こんにちは、寝袋!です。
私は個人的には北海道の山をメインに登りつつ、本州からの登山客を案内する仕事をしています。
すると、どうしても、
「北海道の山はさあ、なんで◯◯なの?」
「もっと◯◯してくれればいいのに!」
という声(ほとんど不満)が耳に飛び込んでくるのです。
「ごもっとも」
と思うこともありますが、反面、
「だからこそ北海道の山はいいのに!」
とイラッとくることもあります。
北アルプスなどのメジャーな山へ行くと、
「ああ、なるほど。こういう登山をしてるから、北海道へ来て不満に思うんだな?」
と理解できます。
たしかに知らないでくると、戸惑ってしまうのでしょう。
そこで、本州と北海道の山々を比較して、
「これは知ってから来てくださいね! ここが違いますから」
というところをまとめてみました。
北海道の山を、「初めて」登りに来る人は、ぜひ読んでください。
北海道の山の、他にはない素晴らしさを、不満として感じるのではなく、楽しめるようになるでしょう。
目次
案内看板が少ないです
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こんな立派な案内は少ないです
北海道の山へ来て、本州の人が一番驚くのが、案内看板の少なさでしょう。
「看板ないから、不安だった」
「もっと看板作ってくれたらいいのに」
北海道の登山者にとっては当然の看板密度も、本州の人にとっては普通じゃないみたいですね。
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登山道わかります?
同じように、
「登山道分かりづらい! 藪こぎみたい」
と言われることも。
「え? ちゃんと踏み跡あるじゃないですか?」
決して本州の登山者がレベル低いわけではなく、北海道の登山者がレベル高いわけでもありません。
「常識の違い・慣れの問題」なんです。
本州の人も、「こんなものだ」と思ってもらえれば大丈夫ですよ。
看板も登山道も、
可能な限り手を入れない、大自然の良さ
と感じていただければと思います。
営業小屋がありません
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北海道一ナンバー1レベルの立派な小屋
北海道には、いわゆる営業小屋(人がいて、料金を取り食事や宿泊を提供する)がありません。
ほんのいくつか管理人がいる小屋もありますが、ほとんどが無人の避難小屋です。
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雨漏りすることもあれば、ネズミがいることもあります。
まともな布団もなければ、もちろん、ビールもお菓子も水すら売っていません。
「北海道には営業小屋なんてないですからね」
「でも、ビールやバッジくらいは売ってるんでしょ?」
「いやいや、そういうのを売ってるのが営業小屋ですから(笑)」
こんな会話を何度してきたことか・・・。
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これが山の上で食べられるなんて
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北アルプスでビールあったときは思わず買ってしまった
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雲ノ平山荘。こんな山奥でもこんな小屋があれば怖いものなしですね
食べるものも、寝るものも、全部自分の力で背負っていく。
大自然の中で、テント生地一枚に守られて時間を過ごす。
営業小屋がないからこそ出来る楽しみです。
車がないと行けない登山口が多いです
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ニペソツ山登山口
北海道の山は、登山口自体が山奥にあります。
本州のように、バスや電車では行けません。
車が必須です。
たいていは路面状態の悪い林道を走っていくので、そんな苦労というかスリルも味わえます。
変な話ですが、車の運転が出来ないと、登れない山がたくさんあります。
水は基本的に飲めません
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よい水場
北海道では、水場があってもそのまま飲むことは出来ません。
「生水飲むとお腹壊すかもしれないから・・・」
ではありません。
エキノコックスという寄生虫のせいです。
濾過もしくは煮沸の方法を知っておいてください。
本州で、沢水を飲んで、
「冷たくておいし~い」
なんて言ってますが、北海道の登山者にとっては夢物語です。
携帯電話が使えない範囲が広いです
北海道の山は、最高でも2200mほどしかありません。
ただし、
「北海道はでっかいどー」
じゃないですが、山の面積が広いのです。
そのため、携帯電話が使える範囲が、本州ほど広くはないことを覚えておいてください。
山頂から麓が見えない山がたくさんあるのですが、それはつまり、電波が悪いということです。
人がいません
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日本で一番人里離れた地域がここです
北海道の山は、人で混み合うことはほとんどありません。
大雪山旭岳や十勝岳のような、超のつくメジャーな山で、お盆休みなどの連休だけでしょう。
土日でも、人とすれ違わないこともたくさんあります。
平日でも必ず人がいる北アルプスなどとは違います。
「ぜんぜん人がいないんだけど・・・」
と不安に思わず、
「こんなに広い山を独り占めしていいんですか!」
と喜んでください。
山本来の静かな時間を楽しめるのも、北海道の山の良さです。
ヒグマがいます
北海道の山には、ヒグマがいます。
「ヒグマが怖くて、心配で」
と、みなさん緊張の面持ちで話されます。
たしかにヒグマは大きいですし、会わないに越したことはありませんね。
でも、正直、ツキノワグマと一緒です。
イノシシと戦っている本州の人のほうが、よっぽどすごいと思います。
ちゃんと対策を知って準備しておけば、大丈夫ですよ。
むしろ、会いたいと思っても会えるものではありません(笑)
飛行機に乗るとき注意が必要です
北海道に来るためには、飛行機かフェリーで海を越えなければいけません。(電車もありますが)
そのなかで、飛行機には注意が必要です。
飛行機に載せられないもの、持ち込めないものがありますし、忘れ物も多いんです。
ガス、ピッケル、アイゼン、ストック、ライター、どれがOKでどれがNG?
運転免許証は? 登山靴は?
しっかり準備してください。
当日、空港でアタフタしないように。
だからこそ「静かで混雑がなくお花が多い」
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広い山の中で花と自分だけ
じつは、北海道の山を登りに来る人は、毎年のように来られます。
「一回味わったら、北海道の山はやめられない」
そういう人が多いのです。
北アルプスでも、南アルプスでもなく、北海道の山へ来るんですよ?
ここで書いてきた「北海道の山の注意点」を、嫌だと感じるのは最初だけでで、
「だから良いんじゃないか!」
と変わっていっちゃうんですよ。
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お花畑が本当にお花畑なんです
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人混みとは無縁で、花に囲まれて、自分だけの力で歩き通す広大な山。
そんな北海道の山を嫌いにならないために、最初の一歩の手助けになれば嬉しいです。