こんにちは、寝袋!です。
テントに多少でも詳しい人なら、
「ヒルバーグって、たしかすごいテントだよね?」
と、知っているでしょう。
しかしその反面、山で使っているのを見るかといえば、あまり多くはありません。
「その日のテント場に2つあることすら珍しい」といった感じです。
なぜでしょう?
登山向きじゃないから?
最強というのはただの伝説?
私が愛用しているテントのうちの1つが、ヒルバーグのソウロという1人用テントです。
登山者の目線で、詳しくレビューします。
最強のテントの正体を知っていただきたいと思います。
目次
テント界のロールスロイス「ヒルバーグ」
ヒルバーグは、スウェーデンのテント専門メーカーです。
現在でも、ほぼエストニアの工場だけで、大量生産せずに作られています。
品質を落とさないために、徹底して目の届く範囲だけで生産しているんですね。
「普通のテント生地の2倍から6倍の引き裂き強度をもつ」ケルロンという独自の素材を使って、これでもかという頑丈さを誇ります。
ダブルウォールテントなのに、一体型で設営が速いというのも特徴の1つです。(詳しくは設営編で)
「テント界のロールスロイス」
と例えられ、憧れている人も多いテントメーカーです。
最強のソロテント「ソウロ」
ヒルバーグのテントの中で(というか世界中のテントの中で)、1人用として最強なのが「ソウロ」です。
「何をもって最強とするか?」
は人によって違うと思うのですが、ここでは、1番堅牢で耐久性があるテントと思ってください。
とにかく、このテントで耐えられない環境だとしたら、おそらく他のどのテントでも同じ運命です。
今回紹介するのは、そういうテントです。
「ソウロ」を登山で使う
私は、ソウロを登山で使っています。
ところが、このソウロを使っているユーザーさんの声、ネットのレビュー記事は、大半がキャンパーです。
登山者目線で語られたものが、案外少ないんですよね。
なにしろ、
「コンパクトだし軽いし、最高です!」
みたいな声が多いのです。
「ウソつけ!」
とは言いませんが、
「あ、キャンパーさんね。だったら納得」
「車で運べて、地上のキャンプ場で過ごすなら、そりゃ最高で当たり前」
と、登山に使うには参考になりません。
他の登山用テントに比べて、決して軽くなく、決してコンパクトでもなく、汗水たらして背負って歩いていく必要がある。
それでも、登山者に向くテントなのでしょうか?
山に持っていく価値があるものなのでしょうか?
この記事を読んでいる人は、きっとそれが知りたいはずです。
ソウロの短所
まず、ソウロの短所について書いていきます。
とにかく重い
最大の欠点は、重いことです。
どんどん軽量化されて、1人用テントなら1.5kgを切る時代に、ソウロは2.4kg(全て込みで)もあります。
私の使っているテントで比較してみます。
メーカー | 名称 | 重さ(ペグまですべて含む) |
モンベル | ステラリッジ2 | 1,430g |
シックスムーンデザイン | ルナーソロ | 680g |
ヒルバーグ | ソウロ | 2,400g |
「軽量化の鬼」「超ド定番」のモンベルステラリッジと比べると、1kg重いですね。
ルナーソロはワンポールシェルターですので、軽くて当たり前、比較するのがおかしいですが。
ソウロなんて、3本ですからね。
かさばる
上の写真は、左からソウロ、ステラリッジ、ルナーソロです。
ステラリッジはパツパツですが、他の2つはガバガバです。
ソウロは、もっと圧縮できて、写真の太さだと長さが半分になります。
カタログの数値ほど大きくないのは、スタッフバッグが大きいからなんです。
国産メーカーは、現地で押し込むのに苦労するようなスタッフバッグばかり。
「小ささ、軽さの数値重視」なんです。
話はそれましたが、事実として、ソウロはやはりステラリッジより大きくかさばります。
同じように圧縮したら、ステラリッジの1.5倍くらいと思ってください。
真夏は暑い
ソウロは、部分的にメッシュにできますが、通気性はよくありません。
それは、一般的なテントは、フライシートの裾には隙間がありますが、ソウロは地面ピッタリまで覆っているからです。
真夏の低山は暑いでしょう。
お値段が高い
かなりお値段が高めです。
ソウロは96,000円もします。
ステラリッジだったら2個は買えそう。
買うのにかなり思い切りが必要ですよね。
ソウロの長所
それでは、たくさんある短所を補う、長所を見ていきましょう。
耐風性は飛び抜けてます
ソウロの最大の長所は、一般的には2本のポールなのに対し、3本使っていることです。
しかも、DAC社という素晴らしいメーカーのポールで、他よりも太い9mmのものを使っています。
はっきり言って、耐風性はずば抜けています。
風の強い大荒れの夜、他のテントがあおられて、夜中に明かりを点けているなかでも、まったく不安感を感じないくらい。
「ああ、大変そうだな。わかるわかる」
自分も他のテントを使用するときは同じ目にあっていますから、辛さがわかります。
設営が速くて簡単
設営編で詳しく書きますが、ヒルバーグのテントは、ダブルウォールです。
それなのに、テント本体とフライシートが一体型になっていて、設営が簡単です。
当然撤収も速いのですが、これは天候の悪い時にとくに助かります。
前室の快適さ
耐風性でも書きましたが、フライシートが地面まで覆っていて、隙間がありません。
これは、前室にほとんど風が吹き込まないことを意味します。
最近の軽量テントは、フライシートを大きく切り込んで軽量化していますが、
「あれって、上からの雨にはいいけど、横風が一緒に来ると、大変だろうな」
と思います。
前室が外部と遮断されていますので、登山靴や調理器具なども安心して置けます。私は他のテントでは、必ずテント内に入れます。北海道ではとくにキツネのいたずらとかもイヤなので。
温かいです
風が吹き込まないということは、イコール、寒い時期には温かいです。
これは、真夏の低山では暑いという短所と表裏一体です。
めったにかぶりません
テント場で他人とかぶることは滅多にありません。
ヒルバーグのテントで・ソウロで・同じ色で・なんて、会ったらコーヒーでも飲みながら話したいくらいです。
あと、これは長所と言えるかわかりませんが、なんか注目されます。
個人的にソウロの「金色のポールむき出し&フックというゴツさ」という格好良さに惚れており、そのおかげだと勝手に想像しています。
かなり大きめのスタッフバッグ
ヒルバーグのスタッフバッグは、どれもかなり大きめです。
「きれいにたたんで、しっかり押し込まないと収まらない」
ということがなくて、
「適当にたたんで、入れておけば勝手にザックの中でつぶれる」
という感じです。
これも設営と撤収の速さにつながっていますね。
登山者にとってのヒルバーグ「ソウロ」
たくさんある短所と長所、私が感じていることは隠さず書いてきました。
あらためて、登山者にとってヒルバーグのソウロとは、どんなテントなのでしょう?
重さと引き換えに安心感を手に入れる
ソウロは、軽量化よりも強さと安全性を重視して作られています。
安全かどうかわからないような、ギリギリまで削り取るような軽量化はしていません。
2.4kgという重さなので、登山者の背中にズッシリときます。
それでも、
「このテント担いでいけば、どんなテント場だろうが天気だろうが、越えられない夜はない」
という安心感はすごいです。
「いざ天気悪かったら、山小屋に逃げ込めばいいや」
という人には、必要ないかもしれません。
正直言えば、テントが多少重くても、担いでみるとたいして変わりがないものです。
おそらく、多くの人にとって、余計な荷物を減らすほうが軽量化になります。
眠れなかった夜がありません
今まで、ソウロを使って、眠れなかった夜はありません。
もちろん、他のテントでも、過ごせなかった夜はありません。
どれだけ暴風だろうが、雨だろうが雪だろうが、よほど失敗しなければ、一晩は耐えられるものです。
ですが、荒れ狂う風でも、
- 揺れが小さく
- 風が吹き込まず
- 音が小さい(これは重要)
という環境になると、眠れてしまうんです。
過ごせるのと眠れるのとは、大違いですよ。
余談ですが、車のロールスロイスは、中に乗るとエンジン音が聞こえず、アナログ時計のカチコチという音が聞こえると本で読んだことがあります。乗ったことはありません。テント界のロールスロイスはいかに?
超重要!使い分けが肝心です
さて、重要なのは、使い分けです。
私も、すべての登山にソウロを持っていくわけではありません。
10kg以下でウルトラライトで行くときは、こんな重いもの持っていけません。(ザックや肩が耐えられない。そんなときはルナーソロ)
じっくり・ゆっくりと山を向き合う時や、天候の変化が読めない長期縦走には、ソウロの出番です。
中途半端な使い方はよくないと思います。
白か黒か?
YESかNOか?
割り切ったうえで、使うべきものだと思います。
こんな人にはソウロが合ってます
読んでいただいて、ヒルバーグのソウロについてわかっていただけたでしょうか?
- 多少重くても担げる元気はある
- どんな夜でも安心して寝れるテントがほしい
- 他人とかぶるのがイヤ
- ソウロの格好良さがたまらない
- 高くても、長く使えるなら大丈夫!
という人は、いつか絶対に欲しくなるでしょう。
山を登って、テント場で時間を過ごす至福のとき・・・。
その時に、何も不安がなく安心できて、自分のお気に入りのテントなら、最高だと思いませんか?
「このテントで山の夜を過ごすんだ」
そのモチベーションの前には、1kg重いなんてヘッチャラです。
ヒルバーグのソウロは、テント場まで持っていってしまえば、欠点がありません。
まさに最強のテントです。
設営方法は別記事にします
さらに詳しい部分を知りたい人は、設営編をどうぞ。