北海道の登山で飲み水を作る方法(煮沸消毒&携帯浄水器)




こんにちは、寝袋!です。

北海道で登山をするとき、気をつけなければいけないのが、飲み水の確保です。

北海道の山には、本州のような(小屋番が居て、食事や宿泊を提供する)営業小屋がありません。

そのため、飲み水がなくなったからといって、お金で水や飲み物を買うことが出来ないので、注意が必要です。

しかも厄介なことに、北海道では自然にある水を、そのまま飲むことは出来ないのです。

どこにでもキツネはいる

北海道では、キツネや動物の排泄物が、水の中に混入している可能性があり、エキノコックスという寄生虫を体内に取り込む危険性があるためです。

「必ず」煮沸消毒もしくは携帯浄水器を使って、無害な水を作る必要があります。

「それぞれの具体的なやり方」

「エキノコックスに寄生されるとどうなるか」

を説明します。

安全な水の作り方を覚えれば、北海道の山をもっと楽しめますよ。

北海道の水場事情

まず、自然にある水を利用しようとすると、次のような種類があります。

雪融けの貴重な水

沢水

沢を流れている水です。

季節にあまり左右されないので、あらかじめ調べておけば、水を手に入れられる可能性が高いです。

「流れている水は大丈夫」という人もいますが、私は飲みません。

雪渓から採る

北海道では夏まで雪渓が残っている場所も多く、その雪が融けて出てくる水は、貴重な水源です。

年によって、季節によって、雪渓がなくなる時期はまちまちなので、気をつけなければいけません。

稜線上の雪はもともと積雪量が少ないですし、早く無くなってしまうので、とくに下調べが必要です。

湧き水

地下から湧き出ている水です。

水場によって、枯れる枯れないが違います。

「飲料可」と言われる場所でも、私は直接は飲まないことにしています。

実際のところ、どこから出てきているかわからないからです。

エキノコックスとは?

エキノコックス症

主にキタキツネやイヌ・ネコ・タヌキ・オオカミ等イヌ科をはじめとする肉食動物(イヌ科以外の例外もあり)の糞に混入したエキノコックスの卵胞を、水分や食料などの摂取行為を介して、ヒトが経口感染する事によって発生するとされる、人獣共通感染症である。卵胞は、それを摂取したヒトの体内で幼虫となり、おもに肝臓に寄生して発育・増殖し、深刻な肝機能障害を引き起こすことが知られている。

患者の98%が、肝臓に病巣を形成される。感染初期の嚢胞が小さい内は無症状だが、やがて肝臓腫大を惹き起こして右上部の腹痛、胆管を閉塞して黄疸を呈して皮膚の激しい痒み、腹水をもたらす事もある。次に侵され易いのは肺で、咳、血痰、胸痛、発熱などの結核類似症状を引き起こす。

発症前の診断と治療開始が重要。放置した場合の5年後の生存率は30%と言われている。(wikipediaより)

つまり、感染を予防することが大切で、発症してしまうとかなり危険ということですね。

煮沸消毒する

方法

ガスなどで煮沸して消毒します。

問題点は燃料を消費してしまうことと、時間がかかることです。

プラティパスのようなソフトな水筒でも熱湯は大丈夫なので、「沸かしては移し」を繰り返して飲料水を作ります。

ちなみにプラティパスのアドバイスとしては「大は小を兼ねる」です。

どうせ折りたたむと、重さも大きさもたいして変わりませんから。

消毒に必要な時間は?

エキノコックスは熱に弱く「100℃で1分」の消毒で死滅します。

山の上では100℃に達しない場合もありますが「60℃で10分」で死滅するというのですから、一度沸騰させて放置しておけば大丈夫です。

500mmの水を沸騰させるのに必要な、ガスの量と時間

ちなみに、500mmの水を沸騰させるのに、どのくらいの時間とガスを使うのかを実験してみました。

沸騰前、374g

500mmの水、気温10℃

沸騰後、364g

約3分30秒

結果、ガスは10g使い、時間は約3分30秒かかりました。

室内の無風状態なので、ベストな条件です。

最低限これくらいのガスと時間は掛かるということです。

ガスが荷物になりますし、かなり面倒です。

携帯浄水器を使う

携帯浄水器は、スーパーデリオスソーヤーミニなど、いくつか種類があります。

私はスーパーデリオスを気に入って愛用していますが、性能はどれでも大丈夫です。

ちなみに携帯浄水器を持っていると、沢水を冷たいまま飲むことが出来るというメリットもあります。

山で冷たい飲み物は、生き返りますよ。

スーパーデリオス

使い方はとても簡単。

マヨネーズの容器のような本体に、水を汲み、蓋をしてチューッと絞るだけです。

力もいらない

どの携帯浄水器も、たいていのものは基本的にやることは一緒です。

実戦での工夫

実際の山で飲み水を作る時、ちょっとした工夫で作業が楽になるので紹介します。

ゴミの多い水の場合

モンベルのコーヒーフィルター

袋から出すとバネで一瞬で開く。

沢などから水を汲むと、葉っぱや虫、「得体の知れない何か」が水に混ざっている場合があります。

そのまま浄水器を通すと、あっという間にフィルターが目詰まりしてしまうので、あらかじめ大きなゴミは取り除いてやるといいです。

また、煮沸する時でも、せめて目に見えるゴミは取り除いて飲みたいですよね。

いくら消毒してあっても、喉を異物が通過する感触は嫌なものですから。

そういう時、モンベルの携帯用コーヒーフィルター(コンパクトドリッパー)は便利なのでオススメします。

これでおおまかなゴミを濾してから、浄水作業に取り掛かるといいですよ。

一気に大量の水を作る

スーパーデリオスは一度に300mmしか浄水できません。

まあ、これでノンビリやってもいいんだけど、グループなどで大量に水を作る場合などは、もっと早く済ませたい場合もでてきます。

そういうときに、覚えておくといいポイントがあります。

スーパーデリオスは1回300mm

フィルターを取り外して

なんとプラティパスに付く!

なんと、フィルターがプラティパスにピッタリ取り付けできるのです。

これで一気に大量の水を作ることが出来ます。

場合によっては、フィルターだけコンパクトに持って行くという選択肢もありだと思います。

まとめ

北海道の山登りでは、水の確保が大切です。

うまく水を確保できたとしても、煮沸消毒もしくは浄水器による消毒が、絶対に必要です。

なんとか、エキノコックスに感染する危険性を、避けなければいけません。

煮沸消毒のやり方、携帯浄水器のやり方を説明してきました。

北海道は、手付かずの自然にあふれた、素晴らしい山が多いと思います。

飲み水に対する対策を準備して、楽しんでもらえたらうれしいです。

プラティパスは「大は小を兼ねる」です。大きめ(2リットル程度)をオススメします。

 

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