【生存性バイアス】私達はまだ遭難の本当の原因を知らないのかも




こんにちは、寝袋!です。

以前、遭難予防に関する考え方で、「正常性バイアス」という言葉について説明しました。

人がどのようにして正常な判断力を失って、通常では信じられないような行動をとり、最後には遭難してしまうのか?

その要因となるのが「正常性バイアス」です。

遭難事故の解説によく登場する言葉ですから、きっとご存知の登山者も多いのではないでしょうか。

さて、今回説明したいのは、

生存性バイアス

という言葉です。

これは、私達登山者が

「知っているつもりになっている」遭難事故の原因が、じつは間違っているかもしれないよ

というお話です。

遭難事故の原因ってなんでしょう?

たとえばテレビで報道される遭難事故、同じ登山者として気になるものです。

「遭難? あの山か・・・どこでだろうな?」

「単独の人か・・・何があったかな?」

つい振り向いてニュースに耳を傾けてしまうのは、きっと私だけじゃないはず。

自分なりに想像したり、時には腹立たしいこともあり、同情することも。

さて、遭難事故の原因として、あなたはどんなものが思い浮かびますか?

装備不足・経験不足・悪天・転倒・道迷い・雪崩・ケガ・滑落・・・。

遭難者が発見された状況から、さまざまな想像と検証が行われ、裏付けが行われていきます。

「事件」ではないので、ある程度の状況がわかれば、それで解決となることになります。

そこで、突然ですが、2つのたとえ話をどうぞ。

たとえ話①「猫は高いところから落ちたほうが怪我が少ない」

猫は高いところから落ちたほうが怪我しない

昔、ある調査データが発表されました。

猫の身体能力や生態が調べられて、次のような結果が出たというのです。

猫の調査
「猫が高い場所から落下してしまった場合、6階以下から落下したときのほうがケガが多い。じつはそれ以上高くなるとケガが少ないことがわかった」

一瞬信じられないような調査結果ですが、専門家は次のような想定を考えました。

結論
猫はある程度の高さを越えると、確実に体を翻し着地体制を整えることが出来る。一方、落下速度はある時点で空気抵抗の関係で一定となるため、このような結果になる

なるほど、たしかに軽いものを上から落とすと、一定以上のスピードにはならない経験、ありますよね。

それに加えて猫のあの敏捷性。

猫類、偉大なり!

たとえ話②「飛行機の装甲について」

飛行機のダメージ(イメージ)

第二次世界大戦で、操縦者の帰還率を高めるために、戦闘機の強化が行われることになりました。

技能の高いベテラン操縦者を育てることは、新しい戦闘機を作ることより難しいからだそうです。

そこで、戦闘から無事に帰ってきた戦闘機を調査して、どこにダメージを食らっているか徹底調査されました。

結果、上の図のようになりました。

赤いところが、よく攻撃を食らっていたところだったそうです。(イメージで実際は違います)

飛行機の調査
帰還した飛行機のダメージが多かったところは、よく攻撃を食らった場所なので、そこを徹底的に強化するべし

やはり、翼の先端とか根本に攻撃を食らうと、操縦性に問題が発生するのでしょう。

技術者は、攻撃を食らっていたところに、追加の装甲板などの対策を行うのかと思ったら、じつは違ったそうです。

結論
赤い点がないところを徹底的に強化することにする

あれれ?この人は、いったい何を言ってるんだ?

これが生存性バイアスです

上の2つのたとえ話は、「生存性バイアス」をよく表しているたとえ話です。

たとえ話といっても、実話のようですが。

猫の調査は、生存性バイアスで間違った結論が出てしまいました。

対して飛行機は、生存性バイアスにとらわれることなく、正しい結論を出すことに成功しています。

みなさん、おわかりですね?

猫の解説
猫は6階より高いところから落ちた場合、ケガはせず死亡してしまっている。落下でケガした猫を対象に調査してしまったので、死亡した猫が調査されないという間違いが発生している
飛行機の解説
帰還した戦闘機のダメージは、むしろ「ダメージを負っても帰ってこれた場所」である。赤い点がついていない場所こそが、「ダメージを負うと帰ってこれない場所」ということ

ということです。

これが、生存性バイアスというものです。

遭難事故の原因と生存性バイアス

そこで今回お話したいのは、遭難事故の原因についてです。

私達が知っている遭難の原因は、じつはほとんどが推測されたものです。

そこに、「遭難して無事に帰ってこれた人の経験談」も加わります。

貴重な経験を、遭難体験談として公表されることは、とても勉強になります。

その経験を元に、私達は遭難事故にどのようにおちいるか、学んできました。

でも、「遭難で亡くなってしまった人たち」の経験談は、残念ながら聴くことが出来ないのが真実です。

つまり私達は遭難事故の原因を知らない

私達が勉強している遭難の原因。

私達が「知っているつもりになっている」遭難の原因。

貴重な体験談をもとに、事故現場の状況を推理して、導き出される遭難事故の状況。

かなり事実に迫っていると思います(たぶん・・・)が、もしかすると、

「私達が知らない・想像できない生存率0%の遭難原因」

があるかもしれないということです。

私は別に脅したいわけでもないですし、山を怖がらせようというつもりはありません。

ただ、「想像を超えた・想定外の遭難」に合わないように、気をつけてほしいなと思う次第です。

⬇「正常性バイアス」についてはこちらをどうぞ。

【ほぼ失敗】遭難者を襲う「正常性バイアス」を体感出来るテスト

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