こんにちは、寝袋!です。
これまで世界的な登山家を何人か紹介していますが、この人はちょっと違う紹介の仕方になります。
もう80歳前後の高齢者で、決して先鋭的な登山家ではありません。
私も、この人のことを知ったのはラジオ番組のパーソナリティとしてですし、第一印象は、
「なんだこの厳しいオバはんは?」
というだけでした。
ところが、なんと若い頃、世界初のアルプス三大北壁登攀を成し遂げていることに驚きました。
さらに、新田次郎の小説「銀嶺の人」のモデルにもなっていました。
今井通子(みちこ)先生・・・私はこの人を呼ぶ時、先生なしには呼べません。
先生のことを知れば、あなたもそうなりますって(笑)
目次
今井通子先生とは?
今現在、今井通子(みちこ)先生のことを耳にするとしたら、
ラジオ番組「テレフォン人生相談」のときか、医学博士として語っておられる時です。
お歳もすでに80歳近く(1942年生まれ)になられていますし、おそらくみなさん、
「なんだこの手厳しい物の言い方をするオバサンは!」
と感じることでしょう。
私はそうでした。
「こんなうるさそうな、偉そうなオバサン、私は苦手だな」
しかし、この人にはちゃんと行動で示してきた背景があったのです。
主な略歴
主な略歴を、登山中心に書き出してみます。
- 1942年 東京生まれ
- 1966年 東京女子医大卒業(医学博士)
- 1967年 女性パーティーでマッターホルン北壁登頂
- 1969年 アイガー北壁登頂
- 1971年 グランドジョラス北壁登頂(女性初欧州三大北壁登攀者)
- 1979年 ヒマラヤ。ダウラギリ3山クロス縦走成功(世界初)
などなど
なんといっても、女性初のアルプス三大北壁登攀がすごいですね。
また、その後も隊長として登山隊を率いてヒマラヤを登られていますが、男性を率いる女性隊長というのもこれもまたすごい。
テレホン人生相談パーソナリティ
さて、私を含めほとんどの人が最初に接する機会がラジオ「テレフォン人生相談」です。
そのなかで、今井通子先生がどのようなご活躍をされているか簡単に説明します。
リスナーに向けられる手厳しい言葉
テレフォン人生相談は、電話で寄せられた相談に、実際に相談者とパーソナリティが会話して相談内容を聞き取っていきます。
そしてその後、その日の相談にマッチしていると思われる回答者(弁護士など)が登場し、相談に答える番組です。
ほとんどの場合、
- パーソナリティは相談内容を聞き取る役目
- 回答者は相談に回答を示したり励ましたりする役目
となります。
回答者は時には優しく、時には厳しく、相談者のために言葉をかけるのです。
ところが、今井通子先生の場合、
まるで自分が回答者のように厳しく叱咤する
場合もあります。
もともと長く、回答者として参加されていたこともあって、つい言葉をはさみたくなるのでしょうか。
これがまた、回答者以上に手厳しい意見を言って、叱咤激励するものですから、最初のうちは、
「おいおい、そこまで言いますか!」
という印象も受けるほどです。
「あなた、おいくつ?」
また、番組の最初に、相談者の情報を聞き取っていくのですが、他のパーソナリティが丁寧に聞き取っていくのと比べて、ぶっきらぼうです。
「あなた、おいくつ?」
相談者が年上と思われるような声でも、なんとなく上から目線(表現が難しい)です。
他の人が、
「あなたはご年齢は何歳ですか?」
と聴くのですが、雰囲気が伝わるでしょうか?
時として回答者の言葉を覆すことも
番組は、回答者がひととおり回答やアドバイスを伝え、最後にパーソナリティが一言まとめて、終了します。
ところが、今井通子先生、回答者が生ぬるい(?)意見を言っていると、
「◯◯先生はお優しいからこう言われましたけど・・・」
と、回答者に敬意を示しつつも、手厳しい意見で覆すこともあります。
「なんと厳しい人だろう? 私はこういう人苦手だな」
と私はずっと思ってきました。
「あんた、どれだけ偉い人なんや」
とね。
新田次郎『銀嶺の人』のモデル
さて、登山好きの人なら、実は知らないうちに、今井通子先生のことを間接的に知っている人も多いのです。
それは、新田次郎の小説『銀嶺の人』の主人公のモデルだからです。
男性しか本格的な登山をしない時代に、2人の女性がクライミングの世界に飛び込みます。
1人はとても勝ち気で男性顔負けの気性、もう1人はおしとやかでひかえめな気性。
その二人がともに世界的なクライミングをするまでに成長していく物語です。
新田次郎三部作(孤高の人、栄光の岩壁、そして銀嶺の人)の最終作です。
今井通子先生は、当然「勝ち気で男性顔負けな気性」のほうです(笑)
この作品は、ほぼ事実を元に書かれていまして、もうひとりの主人公も実在した人物です。
主人公たる今井通子先生は、男性と取っ組み合いの喧嘩をしたり、あまりに負けず嫌いで、みんなから「シャモ(軍鶏)」と呼ばれます。
そして、私はやはり小説の中でも、もうひとりのおしとやかな人物の方が好きでした。
「こんな女性が近くにいたら、うまく付き合い出来ないな」
そう思っていましたよ。
今井通子先生・・・この人は厳しい言葉を言う資格がある
そしてある時、テレフォン人生相談の今井通子先生と、銀嶺の人が同一人物だと知ったのです。
私は、おおげさではなく全身に電気が走りました。
「ああ、なるほど! そうかそうか、それならわかる!」
そして、
「ああ、あの人なら、相談者に厳しい言葉を投げかける資格があるわ」
と思いました。
今井通子先生は、表面的に偉そうにしているんじゃなくて、そうやって自分も生きてきた背景があります。
自分が自分に厳しく、そうやって生きてきたからこそ、自信を持った厳しい言葉なんです。
私、厳しい厳しいばかり言ってますが、今井通子先生の場合、
厳しい言葉のうらに、すごく優しさを感じる
ことも事実なんです。
適当にお茶を濁すような回答ではなく、ビシッと直球勝負なんですよ。
番組自体は、私はあまり好きではありませんし、滅多に聴きません。
でも、たまたまラジオをつけて、今井通子先生の出番だったときは、つい聴いてしまいます。
相談内容じゃなく、今井通子先生の言葉や反応に興味があるからです。
興味を持たれた方は、ラジオを先に聴くんじゃなく、小説を読んでからにしましょう。
そうすると、ラジオのお言葉が素直に入ってきます。
今井通子先生のご紹介でした。
私が必ず「先生」と付けたくなる気持ち、わかってもらえると思います(笑)