こんにちは、寝袋!です。
花の名山アポイ岳は、住んでいる場所がら、1年に何度も登る身近な山です。
初心者でも手軽に登れる山なのに、たくさんの高山植物に出会えるのが特長です。
いろいろな季節を通じて、たくさんの登山者が登り、楽しんでいるアポイ岳。
しかし、アポイ岳を登りに来ている人を観ていて、
「もったいないなあ」
と感じることが多いのです。
「こうやって登れば、もっとアポイ岳を楽しめるのに!」
と思うことがあるので、お伝えしたいと思います。
そして、アポイ岳だけに咲く幻の花、ヒダカソウに会うためのちょっとしたアドバイスも書きます。
「アポイ岳を満喫したい」
「ヒダカソウなどの高山植物にたくさん会いたい」
と言う人、ぜひ読んでください。
目次
アポイ岳とは?
標高810m。
北海道日高山脈にあります。
かんらん岩という特殊な岩盤でできた山で、本来ならば標高2,000mクラスの高山植物が、咲き乱れます。
アポイ岳にかんしてまだあまり知らない人は、詳しくはこちらで紹介していますので、まずはごらんください。
アポイ岳でよくある失敗
登山はいろいろな楽しみがありますから、「失敗」という言葉が適切かどうかわかりません。
ただ、近所に住む私のように、何度も何度も登れない登山者のみなさんもいるでしょう。
そういった方々が、下山後に後悔してほしくはないのです。
アポイ岳では、次のような後悔がよくおこります。
山頂行っても景観なし
アポイ岳は、5合目をすぎると、一度森林限界を越える珍しい山です。
高山植物が一番多いエリアでもあります。
しかしそれが、山頂はまた樹林に囲まれてしまいます。
森林限界の逆転現象という珍しい構造なのですが、残念ながら山頂は景観がありません。
7合目から8合目での景色がいいだけに、山頂ではややガッカリ感が漂います。
帰りにお花畑行く? ま、いっか
はじめての人や初心者の人がよく立てる計画を紹介しましょう。
『まずは普通に山頂に登って、帰りは幌満お花畑のほうを回って帰ろう』
という計画です。
100人いたら、95人はこういう計画で登るでしょう。
でも、山頂でご飯を食べて「さあ帰ろう」となったとき、
「お花も十分観たし、まっすぐ帰ろうか? 意外と遠いしね」
となってしまう人、とっても多いです。
95人中、お花畑に向かうのは10人いるかいないかでしょう。
アポイ岳は何度か登っているけど、幌満お花畑には行ったことがないっていう人、案外多いんです。
山頂は後回し、幌満お花畑を目指せ!
ここで、私がオススメしたい登山計画は、
『まずは幌満お花畑を目指しましょう。そこで帰ってもいいし、余裕があれば山頂に向かいましょう』
というものです。
アポイ岳に関しては、山頂は二の次でいいのです。
理由としては、
- 山頂からの景観がない
- 山頂は人が多くてせまくてゴチャゴチャ・うるさい
- 分岐から山頂までに観れるお花は、すべて幌満お花畑で観れる
- 幌満お花畑は、えりも方面の景観がよくて、静かな環境
ということです。
お花畑で引き返してもいいくらいですし、体力に余裕があれば、山頂を目指してもいいでしょう。
結果として、アポイ岳の美味しいところを満喫して、逃さないことになります。
幌満お花畑について
幌満お花畑について、少し誤解されていることがありますので、お話します。
幌満お花畑は、かつてはたくさんのお花が咲き乱れる、文字通りのお花畑でした。
しかし、盗掘や環境の変化によって、お花の数は激減してしまいました。
幌満お花畑に行ってきた人の感想を聞くと、
「少しだけしか咲いていませんでした」
と言われます。
そのとおりなのですが、じつは、幌満お花畑の価値は、お花の数ではないという事を知ってほしいと思います。
幌満お花畑の価値は、花の数ではなく種類の多さにあり
なのです。
大雪のお花畑のように「見渡すかぎり一面のチングルマ」というようなものとは違います。
数こそ少ないけれど、季節によって種類を変え、いろいろなお花と出会えることができる、そんなお花畑なのです。
ですから、
「少しだけしか咲いていませんでした」
と言われると、
「うーん、そうじゃないんだよなあ」
と困ってしまいます。
ヒダカソウについて
ヒダカソウは、固有種の多いアポイ岳のお花の中でも、もっとも会いにくい、貴重なお花です。
キンポウゲ科の白い花で、2019年現在、幌満お花畑で数株花をつけるだけとなっています。
数が少ない上に、まったく咲かない年もあるほどです。
見頃は?
ずばり、見頃は5月1日から15日までだと考えてください。
ぜんぜん観れないんだけど?
ヒダカソウは、1輪咲くと10日~15日ほどしか保ちません。
多い年でも、ほんの数輪しか花をつけないうえに、寿命も上のとおりですから、狙っていかないと会えません。
しかも、アポイ岳登山口にある『今咲いている花』という看板のなかにも、ヒダカソウは載りません。
フェイスブックやツイッターなどによる情報の拡散も、なるべく自重するように言われます。
これは、盗掘被害にあってきたアポイ岳ならではかもしれません。
「いつ咲いてるの? 全滅しちゃってるんじゃ?」
と思う人もいらっしゃるでしょう。
ヒダカソウに会う方法
ヒダカソウには、
- 5月1日から15日の間
- 必ず幌満お花畑を観察する
ということを続ければ、いつかは会えるでしょう。
「今咲いていますか? どこに咲いていますか?」
とたずねても、教えてもらえない場合もあります。
ネットなどの情報を当てにせず、上の条件で、なるべくたくさんアタックするしかありません。
ヒダカソウに会いたいなら自分の足で!
なのです。
アポイ岳楽しみ方まとめ
アポイ岳を満喫するなら、
まずは幌満お花畑を目指し、余裕があれば山頂を目指す
という計画で登ることをオススメします。
幌満お花畑に行かずにアポイ岳の山頂だけ登ることは、
美味しいラーメン屋さんに行って、ラーメン食べずにチャーハンだけ食べた
ようなものです。
初志貫徹で、山頂から幌満お花畑へ向かえる人は、もちろんそれでも構いませんよ。
そして、幻の花ヒダカソウに会いたいならば、
ネットでは情報が入らないと思い、開花時期の間に幌満お花畑に足を運びましょう。
アポイ岳は、知れば知るほど魅力あふれる山です。
地元登山者として、少しでも参考になれば嬉しいです。