こんにちは、寝袋!です。
今回は、北海道にある日本百名山の一つ、幌尻岳の登り方について解説していきます。
私は全国の山を登っていますが、百名山のなかでは幌尻岳はかなり大変な山になります。
百名山を目標に登られるなら、幌尻岳は体力のあるうちに登られたほうがいいですよ。
さて、幌尻岳は北海道の中でも、もっとも自然のままの姿を楽しめる山です。
原始的で手の入っていない登山道、大変だからこそ美しい世界が広がっています。
この山を登って、
「なんて素晴らしい山なんだ」
と思うか、
「ひどい山だ。もう二度といかない」
と思うか、今後の登山人生を左右する山かもしれません。
目次
幌尻岳とは
「なぜ、この山を百名山に選んでしまった!」
全国の山々を登ってきましたが、私はこう思います。
深田氏が日本百名山を選ぶ上で、「日高山脈」から一つ選ばないわけにもいかなかったのはわかります。
まさか後の世に、日本の登山者が
「自分の選んだ百の山」
を目標にするとは、思ってもいなかったのでしょうね。
正直、この幌尻岳は、百名山のなかではちょっとレベルが違います。
- 藪こぎかという登山道
- 慣れない避難小屋宿泊
- 渡渉
- 天候へのストレス
が登山者を困らせます。
みなさん、心して登ってください。
もちろん、素晴らしい山ですので、楽しむことも忘れずに。
幌尻岳の登山コース
額平川コース(平取町)
「幌尻山荘」(有人避難小屋)を利用して、1泊~2泊で登る行程です。
約20回繰り返す渡渉は、天候による増水を避けて行う必要があります。
新冠コース(新冠町)
「新冠ポロシリ山荘」(無人避難小屋)を利用して、同じく2泊3日で登る行程です。
渡渉は1回だけですが、長い林道歩きが登山者を苦しめます。
チロロ林道コース(日高町)
日高町のチロロ林道から入り、テント泊での1泊~2泊の山行になります。
おそらく日高山脈を初めて登るであろう、百名山目的の人には、おすすめできません。
ここでは、詳細は省きます。
他
十勝方面の伏美岳から、ピパイロ岳、1967峰を経て縦走するコースもあります。
こちらも経験者向けなので、ここでは詳細は省きます。
コース比較
長所
- 渡渉が楽しめる
- カールに沿って登る景観
短所
- 天候が悪化すると入山、下山が不可能になる。
- 渡渉での死亡事故が多発
- 山荘の予約競争が激しい
長所
- 渡渉が1回のみ(大雨以外は大丈夫)
- お花畑が良い
短所
- 新冠ポロシリ山荘までの長い林道歩き(19km)
- 大雨で林道自体が通行止めになることあり
山深い日高山脈にアプローチすることになるため、いずれから登るにしろ、宿泊登山になります。
寝袋、食料など、重い装備を背負っての登山は、慣れない人にとっては大変です。
以下、額平川コースと新冠コースを、順番に解説していきます。
額平川コースの登り方
標準的登山日程
山荘で1泊するのか、2泊にするのかで変わってきます。
バス降り口~幌尻山荘 | 4時間30分 |
登り | 4時間30分 |
下り | 3時間 |
幌尻山荘~バス乗り場 | 4時間30分 |
標高差 | 1,300m |
無理せず、山荘2泊で計画することをおすすめします。
気持ちに余裕が生まれます。時間に余裕をもって登るべき山です。
注意点
沢靴は必須です。
増水していなくても、膝まで楽に水に浸かりますので、濡れることが前提の服装でのぞみましょう。
登山口情報
駐車場:多数
携帯電話:ドコモOK、au不可、ソフトバンクOK
とよぬか山荘からは、町営シャトルバスで入山する。(往復3500円、1時間、1日4便)
シャトルバス予約、とよぬか山荘予約は、TEL:01457-3-3568へ。
天候によりシャトルバスが運行しない場合、徒歩を含めあらゆる通行は不可となります。
幌尻山荘は予約必須で、TEL:01457-3-3568へ。
登山情報
とよぬか山荘から、町営シャトルバスに乗り約1時間、そこからいよいよ登山スタートです。
まずは単調な林道を約7km、歩いていきます。
じつは帰りのほうがやや登りです。
ルート自体は、迷うところはありません。
数箇所、へつりもありますが、危ないところには鎖が設置されています。
このコースの核心部、渡渉区間です。
増水していなくても、膝までくる場所が数箇所あります。
必ず沢靴などを準備しておき、登山靴を濡らさないようにしましょう。
大小合わせて、20回ほどの渡渉があります。
雨で増水した場合、かなり危険な渡渉となります。
毎年のように死亡事故が発生しています。
登りはシャトルバスが運休するので、有無を言わさず登山できないので問題ありません。
問題は下りです。
下りは、幌尻山荘の管理人などの注意を重く受け止めて、停滞を判断してください。
事故は、無理に帰ろうとして起きることが多いです。
幌尻山荘からは、尾根に取り付いて急登していきます。
「沢のあとに一気に急登」
というのは、日高山脈のセオリーみたいなものです。
まずは、命の水という水場まで、2時間あまり急登していきます。
展望もなく、辛い登りです。
命の水はこのコース唯一の水場ですが、チョロチョロなのであまり当てにしないほうがいいでしょう。
命の水からもまだ急登が続くのですが、どんどん展望がよくなるので、先程までとは気分が違います。
稜線に出れば、あとは、お花や北カールの美しい景色を観ながら、半円を描くように登っていきます。
新冠コースとの合流地点を過ぎれば、まもなく頂上です。
頂上からは、日高山脈が四方に広がり、素晴らしい展望です。
参考HP
下記HPには額平川コースの注意点が書いてあります。
ぜひ一読して登山してください。
とよぬか山荘「幌尻岳登山のページ」:http://toyonuka.chu.jp/?page_id=13
付近の宿泊施設
新冠コースの登り方
標準的登山日程
新冠ポロシリ山荘で、1泊ないし2泊の行程になります。
額平川コース以上に、2泊で計画されたほうが良いでしょう。
行きも帰りも、林道歩きがたいへんなコースです。
新冠市街~イドンナップ山荘(車) | 2時間 |
イドンナップ山荘~新冠ポロシリ山荘 | 5~6時間 |
登り | 4時間30分 |
下り | 3時間 |
新冠ポロシリ山荘~イドンナップ山荘 | 5時間 |
イドンナップ山荘~新冠市街(車) | 2時間 |
余裕を持ったご計画を。
登山口情報
駐車場:あり
トイレ:イドンナップ山荘にあり
携帯電話:全社不可
自動販売機:なし
新冠コース利用者が増加していて、駐車場が混雑する場合があります。
なるべく多くの車が停められるように、留意してください。
登山情報
新冠市街から車を走らせること2時間で、登山口となるイドンナップ山荘に到着します。
道中は砂利道の林道ですので、パンクにご注意。
イドンナップ山荘に車を停めたら、その先の奥新冠発電所ゲートを右に入り、林道歩きが始まります。
林道歩きは全部で19kmで、アップダウンを繰り返すので消耗します。
歩き始めてから3kmほどで、いこい橋の上のゲートに到着します。
一度ザックを降ろさなくてはならず、面倒です。
昔は、自転車やスクーターで侵入する輩がいて、それを防ぐためにこんなに厳重なゲートが出来ました。
林道はヒグマも歩きやすいので、よく糞が落ちています。
また、夏の時期はアブが大量発生してイヤラシイので、虫よけのネットなどの利用をおすすめします。
奥新冠ダムが見えたら、樹林帯に入っていき、山荘までもう少しです。
山荘は無人の避難小屋です。水は豊富です。
宿泊道具は山荘にデポして、翌日は身軽な装備で山頂をめざします。
まずは山荘左手の登山道に入り、沢沿いに進んでいきます。
こちらのコースは沢靴は不要です。
たいていは飛び石伝いで渡れます。
水量が多い場合、靴を脱ぐなどすればいいでしょう。
額平コースでも説明しましたが、
「沢沿いのあと一気に急登」
のセオリーは、こちらのコースも同じです。
渡渉したあとは、細尾根をずっと急登していきます。
展望もきかず、たいへん苦しい急登です。
7合目上の水場を渡りますが、このあたりから展望が開けてきます。
この水場は、7月上旬までは雪渓が残りますので、事前情報を確認してください。
稜線下の大岩をめざして登っていきますが、ずっと緩むことのない急登です。
稜線に出ると、額平川コース(振内コースと書いてありますが)との合流地点です。
もう山頂は目の前です。
幌尻岳は日高山脈の主峰ですが、じつは国境稜線からは離れていて、そのおかげで稜線の眺めが素晴らしいです。
注意点
大雨の後は、イドンナップ山荘までの林道が、通行不可になる場合があります。
参照HP
新冠ポロシリ山荘の利用申請については新冠ポロシリ山岳会HPを参照してください。
新冠コースに関しては、こちらのHP「旅人宿ふかふか亭 登山案内」が詳しいです。
付近の宿泊施設
「旅人宿ふかふか亭」は幌尻岳登山者が多く訪れ、オーナー自身も登山者です。
事前情報など詳しく教えてくれます。
幌尻岳に登りやすい時期「狙い目」とは?
どのルートでも、天候に左右されやすいのが幌尻岳の特徴です。
「少しでも成功確率を上げるには、どの時期がいいのか?」
地元民だからわかる「狙い目」を書いています。
登山のために北海道へ飛行機で来る注意点
飛行機を使って登山する場合、いくつか注意点があります。
登山道具の機内持ち込みや、よくある忘れ物などです。
トラブルを避けるためにも、一度読んでいただけると参考になるかと思います。
北海道登山での格安レンタカーの探し方
北海道は、レンタカーの激戦区です。
たくさんのレンタカー会社がひしめきあい、季節によって価格の変動も大きいのです。
大手レンタカー会社から、小規模格安レンタカー会社まで、比較して選べばいいのですが、それはなかなか面倒です。
そういうとき、スカイチケットレンタカーなどの、レンタカー比較サイトなどが便利です。
借りる期間と場所を選んで、一気に比較検討できますよ。