こんにちは、寝袋!です。
ヒルバーグの1人用テント「ソウロ」を愛用していますが、以前、ソウロの紹介と設営方法を記事にしました。
今回は、そちらでは書けなかった、より細かいポイントをレビューしてみます。
「他のテントと比べてどうなのか?」
という観点ではなくて、
「ソウロを使った実感としての長所・短所」
を、私の登山手帳のメモから引っ張り出してまとめました。
ソウロを検討している人が「買うか、やめるか」決める参考になればと思います。
目次
ヒルバーグ・ソウロに関する基本情報はこちら
最強にして最高と定評のあるヒルバーグの1人用テント「ソウロ」ですが、とても重いので登山用としてはどうなのでしょう。
私が登山で使ってみての基本的な感想はこちらにまとめてあります。
まずはこちらから読まれたほうが、ソウロについて知るのには便利ですよ。
その後で、以下の続きを読んでくだされば良いと思います。
ヒルバーグのテントは、他にはない独特の設営方法です。
それが他にはない独特のデザイン、強さ、(そして重さも)生み出しています。
ソウロの設営方法を知りたい場合は、こちらをどうぞ。
実戦でわかった長所
前室が使いやすい
ソウロの特徴の1つに「地面まで隙間のない前室」があります。
私は名付けて「無風前室」と呼んでいます。
これは使えば使うほど便利だと感じるポイントですね。
一般的なテントは、軽さや通気性のためにフライシートを削って、そのために前室と地面には隙間があります。
前室に隙間がないと、とても便利です。
たとえば北海道の山の場合、テントの前室に置いてあったものが、キツネ(イタズラ好きな困ったやつ)に引っ張り出されるトラブルがあります。
サンダルとか登山靴とか、食べるわけでもないのに持っていってしまうんです。
キツネに荷物を盗まれて、泣く泣く下山した人、何人か知っていますが、あれはきっと悲しくて悔しいと思います。
その点、ソウロの前室は、安心して物を置いておけます。
また、風で持っていかれたり、雨が吹き込んだりしないのも安心できるんです。
また、前室で料理する人も多いと思いますが、ソウロの「無風前室」ですと、炎が揺らがないので効率がいいです。
「たいして変わらないのでは?」
と思う人もいるでしょうが、ガスの消費量、固形燃料やアルコール燃料の安定感がけっこう違うものなんです。
「風防いらずの無風前室」ってわけです。
暖かい
ソウロは、無風前室と分厚い生地のおかげで、とても暖かいです。
これは反面、夏場の低山では暑いという短所にもなります。
私は低山ではもっと軽いものを使いますので、暖かさという長所だけを重視しています。
長辺のスペースが広い
ソウロは決して広いテントではありません。
大きな北欧人をベースに作られていますが、日本人が使っても、それほど広くは感じないのが正直なところです。
それでも、フルサイズ(180cm)のマットを敷いても、頭上にはかなりスペースができます。
私は壊れやすい電気機器(カメラ、GPS、スマホなど)は、踏み潰さない頭上に置きたいので、とてもありがたいです。
ポールが物干しに便利
テント場について、濡れているものを干したい時ってありますよね。
そういうとき、ソウロのむき出しのポールはけっこう便利なんです。
これは、使用する前まではまったく考えてもいない長所でした。
テントのフライシートの上に干す場合がありますが、風で吹き飛んだり、滑って落ちたりする経験は、誰でもあるんじゃないですか?
これは設計者も予想していない、想定外の長所でしょうが、こういう細かいところってけっこう使い勝手に影響してきます。
めちゃくちゃ風に強い
ソウロといえば、風に対して無類の強さを言われます。
ポール3本を贅沢に使って、合計12本のガイラインで固定するソウロは、重さを犠牲にして強さに特化しています。
そのコンセプトは、ウソではないと実感しています。
無風前室ということもあって風が吹き込まないことも合わさって、強風の中での安定感は抜群です。
揺れないとか、安心できるとかというレベルはもちろん、静かなので風音に悩まされることなく眠れます。
それって実はすごく大切なことだと思っています。
撤収がものすごく速い
ヒルバーグのテントは、インナーテントとフライシートが一体化されています。
そのために「設営と撤収が抜群に簡単で速い」とよく言われます。
これについては、後述しますが、ここでは「撤収がものすごく速い」とだけ書いておきます。
ペグ抜いて、ササッと適当に畳んで、大きめのスタッフバッグに雑に押し込むだけ。
ツエルト並みに速いんじゃないでしょうか。
撤収が速い登山者は格好いい!
実戦でわかった短所
短辺のスペースが使いにくい
長辺側のスペースが広いという長所をあげましたが、対して短辺のスペースは広くありません。
他のテントより狭いとは思わないのですが、スペースが長方形ではなくて三角形なので、使いにくいのです。
整理整頓が苦手な自分が悪いのもありますが、写真のようにいつもゴチャゴチャになってしまいます。
お恥ずかしい。
天井が高くない
広さと同じく、北欧人設計の割には高さもあまりありません。
ごく一般的な日本製のテントと同じです。
大きな外国の人は、さぞ狭いだろうと思います。
暑い
数々の長所を生み出す「無風前室」ですが、反面、夏の低山では暑いでしょう。
私はそういう場所には違うテントを使いますから、あまり短所には感じませんが、いちおうあげておきますね。
絶対に暑いです。
条件を選んで使い分けて使用して欲しいところではありますが、「夏場の低山も1つのテントでこなそう」と思っている人にはオススメできないかな。
ガイラインを張るのに時間がかかる
ソウロは、ガイライン(張り綱)がなんと12本もあります。
普通は4本(多くても6本)ですよね。
1箇所につき上下2本のガイライン(ペグは1本)を使いますから、張るのに時間がかかります。
長所で「設営の速さ」をあげず「撤収の速さ」だけをあげたのは、そういう理由です。
テント本体の設営自体は速いのですが、ガイラインを張るまでの全行程では、あまり一般的なテントと変わらないです。
プラスマイナスゼロといったところですが、いちおう短所にしておきます。
私にとっては最高のテントです
ヒルバーグのソウロ、使えば使うほど満足感があるテントです。
ただし、
「このテント1つを、すべての登山で使いたい」
「初めて買うんだけど?」
という人には、私はオススメできません。
それならば、ごくふつうの形式の「ある程度軽くて、ある程度頑丈」なテントをオススメします。
たとえば、モンベルのステラリッジとか、アライテントのエアライズとか。
ヒルバーグのソウロは、重さを犠牲にして、無敵の耐久性と機能性をゲットしたテントです。
このテントに手を出そうかと考えっている人は、きっと、
「そんな短所もすべてひっくるめて、それでも使いたい」
「格好良さだけで十分」
と、惚れ込んでしまった人でしょう。
そういうあなたには、私は猛烈にオススメしたいですね。
テント場で設営して、その姿に惚れ惚れとするのは、私だけではないはず。
そして、使えば使うほど、ますます好きになっていくと思いますよ。
以上、ヒルバーグソウロ、実戦での仕様レビューでした。
もっと使ってほしいような、あまり増えてほしくないような、複雑な思いで書きました。
あなたはソウロを手に入れるのか、それとも、思いを断ち切るのか?