こんにちは、寝袋!です。
冬山のシーズン、みなさん楽しんでますか?
冬には厳しさもありますが、他の季節とは違う美しさ、楽しさがあります。
「夏山で登山にはまったから、次は冬山へも行くぞ!」
と、これからステップアップを考えている人もいるでしょう。
さて、ときどき、
「冬山にレインウェアで行ったらダメなの?」
とアドバイスを求められることがあります。
実際、私も最初はレインウェアで冬山へ行っていました。
そしてその後しらばくして、冬用ハードシェルに変えました。
私なりの経験と意見を書きますので、ちょっと考えてみて下さい。
レインウェアと冬用ハードシェルとの違い、写真を交えて説明します。
どちらを選べばいいか、答えがわかります。
目次
なぜレインウェアで済ませたいのか?
そもそも、どうして冬用のハードシェルを買わないで、
「レインウェアで代用できないか?」
と考えるのでしょう?
答えは一つ。
「価格が高いから!」
比較的安価なモンベルでさえ、レインウェアが2万円以下なのに対し、ハードシェルは3万~4万円もします。
ほとんどの人が、夏山シーズンのほうがたくさん山へ行くと思います。
それより少ない機会しかない冬山専用に、
「高い装備を買い足すのは、なんだかもったいない」
と考えるのではないでしょうか?
しかも、冬山を始める時には「アイゼンだピッケルだ」と、いろいろと他の道具にお金がかかります。
ケチりたい気持ちはよくわかります。
なぜなら、私も同じように考えて、レインウェアで行ってたからです。
レインウェアとハードシェルの細部の違い
今回は、モンベルのハードシェルとレインウェアを題材に、違いを見ていきます。
ハードシェルはダイナアクションパーカ、レインウェアはストームクルーザーです。
地の厚み
冬用ハードシェルは、その名の通り、分厚くて頑丈な生地を使っています。
冬山ではピッケルやアイゼンなど、尖った金属製の道具を使用します。
私のような間抜けじゃなくても、ぶつけたり擦ったりは、日常茶飯事なのです。
ハイマツに引っ掛けただけで破れるような、最近の軽量レインウェアでは、とても耐えられません。
ハードシェルは、触ればわかりますが、とてもゴワゴワしています。
いかにも頑丈な生地です。
ダイナアクションパーカ | ストームクルーザー | |
生地厚さ | 40デニール(袖30デニール) | 20デニール |
(デニールとは生地の厚さの単位です)
滑りの違い
両方の生地を、人差し指で擦ってみると違いがわかります。
ハードシェルはシャラシャラ感がなくて、指が滑りにくいのがわかると思います。
これは、雪面でいざ滑落した場合、加速を抑えるようになっているのです。
また、雪がくっつきにくくなっています。
雪って、案外ウェアにくっついて払っても取りにくいんですよね。
各部の作りが大きい
冬山では、極力手袋を外さないように行動しなければいけません。
とくに風が吹いているときは、素手をさらした途端にあっという間に、かじかんでしまうのです。
ですから、手袋を付けたまま、いろいろな作業をこなす必要があります。
ところが、素手だと簡単なことが、手袋だとけっこう難しいのですよ。
そのため、各部の作りが大きくて、操作しやすいようになっているのです。
スノースカート
冬用ハードシェルにはスノースカートというものが付いています。
ウェアの内側、裾から少し上に、体をグルリと囲むように付いています。
雪や風が裾から入り込んで、シェルの内側を濡らし、冷やしてしまうことを防いでくれます。
ピットジップ
レインウェアは、雨が降った時に取り出して着ることが多いものです。
対してハードシェルは、天候に関係なく着たまま行動する時間が長いウェアです。
冬山はただでさえ運動量が多くて暑くなるのに、ゴアテックスとはいえ、それではヒートアップしてしまいます。
そこで、一気にすばやく換気できるよう、脇腹にジッパーが付いていて、開放することが出来るようになっています。
一昔前のレインウェアにも付いているものがありましたが、冬用ハードシェルでは今でも現役の機能です。
ハーネス着用
冬山ではハーネス(腰回りにつけて命綱などをつける器具)を利用する場合があります。
そこで、ロープの脱着などがしやすいように、ダブルジッパーで下からも開けられるようになっています。
そして、間違って開放されないように、ボタンも付いています。
その他
冬用ハードシェルの襟元は高く、口を完全に覆ってしまいます。
これは顔を冷たい風から守るためです。
ところが、自分の呼吸で、サングラスやゴーグルが曇ってしまうこともあります。
そこで、口元に下向きに換気口が設けられているものもあります。
まあ、それでもたいてい口元は濡れ、凍ってしまうことが多いのですけれど。
内側には、部分的にフリース生地を当ててあるところがあります。
冬は冷たい生地が肌に当たると、寒いですからね。
重い
生地も厚いし、いろいろな付属品が多いとなれば、冬用ハードシェルは当然重いです。
ダイナアクションパーカ | ストームクルーザー | |
重さ | 382g | 257g |
ダイナアクションパーカはかなり軽量なモデルですが、一般的には500~600gほどのものが多い印象です。
ただし、レインウェアと違うのは「着ている時間が長い」ことです。
着ているものの重さって、あまり感じないですよね?
全体的に
私が「軽量化の鬼」だと思っているモンベルでさえ、冬用ハードシェルについては
機能>>軽量化
のスタンスは崩していません。
レインウェア業界が、むやみやたらに軽量化しているのと対象的です。
質実剛健で堅実なものが、冬山のような厳しいシーンでは、信頼されるのです。
「レインウェアで行ってますけど?」
ある店員の言葉
ここで最初の質問に戻ります。
「レインウェアで冬山行ったらダメですか?」
実はこの質問は、私が冬山へ始めて行く頃に、アウトドアショップの店員さんにぶつけたことがありました。
その店員さん、某大学山岳部出身で、
「あまり大きな声では言えませんが、大学山岳部当時、みんなレインウェアで行ってました。お金なかったし」
「ザック背負えば、ウエストベルトを閉めるので、スノースカートがなくてもなんとかなります」
などと、自分の経験を教えてくれました。
当時の私は、
「ほらほら、売りたいはずの店員が言うんだから間違いない。冬用ハードシェルって売上げアップのために作ってるんだ!」
と、まるで世界の謎を一つ解明したかのように喜びました。
それからしばらく、私はレインウェアで冬山を楽しむことになりました。
「店員が言ったあの言葉は絶対真実」
と、素人は信じていたんですね。
ネットの言葉
じつは今回、ちょっと気になって、この記事を書く前に、いろいろネットで調べてみました。
すると、
「レインウェアでも大丈夫♡ 吹雪かれると厳しいけど」
などという言葉があふれていて、愕然としました。
「厳しくなったあと、どうするんだろう?」
その人が嘘つきだと言うのではありません。
その人は、その人なりの経験にもとづいて、真実を語っているのでしょう。
でも、それを読んだ、昔の私のような素人は、どう思うでしょうか?
私が店員の言葉を、永遠の真実と受け止めたように、
「オレ、吹雪いたらすぐ撤退するし、レインウェアでいいな!」
と考えてしまうのではないでしょうか。(吹雪いても確実に撤退できるなら苦労はしません)
はっきり言って、安易なことを書いているその人は、冬山の怖さを知りません。
一瞬で真っ白に包まれて、暴風で身動きできなくなる変化を、その人は知らないのです。
その程度の人が、(失礼ながら)自分の浅い経験だけで断言している怖さ。
あの店員さんが、当時の私に言いたかったのは、
「あなたごときが行くという冬山程度では、きっとまだレインウェアで大丈夫です。すぐにヤメたらもったいないし。もし冬山を続けていたら、そのうち必要になる時がきますから、その時買ってください」
という、優しいアドバイスだったのだと思っています。
結論
最初はレインウェアで、冬山歩きの雰囲気を楽しみに行ってもいいでしょう。
ですが、そのうち、経験が教えてくれるはずです。
「これは次の山はこのままじゃヤバイな」
とか、
「もっと高い山へ行きたいから、ハードシェル買ってもいいな」
と。
どんな経験があなたをそう考えさせるかはわかりませんが、きっとそういう時はきます。
あなたが冬山を長い間楽しんでいくつもりならば、最初から買っておくのもいい手だと思います。
ここで書いた通り、頑丈な衣類ですから、長持ちしますし。
誰が書いているかもわからない、ネットの安易な意見を、頭から信じることはしないでください。(これもそうですが)
あなたが冬山をずっと続けていくのなら、近い将来、ハードシェルは必要になります。
選ぶ時のアドバイス
ハードシェルを買う場合に、個人的にアドバイスをさせていただくと、
「中綿は不要」
です。
ハードシェルは、あくまでもシェルとしての機能だけを持っていてくれたほうが、中の衣類で調整が効くからです。
「温かい必要なんてない」
のです。
暖かさは、中間着で調整するほうが、なにかとやりやすいと思います。
ではでは~。
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