
- ケルンを見ると、なんとなく楽しい
- 遺族の慰霊の気持ちは理解できる
- ただ、積み上げたい
こんなところでしょうか。
ケルンに対する私見
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ケルンは賛否あります
私見を書かせていただけば、私はどちらかというと賛成です。
反対意見もよくわかります。
山頂のケルンには道標の意味なんてありませんし、はっきりとした登山道にもたくさん存在するケルンにも、
「これはどうだろう?」
と思うこともしばしばあります。
それでも、ケルンがあって助かったことが何度かあります。
助かったというと大げさですが、
「あ、このルートで合ってるみたい」
と、確認できて心強く感じたことがあるんです。
とくにケルンが役立つのは、
- ガスで視界がない
- 開けた広い場所、なだらかで幅広い登山道
が重なった場合です。
そういうとき、決して無くならず、遠くから姿(シルエット)が確認できるケルンは、助かるんですよね~。
そんなに目の敵にする必要はないのでは?と思います。
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こういうところに2、3個積み上げてあるだけで結構助かる
ケルンと登山の関係
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もしここで視界がなくなったら
以上、山に積み上げられた石の山「ケルン」には、
- 道標という現実的な意味
- 慰霊という観念的な意味
があることが、わかっていただけたでしょうか。
賛否はともかくとして、登山とケルンには歴史があります。
長い時間をかけて築かれてきた関係がたしかに存在します。
「山のロマンの1つ」と言ってもいいのではないでしょうか?
昔、ロジェ・デュブラという登山家が「もしかある日」という詩を残しました。
(その詩を原題にして、山の歌「いつかある日」が作られています)
その誌の中で、
友よ、いつか俺が山で死んだら、美しい岩場に小さなケルンを作って、ピッケルを差し込んでくれ
と歌われています。
実際、私はケルンに石を積んだことは一度もありませんが、ケルンがあるとついつい見てしまいます。
よほどのことがない限り崩れませんので、
「きっと、数十年前にもこのケルンはあったんだろうなあ」
などと感傷にひたる時もあります。
山のケルン、おわかりいただけましたでしょうか?
今度山で見たら、
「これはどういう意味のケルンかな?」
と考えてみるのもいいかもしれませんね。
山岳小説として有名な「氷壁」は読んだことがありますか?
仲間のザイルを、切ったか切らないか?
そんなドラマです。
「もしかある日」はいくつも訳がありますが、この小説に出てくる訳が、一番美しいと思っています。
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初心者以外でも、きっと知らないことあります。