映画『フリーソロ』の手に汗握る感想「どんな映画のシーンより怖い」




こんにちは、寝袋!です。

夏前に、

「登山者なら必見の映画が公開されるよ!」

とご紹介した映画がありました。

『フリーソロ』

アレックス・オノルドというクライマーが、エルキャピタンという壁を、フリーソロで登るドキュメント映画です。

公開前から楽しみにしていましたが、期待通りの作品でした。

まだ観ていない人のために、私なりの感想をご紹介します。

すでにDVDも販売されていますので、観逃した人も大丈夫。

登山者なら、絶対に観るべき名作ですよ。

どんな映画?

公式HPより

この『フリーソロ』という映画が、どんな映画かご存じない人もいらっしゃるでしょう。

高さ1kmもある垂直の岩壁「エル・キャピタン」を、アレックス・オノルドというクライマーが登るドキュメント映画です。

このひとのスゴイところは、

  • 1人で
  • ロープ(命綱)を使わず

登ることです。

わかります?

「1回でもミスったら墜落死」

ということです。

詳しく知りたい人は、まずはこちらを読んでください。

アレックス・オノルド、エル・キャピタン、フリーソロについて、説明した記事です。

【映画フリーソロ】アレックス・オノルドを徹底調査【エルキャピタン】

2019年6月23日

『フリーソロ』感想(ネタバレなし)

公式HPより

それでは、ネタバレしないように、私の感想をお話します。

私の勘違い

まずそもそも、フリーソロという行為自体に関して、私は勘違いしていました。

エル・キャピタン自体が、もう何度も登られていることも知っていましたので、そのせいかもしれません。

私のなかでは、

「まず失敗しないようなルートを、命綱なしのプレッシャーの中で登る」

のだと思っていました。

エル・キャピタンのことを詳しく知らないので、

「この人ならば、100発100中で登れるルートなんだろう」

と思っていたんですね。ナメてたわけです。

当然、そんなわけじゃありませんでした。

何度もロープ付きで練習し、何度か失敗し(本番だったら死亡)、本番に挑んだのです。

成功率は詳しくわかりませんが、時々は失敗してしまうのはよくわかりました。

映画を観てもらえばわかりますが、彼が精神力を集中していく様子は素晴らしいです。

ディーン・ポッターいいかげんにしろ

フリーソロという行為を説明するために、映画の中で何人かの映像が流れます。

そのなかで、ディーン・ポッターさんという人も出てくるのですが、正直、

「おいおい、いいかげんにしてくれ」

と思うくらい、ゾッとするシーンでした。

私、思わず画面から目をそらしましたよ。

撤退の気持ち

詳しく書くとネタバレになってしまうので書きませんが、彼は1回撤退します。

私などとは、登山のジャンルもレベルも天と地ですが、

「ああ、この気持ちはわかる。一緒なんだな~」

と感じました。

突然、ものすごく山が怖く感じる時ってあるんですよね。

私、登る自信がなくて、一度登山口で帰ってしまったことありましたから(笑)

撮影スタッフの苦悩

このような映画を撮れるということは、つまり、撮影スタッフもすべてクライマーです。

そして、クライマーということは、みんな顔見知りの友人なわけです。

「いかに彼の邪魔をしないように撮影するか?」

を真剣に考え、挙げ句、

「精神集中の邪魔になるなら、撮影やめてもいい」

とすら提案します。

映画そのものより、クライマー仲間の成功を願う気持ちが伝わってきました。

恋人の苦悩

彼には恋人がいるのですが、彼女の気持ちを考えると、とてもかわいそうでした。

出発前に、

「僕には長く生きる義務はない」

「寿命をまっとうするつもりはない」

と、目の前で言い切ることはないだろうに・・・。

嘘でもいいから、

「無事に帰ってくるよ」

と言ってあげればいいのにと、他人事ながら思っていました。

目に違和感あり

私感ですが、なんとなく彼は、他人の気持ちをとらえられない、わからない、そんな性質があると感じました。

上の恋人のこともしかり、その他、会話の端々に、何か違和感を感じました。

そして、目も。

医学界は「彼は恐怖を感じていない」と言いましたが、彼は否定しました。

その真偽はわかりませんが、私はそのことより、彼の気持ちには何かが足りないと感じました。

他人の気持ちがわからないというか・・・。

あなたはどう感じるでしょうか?

作り物ではない本物の怖さ

公式HPより

この映画全般的に言えることですが・・・

すべてが本物、すべてがリアル

ということです。

アクション映画でトム・クルーズがビルからビルへ飛び移るより、

1m先の岩へちょっと飛びつくほうが、圧倒的に恐ろしい

のです。

「いやいや、映画化されてるんだから、落ちてないわけだし」

と考えてしまう人もいるかもしれません。

そんなものじゃありませんよ?

私に言わせれば、

「落ちていないと知っているから、なんとか直視できる」

のだと思います。

カメラマンが、撮影しながら、目をそらして泣いてしまうシーンもあります。

「いつ、カメラのファインダーから彼が消えるか?」

と思いながらでは、絶対に見続けられないでしょう。

「作り物の映画と、本物の映像では、こんなに気持ちが違うものか!」

と感じると思います。

アレックス・オノルドはもちろん、撮影スタッフ全員に拍手を送りたくなる映画です。

重ねていいますが、登山者なら絶対に観るべき作品ですよ。

手の汗びっしょり、何度もお尻の穴がキュッとくる凄さ、味わってください。

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