【遭難事故一歩手前】雪渓を滑落して停止不能!【私はこれで改心しました】




こんにちは、寝袋!です。

今回、私が経験した滑落をお話します。

この経験の前までは、私は慎重な人間だと思っていたのです。

「十分に安全に気をつけている」

と自負していました。

それが、まったく根拠のない、思い込みにすぎないことを思い知りました。

私の慢心も、どこかへ滑り落ちていきました。

まずは、その様子を聴いてください。

滑落の状況について

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北海道の日高山脈を、単独で縦走していた時でした。

私と同時期に、こちらも単独のAさんも日高縦走へ入るということでした。

違う入り口を起点にしましたので、

「ちょうど中間のどこかで合流しましょう!」

と約束していました。

現場は七つ沼カール

七つ沼カール

場所はどこがいいか話し合い、七つ沼カールで合流することにしました。

七つ沼カールとは?
北海道日高山脈の主峰、幌尻岳を取り巻くカール地形の1つです。

残雪で7つの沼が出来ることから、七つ沼カールと呼ばれています。

水も豊富で、ナキウサギが生息しているうえに、登山者もとても少ないので、楽園と呼ばれています。

私が縦走に入ってから数日後、順調に七つ沼カールに到着しました。

カール壁の下降

カール壁は上部ほど急なのが定番です

上から見ると、カールの底にAさんのテントが見えました。

「おっ、先に来てるな!」

私もカール壁を降り始めました。

カール壁というのは、上部は急なので、慎重に降りていきました。

最上部こそ地面が見えていたものの、残雪の急斜面に出ました。

とくに恐怖心も警戒心もなく、

「アイゼン付けるほどのことではない」

と、スタスタと雪渓に突入してしまったのです。

春先の腐った雪でしたから、キックステップもあまり効かず、ズルズルと滑りながら降りていく感じでした。

念のためにアイゼンを付ければよかったのですが、私はそうしませんでした。

理由①自信過剰

まず第一に、

「これくらいの雪渓ならどうということはない。むしろ、滑りながら降りられるぜ!」

という、過剰な自信でした。

実際、慎重に行けば、滑落することなく行けたように思います。

理由②虚栄心

次に、

「Aさんが待っている、見ている」

ということから、アホな虚栄心が芽生えたのでした。

  • アイゼンなど使わず
  • 格好良く降りてやろう

という、気持ちです。バカですね。

滑落! 止まらない!

登山靴を滑らせながら降りていきましたが、次の瞬間、一気に滑り出しました。

足場を失った体は、縦走用の重いザックもあってバランスを失ってしまいました。

「あっ」

と思う間もなく、私の体は雪渓の上を滑っていたのです。

なんとか止めようとしますが、ピッケル無しで加速してしまった以上、もう止まるものではありません。

雪渓の下には、ゴロゴロと岩が転がっていました。

「なんとか、岩への直撃だけは避けなければ」

と、手で雪面にブレーキをかけ方向を変えようとしました。

ところが、飛び散る雪でメガネが真っ白になって視界もなくなりました。

もう、何も見えず、ただ落ちていくだけでした。

ほんの数秒ですが、自分ではどれだけの時間が経ったかわかりません。

ドシャッとハイマツ帯に突っ込んで、体が停止していました。

「私はどうなってしまったんだろう?」

こわごわと、少しずつ手を動かし、足を動かしてみました。

どうやら幸運にも、岩でなくハイマツ帯に突っ込んだおかげで、とくにケガもなく済んだようでした。

なにか出来たわけではなく、ただの偶然です。

たまたま、ぶつかったところがハイマツだったおかげで、私は九死に一生を得たのでした。

もし足が折れていたら
カール壁を登ることも出来ませんし、携帯電話が通じません。

Aさんに下山してもらって、救助を要請するしかなかったと思います。

Aさんがあわてて駆け寄ってきました。

「運良く、どこにもケガはありません・・・」

情けない・・・

ナキウサギ

そのまま、私たちは七つ沼カールで2泊しました。

ナキウサギを観察したり、景色を堪能したり、ほとんど歩かずに時間を過ごしました。

ハイマツ帯に突っ込んだ時に、脚のあちこちに擦り傷が出来ていて、血が出ていました。

手の指の爪が割れていました。

痛いやら情けないやら。

とても素晴らしい景色に囲まれて、考える時間もたっぷりありました。

「今まで、あのくらいの雪渓は、大丈夫だと思って歩いてきた。

でも、今まで大丈夫だったというだけのことか・・・。滑ってしまえば危険が待っていたのか」

もう、あれから何年も経ちました。

今から思えば、あの時に私の意識はガラリと変わったのです。

「岩に当たって死ななくてよかった」

のはもちろんですし、

「もし足が折れていて、Aさんとの合流がなかったら、単独の私はあそこで動けなかった」

と思うのです。

ほんの少し違うだけで、私は地獄行きだったんだな・・・。

人は、こんなにアッサリ、死ぬか生きるかの状況に落ち込んでしまうんです。

そして、その境目はほんの偶然みたいなものなのです。

最後に

この一件から、私の安全に対する意識が大きく変わりました。

【遭難しないために】安全に対する基本的な考えの間違い

2019年2月27日

まだまだ完全に身に着けたとは言えないのですが、目指すところは決まったということです。

死なずにこういう教訓を経験できたのは、ラッキーでした。

おそらく、ほとんどの人が、滑落前の私と同じ意識ではないでしょうか?

自分の運に自信のないひとは、私のような失敗をする前に、気づいてくださいね。

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