こんにちは、寝袋!です。
みなさんは、登山で大切なものの防水はどうやってますか?
「濡らしちゃいけない大切なものは、ビニールに入れてます」
と言う人はまだいいほうで、
「ちゃんとザックカバー持ってきてます!」
と胸を張る人もいて、驚くことがあります。
いやいや、ザックカバーなんて飾りみたいなものですよ?
今回は、ザックの防水を解説していきます。
防水性能もアップ、便利さもアップ。
土砂降りの雨の中での、テントの設営と撤収まで、とても便利な方法です。
目次
ザックカバーの欠点
ザックカバーは、ザックの上からかけるだけです。
どうしても背中側が開いてしまっているので、そこから雨は入り放題です。
ザックカバーがどんな優れた防水素材で出来ていても、関係ありません。
レインウェアの背中を流れる雨が、どんどんザックに染み込んでいきます。
激しい雨になると、むしろザックカバーの下側に雨が溜まる恐れもあります。
あと、風にも弱くてけっこう捲くれ上がったりします。
防水方法はドライバッグがいい
登山でのザックの防水は、防水素材で出来たインナーバッグにするべきです。
ドライバッグとも呼ばれます。
これは、ザックの中にすっぽりと入る大きさの、防水素材で出来た袋のことです。
「ザックはどれだけ濡れてもいいから、大切な中身だけは絶対に濡らさない」
という考えですね。また、
「個別に防水するのは面倒だから、全部ひとまとめに防水しちゃおう」
ということです。
パッキング方法
まずはパッキング方法について、簡単な図で説明します。
大まかにいうと、ドライバッグの外(雨蓋、サイドポケットも含む)には、テントを設営するまでに
取り出す可能性があるもの(&濡れてもいいもの)
を入れておきます。それ以外は、全てドライバッグ内に入れることになります。
具体的な例として、
- レインウェア
- テント
- カメラ
- 行動食
- 水
- GPS(地図、コンパス)
といった物です。
その日歩き始めてから、テント内に入るまで、ドライバッグは「開かずの間」にします。
テントの設営から撤収まで
それでは、ドライバッグで防水した場合の、テント設営から撤収までの流れを見ていきましょう。
私の場合ですが、場合によって違いはあるかと思います。
天候は、土砂降りということにしましょう。
設営
テント場に到着しました。
もうすでにレインウェアは着ていると思いますし、ザックはずぶ濡れです。
ザックからテントを取り出して設営します。
テント内に入って、ドライバッグを引っ張り込みます。
ザックはずぶ濡れですから、テントの外に石でも乗せて固定しておくか、前室に放置しておきます。
テント内は、レインウェアやドライバッグから垂れた水で濡れます。
ここでドライバッグ内(私はレインウェアのポケット)から、吸収力の強いタオルを取り出して、水滴を拭き取ります。
テント内をドライな空間にしましょう。
あとは、順次テント内に荷物を広げて、食事や就寝の準備をすることになります。
ちなみに登山靴は、大型のビニール袋に入れて、前室またはテント内に置きましょう。
撤収
残念ながら、翌日も土砂降りでした。
そういうときは・・・
レインウェアを着込んで、その他の荷物をドライバッグに入れます。
入れ方は、ここでキレイにパッキングする必要はありません。むしろキレイに入れすぎるとザックの中に入りません。
あとで、ザックの中に入れてから、グイグイと上から圧迫していきます。
ドライバッグの口を閉じたら、テントの外に放り出します。
テントを畳みましょう。
びしょ濡れのザックにドライバッグを押し込んで、テントをパッキングします。
ザックだけはびしょ濡れですが、体と荷物はドライなまま、テント場を出発できます。
ドライバッグ選びの注意点
ドライバッグを選ぶ時、注意するべきことが2点あります。
容量は大きめに
ドライバッグは、少し大きめの容量のものを準備しましょう。
ぴったりサイズでもいいのですが、多少余裕があったのほうが、使いやすいです。
サイズにも気をつける
たとえばザックが60㍑として、大きめの70㍑のドライバッグを買ったとします。
それでもダメな場合があるのです。
ザックより、幅広(円筒形の場合は直径)が大きくないと、ザック内にデッドスペースがふえてしまいます。
細型のドライバッグだと、ザックとドライバッグの間に隙間ができて、60㍑も入らないことになってしまいます。
「ザックより太めのものを選ぶ」が合言葉です。
ザックカバーを使ったほうがいい時って?
私は今では100%ザックカバーは持っていきません。
でも、山ではみんなザックカバーをかけています。
私なりに、ザックカバーを使ったほうがいい理由を「無理やり」考えてみました。
- 山小屋に入るときにザックからしたたる水滴が迷惑?
たしかにこれはあります。
私はどうしているかというと、ザックが入る大きめのビニール袋に入れて、乾燥室まで持っていきます。
もし可能なら、玄関先の濡れてもいいスペースの片隅に置かせてもらいます。
いずれにしろ、ドライバッグだけ部屋に持ち込むことになります。
- ザックが濡れて重くなる?
たしかに、あるかもしれません。
でも、あまり変わらないような気もします。
防水ザックではダメなのか?
実は、ザック自体がドライバッグになっている「防水ザック」というのも発売されています。
沢登りなどを中心に使用されていますが、これを一般の登山にも使用している人もいます。
これは、使用するシーンによって、是か非か変わってきます。
テント泊などの縦走では、結局、濡れたものと濡れていないものとを、ザックの中で分ける必要が出てくるので、あまり意味がありません。
濡れたものをザックの中に入れると、ザックの中が濡れた状態になりますからね。
結局ドライバッグを使うことになります。
ただ、念のための「二重防水」という意味では、考えてみる価値はあるかもしれません。
日帰り登山の防水対策ということであれば、防水ザックはかなり有効だと思います。
おすすめドライバッグ
口の閉じ方
おすすめのドライバッグを紹介するまえに、ドライバッグの口を閉じる方式について、少し説明します。
ヒモで絞って、ベルクロで根っこをキュッとまとめるタイプ(これはモンベル製)。
私はとても使いづらいと思っています。
ほとんどは、このタイプになります。
使いやすいし、水も入りにくい構造だと思います。
オススメ
ドライバッグは各メーカーから発売されています。
なかでも、ウルトラライト系のブランドから出ているドライバッグは、軽量で頑丈で、おすすめです。
もともと、ドライバッグという考えは、ファストパッキング(軽量化)の過程で工夫されてきたものですので、ノウハウが詰まっています。
「SEA TO SUMMIT」「EXPED」というブランドが、私も愛用していてオススメです。
そのなかで、ダントツに素晴らしいのが、
SEA TO SUMMITの「eVac」シリーズ
です。
これは、入り口をどんどん巻いていくと、
「中で空気が溜まって押しつぶしにくい」
という、ドライバッグの欠点を解消したものです。
底の材質(オレンジのところ)が、空気を通す防水素材で作られているので、圧縮していくとそこから空気が抜けていくのです。
他にはない特徴です。便利ですよ。
最後に
ザックカバーを付けることを、否定するつもりはありません。
付けないよりは、多少でもザックの濡れを、防げる可能性がありますから。
しかし、
ザックの中身の防水のために、ザックカバーを付けるというのは、間違いです。
防水とはなんの関係もなく、昔から、
「雨が降ったらザックカバーは付けるものだ」
という思い込みで続いている、習慣にすぎません。
実戦で痛い思いをしたくなければ、ちゃんと防水対策を考えてください。
そのうえで、ザックカバーを付けようが付けまいが、それはおまかせします。
雨でも快適に縦走を続けるために、あなたの安全のために。