こんにちは、寝袋!です。
簡易ハーネスとは、カラビナとスリングを使って、補助的に使える安全対策です。
クライミングで使うような本格的なハーネスは、鎖場のある登山や縦走などでは、持っていきませんよね。
そこで予想以上に危ない、怖い難所が出てきてしまったとしたらどうでしょう?
そういうときに、現場でサッと作って、自分を確保して、致命的な滑落から守る手段です。
- 簡単に覚えられる
- 準備しておくものが少ない
- 応用が効く
方法ですから、ぜひ、覚えてみてはいかがでしょう?
「よくある間違った方法」も解説しますので、初めての人でも簡単に覚えられますよ。
万が一にも落ちたらヤバイ・・・そんな難所の恐怖心を乗り越えられる「保険」をかけましょう。
目次
簡易ハーネスとはどんなもの?
簡易ハーネスは、スリング(ひも)とカラビナを使って作る、補助的なハーネスです。
本来のハーネスは、岩壁のクライミングなどで使うものです。
一般的な登山や縦走には、わざわざ装備していきませんし、持っていない人が多いでしょう。
鎖やワイヤーなどの支点にカチャッと掛けて、万が一足を滑らせたときに、転落を阻止するために使います。
こんな時に使います
一般の登山者が登る山でも、ちょっと怖くなるような岩場はあるものです。
有名なものでは、剱岳や槍ヶ岳などが思い浮かびます。
そういう場所で、
「怖いなあ、落ちそうだから慎重に慎重に」
と、手足が縮こまって、なかなか進めない人もいます。
そういうとき、簡易ハーネスで確保しながら登ることは、安全につながります。
遅いようで、かえって速く通過できたりするものなんですよね。
簡易ハーネス「準備するもの」
簡易ハーネスを作るのに必要なものは、
- 120cm(もしくは150cm)のスリング(強いベルトを縫い合わせて輪っかにしたもの)×1
- クライミング用のカラビナ×1
です。
上の写真には、120cmのスリング、短い60cmのスリング、カラビナが2つ写っていますが、これはのちほど説明します。
スリングにはいろいろなベルト幅があるのですが、20mmまでが使いやすいかと思います。
私のもの(写真)は、携行性を考えて8mm幅です。
幅が広いほど、体に食い込まない長所があります。
簡易ハーネスの作り方
それでは、簡易ハーネスの作り方を、写真で説明していきますね。
写真撮影のためにウェアを使っていますが、自分の体と思って下さい。
作り方の手順解説
腕を通したほうが「白」、脇の下を通したほうが「赤」です。
結び方は、たったこれだけです。簡単でしょう?
これは、シートベントという結び方なのですが、
- 結び目が動かない(引っ張っても締め付けられない)
- ほどくのは簡単
という特徴があります。
簡易ハーネスを長くするオプション
さて、場所によっては、もっと長くして使いたい場合があります。
そのときに、簡易ハーネスを延長する方法も覚えておきましょう。
私の場合ですが、120cmのスリングと60cmのスリングで、2段階の長さで使えるようにする方法をオススメしています。
例えば150cmのスリングで、最初から長めの簡易ハーネスを作るのもいいですね。
体型によっても違いますが、
- 120cmプラス60cmの2本体制
- 150cmプラス60cmの2本体制
のどちらかで準備すれば万全でしょう。
シートベントのよくある間違い
さて、ここでひとつ知っておいて欲しいことがあります。
それは、シートベントという結び方には、間違いやすいということです。
もし間違ってしまうと、結び目が移動するので、いざというとき体を締め付けてしまいます。
あえて、間違った結び方を説明しますので、違いを覚えてください。
見分け方も説明しますので、簡単ですよ。
この説明では赤白で色分けしてありますので、間違いがわかりやすいですが、同じ色ですと・・・
パッと見ただけでは、あまりわからないかもしれません。
「この結び方、合ってるのかな?」
と自信がない時には、簡単な見分け方をお教えしましょう。
それは、「結び目が動くかどうか?」です。
間違った結び方ですと、どこかを引っ張ると、どんどん結び目が動いて、体を締め付けていきます。
これでは、落下した時に体が締め付けられて危ないですよね。
正しい方法を知るためには、間違った方法も一度やってみるのがオススメです。
そうすると、違いがよく理解できますからね。
簡易ハーネスの注意点
さて、簡易ハーネスを準備する上で、いくつか注意点があります。
カラビナはクライミング用を使うこと
カラビナは、絶対に強度のあるクライミング用のカラビナを使いましょう。
写真のように、いろいろな数字が書いてあるのがクライミング用の特徴です。
「どれだけの衝撃に耐えられるか?」
を表す数字なんですが、簡易ハーネスは落下を受け止めるわけではなくて、落下が始まらないように事前に停めるものです。
クライミング用であれば、数字はとくに気にしなくていいです。
自作スリングはやめておこう
スリングを準備するときに、輪っか状のスリングを買わず、ベルトを買って自分で輪っかにしようとしてはいけません。
ベルトは強度十分でも、縫い方がどれだけの強度があるかわかりませんよね。
同じく、ロープを自分で輪にしてやる方法も、よほど自信がない限り(ここを読んでいる人なら絶対に)やめましょう。
いざというときに輪がほどけたら、一発アウトです。
あくまでも保険です
簡易ハーネスは、あくまでも保険です。
「これがあれば絶対大丈夫」
という考えはやめて下さい。
例えば水平歩道のようなところを歩いていて、油断してつまづいた時、ワイヤーと繋がっていれば落下までにはいたらないかもしれません。
いざ落下してしまったら、本物のハーネスほどの効果は期待できないでしょう。
簡易ハーネスの作り方まとめ
スリングとカラビナによる、簡易ハーネスの作り方を説明してきました。
この記事を読まれたということは、そういう場所へ行く予定があるとか、もっと安全対策を覚えたいという人でしょう。
この機会に、スリングとカラビナを買って、何度か家で練習してください。
一度覚えてしまえば、写真で見ているより、ずっと簡単に出来ることがわかってもらえると思います。
スリングとカラビナをザックに忍ばせましょう。
簡易ハーネス以外にも、いざという時、いろいろ使えます。
あなた自身に役立つのはもちろんですし、恐怖心を感じるところで、同行者がちゅうちょするような場面、きっと出てきます。
危なっかしく登っていくのを見守るのは、自分が登るより心配なものです。
そんなとき、サッと簡易ハーネスを作ってあげて、優しくエスコートしてあげて下さい。
スリングは、ナイロン製とダイニーマ製があります。ダイニーマ製のほうが、強く柔らかく使いやすく長持ちです。
カラビナは大きめのものを選びましょう。鎖場の鎖は案外太いものです。小さいものでは掛けることができません。ゲートオープン(どれだけ入り口が開くか)が25mm以上あると安心です。