こんにちは、寝袋!です。
寒い季節の山登り。
夏には防寒着と言ってもフリースやウインドブレーカーで大丈夫でしたが、これからはもっと暖かいものが欲しくなります。
代表選手はダウンジャケットですが、近年は化繊(インシュレーション)のものも普及しています。
登山者なら誰でも一度は迷ったことがありますよね?
「ダウンを選ぶか、化繊を選ぶか?」
私は今でこそ自分なりの「回答」にたどり着きましたが、まあ、迷いましたよ。
実際に山で使って、試行錯誤しましたが、どちらにも一長一短があるので決めづらい問題です。
しかも、どっちもかなり高価なアイテムですしね。
ダウンと化繊、それぞれの長所短所を解説して、私なりの結論をお話します。
とくに、これから初めてどちらかを買おうと思っている人、聴いてからのほうが幸せになれるかも。
目次
登山における防寒着
双璧「ダウン&化繊」
寒い時期の防寒着としては、ダウンか化繊インシュレーションが「双璧」です。
最後に私なりの(そしておそらく多数の)結論は書きますが、
「決定的にどちらかが優れている」
と断言できるものではありません。
それは、各ブランドともダウンと化繊の両方をラインナップして、販売していることでもわかります。
フリースじゃダメな時がある
ちなみにフリースも防寒具としては優秀ですが、「防寒」としての性能は比較にならないと思います。
フリースはその上に風をさえぎるものがあってこその防寒着ですしね。
これは、登山じゃなくて街着ではみなさん経験済みでご存知でしょう?
ここでは省きますが、フリースはフリースの得意なシーンというのがあります。
動くときにはダウンなどの防寒着は使えませんしね。
ダウンについて
それではまずは、ダウンという素材について特徴を見ていきましょう。
ダウンとはみなさんご存知、鳥の羽毛を詰め込んだもので、暖かさは間違いなく最高です。
まさに鳥のように軽くて暖かいスグレモノ。
ダウンのメリット
- 軽い
- 暖かさは最高
- コンパクトにつぶせる
ダウンのデメリット
- 濡れると保温性能が急落する
- 一度濡れると乾きにくい(山中では不可能)
- 羽毛が表面生地の隙間から抜けてくる
- 洗うのが大変
- 洗う頻度が低いので、汚れます
化繊について
次に、化繊の特徴を見ていきましょう。
ちなみにここでいう化繊とは、化学繊維をフワフワに成形して、ダウンのような保温性を目指したものです。(化繊インシュレーションと呼ぶ)
「目指す」ということはつまり、現在のところ、ダウンこそが暖かさでは最高峰ということです。
化繊のメリット
- ダウンより多少安価
- 濡れても保温性がそれほど落ちない
- 洗うのがラク(洗濯機でOK)
化繊のデメリット
- 比較的重い
- かさばる(小さくならない)
- ダウンよりは保温性は落ちる
「ダウンは濡らさなければいいのか?」という問題
性能面を比較すると、ダウンがすべての面で優れています。
ただし、「濡らさなければという条件」が付きますが。
「じゃあ、濡らさないように気をつけさえすれば、ダウンがいいってことだね」
と思うかもしれませんが、そんな簡単ならみんな悩みはしないでしょう。
濡れるというと雨でビショビショに・・・と思い浮かべますが、
- 休憩で汗をかいた上に着て、湿ってくる
- 寝ている間に、自分の水蒸気で湿ってくる
- 手を洗ったり水をこぼしたりして、少し湿ってしまう
など、じつは濡れてしまう原因って多いんです。
雨に対する防水対策は完璧でも、「いつの間にか湿っちゃった」というのが困るんですよね。
正確には、
「ダウンは濡れるとダメなのではなくて、湿ってしまうからダメ」
と表現するべきかもしれません。
濡らさないのは簡単だけど、湿らさないのは超難問というわけです。
「ダウンのようにコンパクトになる」の限界の問題
もう一つ、注意していただきたいのが、収納時の大きさについてです。
メーカーのカタログでは、
「ダウンのようにコンパクトになり・・・」
などと書いてあります。
たしかに、以前に比べると化繊も軽く、コンパクトになりました。
メーカーの開発する新素材のおかげです。
でも、私が知る限りは、まだ「ダウン並み」ではありません。
上の写真、左側が通常の化繊(パタゴニア・ナノパフ)、中央が最新の化繊(パタゴニア・マイクロパフ)、右側が同等のダウンです。
やはり違うでしょう?
メーカーのうたい文句(パタゴニアはまだコンパクトなほう)をそのまま信じて、
「同じようにコンパクトなのか」
とは思わないでください。
化繊もかなり改良されているけど、まだダウンほどの軽さ・コンパクトさには到達していないのです。
ダウンでもいい場合
それでは、「ダウンでも濡れにくい」または「ダウンが濡れても構わない」場合はどういう登山でしょうか?
それは、
- 雨が降りにくい雪山登山
- 日帰りか1泊程度の短い登山
の場合があげられます。
冬の雪山では、雪がついても濡れませんし、空気も乾燥していて湿りにくいです。
また、日帰りや1泊では、もし湿って濡れても、それをもう一度着ることはない(下山する)ので、問題はないでしょう。
ダウンではだめな場合
対して、ダウンの弱点がモロに出るのが、長期の縦走登山です。
晴れたり雨が降ったり、天気は変わりますから、縦走のどこかできっと装備が濡れてしまいます。
ダウンの防水対策が完璧でも、濡れたテントの内側に触れて濡れたりします。
そして、縦走中にはいろいろなものがどんどん湿っていく(あなたの心は別ですが)ものなんですよ。
汗で濡れたウェアやタオルと一緒にザックに入れてるから、移っちゃうんでしょうね。
私はこうしています
それでは、私なりの結論を書かせていただきます。
これは、「もしかすると大多数の登山経験者が行き着く結論ではないか」と思っていますが、どうでしょう?
防寒着は化繊一択
私は防寒着は化繊一択です。ダウンは使わなくなりました。
理由は、
- 縦走や連日の登山が多く、ダウンの濡れを防げないから
- 化繊の性能はどんどん上がってきているから
- 両方準備するのは大変だから
です。
多少かさばりますが許せるレベルですし、ずっと同じ保温性能を発揮してくれる安心感はやっぱりいいものです。
「濡らすとマズいな」
なんていうことに「気を取られていたくない」のが私の中では重要です。
ちなみに寝袋はダウン
対して、寝袋はダウン製しか使いません。
上で書いたように、テント生活で湿ってくる可能性は、防寒着より寝袋のほうが大きいです。
寝息とか寝汗とか、テントや地面の湿気とか。
また、化繊の寝袋でもちゃんと低温に対応するものが作られています。
でも、なんといっても、寝袋はデカイ!
ダウンはつぶせばつぶすほどコンパクトになりますが、化繊はつぶしにくい。
それが全身を包む寝袋になると、もうね、邪魔で仕方がないわけですよ。
「たとえ湿ってこようが、化繊の寝袋だけは持って行きたくない」
と結論を出しました。
暑い真夏などは、薄めの寝袋でも大丈夫ですから、化繊の選択肢も出てくるかもしれません。
でも、そもそも保温性が下がってもいいので、やっぱり化繊は使わないんです。
ダウンか化繊の結論
以上、ダウンと化繊を選ぶ上で、それぞれの特徴と私なりのアドバイスを書いてきました。
防寒着か寝袋か、使いたい登山はどういう登山か?
ダウンと化繊に決定的な優劣がないと書きましたが、使うシチュエーションで優劣は出てきます。
初めてダウンか化繊かを迷っている人は、寝袋じゃなくて防寒着のほうが多いでしょうか。
それならば、
「まずは化繊の防寒ジャケットを買っとけ!」
と私はオススメします。
現在の化繊はとても暖かいですし、洗濯は簡単、ラフに使えるなど、不満はないでしょう。
ダウンの必要性は感じずに、ずっと、使い続けられると思います。