登山ガイドの「裏事情」教えちゃいます【仕事の実際・現実・年収】




こんにちは、寝袋!です。

登山者のみなさんは、登山ガイドになりたいと思ったことはありますか?

まあ、なりたいとは思わなくても、

「登山ガイドさんって、格好いい!」

と思ったことぐらいはあるのではないでしょうか。

イメージとしては、

  • 抜群の体力と技術で登山をリードしてくれる
  • 危険を避けて守ってくれる
  • 登山中も楽しい会話で盛り上げてくれる
  • 花と鳥にも詳しくて勉強になる

という感じで、山のスーパーマンですよね。

でも、登山ガイドというのは、じつはいろいろ苦労も多いのです。

「いつも好きな山を登って、それで生きていけるんだから最高でしょう?」

いやいや、たしかにやりがいのある仕事ですが、そこはそれ、やはり現実というのもあるのです。

登山ガイドの仕事の、本当の姿、現実、理想、収入などの裏話、お教えしましょう。

登山ガイドの基礎知識

まず最初に、登山ガイドという存在について、かんたんに説明しておきます。

資格は必要ない(山岳ガイドをのぞく)

じつは、登山ガイドを名乗るのに資格は必要ありません。

山岳ガイドは、公益社団法人日本山岳ガイド協会の資格が必要です。

「え? 登山ガイドと山岳ガイドって違うの?」

ほとんどの登山者にとっては、そんな知識は必要ありませんから、初耳の人もいるでしょう。

  • 登山ガイド・・・一般的な夏山の登山道をガイドする人
  • 山岳ガイド・・・比較的難易度の高い山やルートをガイドする人

山岳ガイドと呼ばれる人は、ロープを使うような登山やルートをガイドするための人で、グレードが分けられています。

最近の登山ガイドは
ただ、最近は登山ガイドも積極的に資格を取得するようになっています。お客さんに信頼されるためです。

基本的にはフリーランスです

登山ガイド・山岳ガイド(以下、便宜的に登山ガイドと呼ぶ)は、基本的にはフリーランスです。

自分で登山ガイド会社を作ったり、先輩のガイド会社に所属したりはしますが、いわゆる会社努めではありません。

登山ツアー会社、旅行ツアー会社に専属する人もいますが、そういうツアーも、現地の専門登山ガイドと契約することが多いです。

登山ガイドはまさに体ひとつ、「おのれの体力と技術と頭だけが頼り」の一匹狼なんです。

登山ガイドの仕事

ここであらためて、登山ガイドとはどんな仕事をするのかを書いておきましょう。

登山を企画して案内する

登山ガイドは、登山のアイデアを考え、細かい計画を立てて、お客さんを募集します。

「このルートは私にしか行けない」

などというものがあればいいですが、今の日本にそんなところは、ごくごく一部です。

いかに楽しんでもらえるような計画を作るのかが、登山ガイドの腕の見せ所です。

山の魅力を伝える

登山ガイドと一緒に登ることは、お客さんにとってメリットがなければいけません。

「あのガイドさんは、ほんとうに花が詳しいからいいのよね」

「あの人は山の歴史とか教えてくれるから好き」

「あんなイケメンと一緒に山に登れるだけで幸せ」

「あのガイドさんは、難しいところで技術を教えながら行ってくれるからためになる」

なんでもいいのですが、登山者に山を楽しんでもらうことは、イコール、ガイドとしての評価に繋がります。

「山頂にさえ登れればいいんだろ?」

というようなガイドでは、登山が楽しくないですよね。

安全にメンバーを帰す

何より、登山ガイドは登山者を安全に下山させ、家に帰すことが大切です。

そのためなら、厳しいことも言いますし、非難されようとも意志を通します。

これが出来ないガイドは失格です。

登山者のご機嫌うかがいしながら、結果、みんなそろって危険な目にあっては、何にもなりません。

登山ガイドはどこから仕事をもらうのか?

個人で募集

一番基本ですが、個人もしくは個人会社でお客さんを募集します。

ところが、いきなり登山ガイドを始めたところで、お客さんが来ることはありません。

江戸時代のまちなかで、「用心棒致します」と立て札を立てて座っているのと同じ感じでしょうか?

「誰もあなたのことなんか知らんがな」

個人でやっていくのは、ガイドさんの1つの目標かもしれません。

登山ツアー会社

これは登山ガイドとして、運命の分かれ目と言いますか、大きく分かれるところです。

ツアー会社に雇われたり、契約することで、そこから頼まれた仕事をこなすのです。

自分の思うような計画が立てられなかったり、会社と登山者との中間管理職のような仕事もあったり、大変な面があります。

ただ、そこで得た人脈を活かして、後々の活動に結びつけていく人も多いです。

サラリーマンが会社から独立していくのと似てる・・・かな?

現地ガイド団体

「日本の山ならどこでも行けますよ!」

というガイドと違って、狭い地域に限定したガイドさんもいます。

そういう人は、現地のガイド団体を通じて、仕事をもらうこともあります。

「今度、◯◯山と△△岳を縦走したいという人が、ガイド探してるって連絡が来たんだけど、あなたは日程あいてる?」

という感じです。

ちなみにこういうガイドさんは、その地域の専門家でもありますので、とても安心感があります。

先輩や仲間のガイド

先輩や仲間のガイドに、仕事を回してもらう場合もあります。

「いくつかお客さんの日程がかぶっちゃったんだけど、こっちの◯◯岳のほう、お願いできない?」

という感じです。

この場合は、ガイドのレベルやお客さんの好みなどを考慮して依頼してくる場合が多いので、ガイドと登山者両方にとって良い出会いになる割合が高いかもしれません。

上で書いたどれもそうなのですが、結局はいろいろな方法でガイド業をしつつ、登山者との人間関係や団体との関係を深めていくことになります。

登山ガイド「じつはこういう仕事もあります」

これはネパールのポーターさんたち。エベレスト街道にはたくさんいます

登山ガイドには、他にも補佐的な仕事が入ることがあります。

ポーターやテントキーパー

これは、北海道などの山小屋がない地域でよくある仕事です。

山小屋がないということは、食事の世話もすることになるのですが、当然食材というのは重いです。

また、テントも大きくなり、数も増えますので、ポーター(荷物運び)として依頼されることもあります。

これは、ちょうど仕事のないガイドが同行する場合が多いのです。

ガイド側の立場からすると、

  • 空いた時間に、ただ荷物担いで山登って、お金もらえるなら最高だ
  • 他のガイドの仕事も見て勉強できるし、お客さんと繋がりができるチャンス

という、案外良い仕事だったりします。

もともと登山が好きで仕方がない人たちですから、荷物が重かろうが、楽しいのです。

学者や団体の調査に同行する

大学教授や自然団体などが、山へ調査に入ることがあります。

高山植物の分布調査、雪の量の調査、高山帯の動物の調査などです。

その調査に同行をお願いされ、山を案内する仕事というのがあります。

ボーナスステージ
はっきりいって、かなり楽な仕事です(笑)
同じような場所に停滞して調査することが多いですし、危険な場所も少ないです。
さらに、そういう学者さんたちは身の回りのことがすべて出来る人が多いので、世話もいりません。そして、比較的長期間でまとまった収入もゲット!

登山ガイドの実態

海外ガイドツアーでは定番のエベレストベースキャンプ

それでは、登山ガイドという人たちについて、私感を交えて実態に迫っていきましょう。

ガイドがみんな優れているわけじゃない

正直言って、ガイド業をやっている人間がみんな優れているわけではありません。

山で見かけて、

「おいおい、適当なこと言ってるんじゃないよ」

「この人、話は楽しいけど、山はイマイチだな」

と思うこともよくあります。

私感「個人でやっているガイドはいい登山者」

3人程度を1人で率いているような登山ガイドさん、私感ですが、私は「ハズレが少ないな」と思っています。

ガイドとして自立していて、ピシッとしています。

あるガイドさん
ある小屋で、消灯後になかなか寝付けない人がいました。

何度も寝返りをうち、そのたびに「うーん」「はあ・・・」と苦しそうな声を。

そこで引率のガイドさんが、

「何度も寝返りしない。他の人に迷惑。寝れなくてもいいと思って、じっと目をつぶっていなさい。それだけでも体は休まるから」

と静かにおっしゃった。

私は、暗闇の中でその声を聴いていて、素晴らしいと思いました。

お客さんに厳しく出来る人は、なかなかいません。

北アルプスの山小屋で、客よりも酔っ払って大声で騒いでるガイドをみたことありますが、そういう輩は良いガイドどころか、良い登山者でもありません。

ガイドで登山の内容が変わる

同じ山へ出かけても、ガイドによって内容は変わってしまうものです。

例えば、ツアー会社がやっている同じツアーでも、ガイドによって満足度には大きな差が出ます。

ですから、ガイド登山を利用する登山者さんは、

「自分にあっているガイドさんに出会ったら、そのガイドさんの登山にしか参加しない」

という人もいて、いわゆるリピーターさんになるのです。

上の方で、駆け出しのガイドは個人ではお客が集まらないと話しましたが、ツアーや先輩の登山に同行することによって、そういう登山者との出会いを待っているのです。

収入は人それぞれ

登山ガイドの収入は、正直、人によって全然違います。

本業でやっているか、副業でやっているかでも違いますし、個人なのか雇われなのかでも違いますしね。

平均すると、1日あたり3万円以上は収入がありますが、日数が問題ですね。

以前、名古屋から北海道へフェリーで来られた、ガイドさんとお客さん1名と知り合いました。

なんと旅の行程1ヶ月。その間ずっと2人旅です。

交通費や宿泊費などは、当然そのお客さん1人でガイドの分も払うわけです。

「いったいいくらぐらい掛かるんだろう?」

と、思わずお財布事情を気にしたことがありました。

お客さんにとっても、登山ガイドにしても、お互いかなり「大切な相手」なんでしょうね。

年収にすると、「会社員と同等が精一杯」な人が大半だと思います。

ただ、やはりそこは山好きですから、お金ももらえて山に登れることが、魅力に感じている人ばかりです。

実は副業がある人は多い

さらに、じつは登山ガイドには、副業がある人が多いです。(私もこれ)

「山ばかり行ってて、他に仕事もってて、成り立つの?」

と思われるかもしれません。

私のように、かなり数を限って(本業の宿泊業をおろそかに出来ない)営業している人もいます。

また、知り合いでは、建築事務所をやっていて、夏はずっとガイド業(お金は2の次)という人もいます。

また、冬季などの閑散期はやらない人、逆に冬季のみの専門家もいます。

登山ガイドは理想の登山者であるべき

登山ガイドについていろいろと書いてきましたが、どうでしたか?

登山者にとって身近なようで、意外と知らないこともあったのではないでしょうか?

さて、ガイドする山のグレードや、個人、会社、資格に関わらず、私が登山ガイドに対して思うことがあります。

登山ガイドは、すべての登山者のお手本であるべきです。

登山者が気づいていないマナー違反を指摘して、正しいことを教えてあげる。

危険につながるような行動は、正しいことを教えてあげる。

これは、自分が引率しているかどうかに関わらず、登山者誰に対してでもです。

昔、学校の先生が、子どもたちにも親にも、みんなの「先生」だったように。

自分がガイドだから、山に詳しいからと大きな顔をしたり、偉そうにするのはダメです。

登山ガイドが一番迷惑で、お客さんや添乗員が後始末する・・・ありえないでしょ?

登山ガイドは、山小屋の主人と同じく、アルピニズムを体現した存在であってほしいと思います。

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