こんにちは、寝袋!です。
夏前に、
「登山者なら必見の映画が公開されるよ!」
とご紹介した映画がありました。
『フリーソロ』
アレックス・オノルドというクライマーが、エルキャピタンという壁を、フリーソロで登るドキュメント映画です。
公開前から楽しみにしていましたが、期待通りの作品でした。
まだ観ていない人のために、私なりの感想をご紹介します。
すでにDVDも販売されていますので、観逃した人も大丈夫。
登山者なら、絶対に観るべき名作ですよ。
目次
どんな映画?
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/06/ah010.jpg)
公式HPより
この『フリーソロ』という映画が、どんな映画かご存じない人もいらっしゃるでしょう。
高さ1kmもある垂直の岩壁「エル・キャピタン」を、アレックス・オノルドというクライマーが登るドキュメント映画です。
このひとのスゴイところは、
- 1人で
- ロープ(命綱)を使わず
登ることです。
わかります?
「1回でもミスったら墜落死」
ということです。
詳しく知りたい人は、まずはこちらを読んでください。
アレックス・オノルド、エル・キャピタン、フリーソロについて、説明した記事です。
『フリーソロ』感想(ネタバレなし)
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/06/ah13.jpg)
公式HPより
それでは、ネタバレしないように、私の感想をお話します。
私の勘違い
まずそもそも、フリーソロという行為自体に関して、私は勘違いしていました。
エル・キャピタン自体が、もう何度も登られていることも知っていましたので、そのせいかもしれません。
私のなかでは、
「まず失敗しないようなルートを、命綱なしのプレッシャーの中で登る」
のだと思っていました。
エル・キャピタンのことを詳しく知らないので、
「この人ならば、100発100中で登れるルートなんだろう」
と思っていたんですね。ナメてたわけです。
当然、そんなわけじゃありませんでした。
何度もロープ付きで練習し、何度か失敗し(本番だったら死亡)、本番に挑んだのです。
成功率は詳しくわかりませんが、時々は失敗してしまうのはよくわかりました。
映画を観てもらえばわかりますが、彼が精神力を集中していく様子は素晴らしいです。
ディーン・ポッターいいかげんにしろ
フリーソロという行為を説明するために、映画の中で何人かの映像が流れます。
そのなかで、ディーン・ポッターさんという人も出てくるのですが、正直、
「おいおい、いいかげんにしてくれ」
と思うくらい、ゾッとするシーンでした。
私、思わず画面から目をそらしましたよ。
撤退の気持ち
詳しく書くとネタバレになってしまうので書きませんが、彼は1回撤退します。
私などとは、登山のジャンルもレベルも天と地ですが、
「ああ、この気持ちはわかる。一緒なんだな~」
と感じました。
突然、ものすごく山が怖く感じる時ってあるんですよね。
私、登る自信がなくて、一度登山口で帰ってしまったことありましたから(笑)
撮影スタッフの苦悩
このような映画を撮れるということは、つまり、撮影スタッフもすべてクライマーです。
そして、クライマーということは、みんな顔見知りの友人なわけです。
「いかに彼の邪魔をしないように撮影するか?」
を真剣に考え、挙げ句、
「精神集中の邪魔になるなら、撮影やめてもいい」
とすら提案します。
映画そのものより、クライマー仲間の成功を願う気持ちが伝わってきました。
恋人の苦悩
彼には恋人がいるのですが、彼女の気持ちを考えると、とてもかわいそうでした。
出発前に、
「僕には長く生きる義務はない」
「寿命をまっとうするつもりはない」
と、目の前で言い切ることはないだろうに・・・。
嘘でもいいから、
「無事に帰ってくるよ」
と言ってあげればいいのにと、他人事ながら思っていました。
目に違和感あり
私感ですが、なんとなく彼は、他人の気持ちをとらえられない、わからない、そんな性質があると感じました。
上の恋人のこともしかり、その他、会話の端々に、何か違和感を感じました。
そして、目も。
医学界は「彼は恐怖を感じていない」と言いましたが、彼は否定しました。
その真偽はわかりませんが、私はそのことより、彼の気持ちには何かが足りないと感じました。
他人の気持ちがわからないというか・・・。
あなたはどう感じるでしょうか?
作り物ではない本物の怖さ
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/06/ah9.jpg)
公式HPより
この映画全般的に言えることですが・・・
すべてが本物、すべてがリアル
ということです。
アクション映画でトム・クルーズがビルからビルへ飛び移るより、
1m先の岩へちょっと飛びつくほうが、圧倒的に恐ろしい
のです。
「いやいや、映画化されてるんだから、落ちてないわけだし」
と考えてしまう人もいるかもしれません。
そんなものじゃありませんよ?
私に言わせれば、
「落ちていないと知っているから、なんとか直視できる」
のだと思います。
カメラマンが、撮影しながら、目をそらして泣いてしまうシーンもあります。
「いつ、カメラのファインダーから彼が消えるか?」
と思いながらでは、絶対に見続けられないでしょう。
「作り物の映画と、本物の映像では、こんなに気持ちが違うものか!」
と感じると思います。
アレックス・オノルドはもちろん、撮影スタッフ全員に拍手を送りたくなる映画です。
重ねていいますが、登山者なら絶対に観るべき作品ですよ。
手の汗びっしょり、何度もお尻の穴がキュッとくる凄さ、味わってください。