こんにちは、寝袋!です。
登山をしていると、耳に飛び込んでくる言葉はいろいろあります。
そのなかでも、「森林限界」という言葉は、初心者には不思議に感じる言葉の1つだと思います。
「森林限界ってなんですか?」
「限界」という響きは、なにやら危険な香りを漂わせていますよね。
写真を使って、わかりやすく説明します。
これを見れば、あなたもきっと、
「ああ、今いるここが森林限界か!」
とわかるようになります。(そんな大げさなものではないですけどね)
目次
森林限界って?
「森林限界」という言葉は、なにも登山に限った言葉ではありません。
植物の生態に関する言葉ですので、勉強熱心な人は、理科の授業で聞いたのを覚えているかもしれません。
森林限界とは、ずばり、
背の高い木が存在できなくなるところ
のことです。
山の変化
あなたが登った山のことを思い出してみてください。
登山口の周りは森で、背の高い木々がたくさんあるでしょう。
そこから登るにつれて、木は低くなっていったでしょう?
そしてやがて、木はなくなって、草や岩ばかりになります。
その、
背の高い木がなくなって、草(ハイマツも含む)や岩だけになるライン
が、森林限界なのです。
標高や気候で決まります
「森林限界は標高何mです」
と、はっきり示すことはできません。
それは、気候と標高のいろいろな条件によって変わってくるからです。
日本で言えば、
- 暖かい本州では、標高2,000mから2,500mぐらい
- 寒い北海道では、標高1,000mぐらい
で森林限界を越えてしまいます。
また、風の強い地域ではさらに低くなりますし、地質や霧などの条件でも変わるのです。
ですから、その山その山で、森林限界は変わるのです。
北海道には、アポイ岳という面白い山があります。
標高500mで一度森林限界を越えたのに、その後また森林地帯に戻る山もあります。
森林限界の逆転現象と言います。参考までに。
なぜ目に見える?
ちょっと蛇足ですが、ここで、疑問に思う人もいるのではないでしょうか?
「気温の差で森林限界が生まれるのなら、どんどん北へ行けば、いつか平地で森林限界を超えるのでは?」
どこか北の土地には、平地でも森林がなくなるラインがあるはずです。
しかし、実際にはそれはハッキリとは見えません。
どうしてでしょう?
それは、標高と気温の関係が原因です。
気温は、
「標高を100m上げると0.6℃下がる」
と言われています。
では、同じ0.6℃気温を下げるのに、平地ではどれだけ北へ移動すればよいのでしょう?
なんと、約50kmと言われています。
つまり、平地での森林限界のラインは、数十km~数百kmのレベルで存在するのです。
航空写真ならともかく、地面に立っている人間の目では、認識できません。
「森林限界を見ることができる」
というのは、じつは、山に登る人だけの特権なんですよ!
山の変化を写真で見てみましょう
前置きが長くなりましたが、難しい話はやめて、写真で見てみましょう。
上の写真には、はっきりと森林限界が見えています。
ちょっと観察してみてください。
正解は・・・
麓の森から続いている背の高い木が、見事になくなってしまいます。
赤いラインの上は、緑がありますが、ハイマツや草です。
これが、森林限界です。
何枚か写真を見ていきましょう。
森から森林限界を越えて、ハイマツ帯に入る前には、ダケカンバなどの特徴ある木があるのですが、ここでは省略します。
いくつか山へ登っているうちに、自然にわかってきますよ。
「あ、そろそろ森林限界が近いな」
ってね。
森林限界を超える登山
ひとつ、覚えておいてほしいのは、
森林限界は登山において1つの目安になる
ということです。
森というバリアーがなくなる
森林限界を超えると、背の高い木がなくなります。
それは、それまで森というバリアーに守られていたのに、丸裸になるということです。
風は一気に強くなり、避ける逃げ場所は少なくなります。
岩影に隠れるか、ハイマツ帯で座り込むしかありません。
森林限界を超えたら、気を引き締めて、より注意して登山してください。
冬はとくに
冬の山はとくに注意してください。
高い木がない斜面というのは、恐ろしい斜面に早変わりします。
滑ったら、どこまでも落ちていく世界です。
森林限界まとめ
ついつい小難しいことも書いてきましたが、森林限界、お分かりいただけましたか?
そんなに難しいものでは無いと思います。
「森林限界・・・背の高い木が成長できる限界のライン」
ただそれだけなのですが、どことなく、
「立ち入ってはいけない、危険な香り」
を感じる響きです。
実際、森林限界は登山の難易度が変わる瞬間でもあります。
そして、山の景観が、一気に素晴らしくなる瞬間でもあるのです。
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