こんにちは、寝袋!です。
ヒートテックと登山について、ときどき質問を受けます。
「ヒートテックで登山したら、ダメなの?」
「暖かいから、いいんじゃないの?」
という質問ならまだわかります。
まだあまり山も登っていない初心者が、疑問に思ったことを、素直に言葉にしているだけでしょうから。
しかし、なかには、
「かなり、速乾性も改良されているみたいだけど?」
などと、登山のウェアに求められる機能を、ちゃんと理解しているような人も言ってくるのです。
いやいや、違うでしょ?
速乾性がどうのって、本題からズレてますよ?
ヒートテックが登山でダメな理由って、そこじゃないです。
ヒートテックって?
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ヒートテックは、ユニクロが販売しているインナーウェアです。
人が出す汗(水蒸気)を繊維が吸収し、繊維自体が発熱して、体を温めることができます。
私も、日常生活ではヒートテックが手放せません。
北海道の冬では、着ない日がないくらい愛用しています。
ヒートテックの欠点
さて、ヒートテックは、とても暖かいので、
「寒い季節だと、山へ着ていけば、いいんじゃない?」
と考える人が出てきました。
まともな登山者なら、笑って否定するような笑い話です。
「ハハハ、ヒートテックなんてダメだって!」
よくわからない初心者は、疑問に思います。
「どうして?」
ここで、多くの登山者は、考えた上でこう答えます。
「ヒートテックは、早く乾かないんだよね。登山では、汗で濡れるのが一番危ないから」
そう、ヒートテックの素材であるレーヨンは、吸湿速乾性が弱点です。
登山のような運動には、まったく不向きです。
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エベレスト登らせてみた
ユニクロは、その世間の議論を知ってか知らずか、こういう手を使いました。
『見栄えの良いどこかの女性にヒートテックを着せて、エベレストに登らせた』
のです。
しかし、その女性登山者は、自分の身を守るために、
『ヒートテックの下にミレーの「ドライナミックメッシュ」を着込んでいた』
のでした。
言わなきゃいいのに、ヒートテックの弱点を、広告塔がバラしてしまうという皮肉。
結果的に、ユニクロの広告塔としてより、ミレーの評価を上げただけでした。
さらにユニクロは、最近は必死に速乾性をアピールするようになってきました。
しかしここで、もう一度よく考えてみましょう。
理想の登山ウェアがあるとしたら
そもそも、登山ウェアを考える上で、理想はどういうものでしょう?
体温調整という視点で考えれば、
「動いている時は涼しく、止まっている時には暖かい」
ものです。
運動してどんどん体がヒートアップしているとき、
暑くて暑くてどうしようもないときに、
熱を放出してくれる
ものがいいのです。
そして、もし可能ならばですが、止まっているとき(汗をかいていない時)に熱を発生してくれれば文句なしです。
もう、おわかりでしょう?
運動して汗をかいている時に、その汗でさらにどんどん発熱していく。
ヒートテックは、理想と正反対な登山ウェアなのです!
速乾性とか、そういう問題じゃないのです。
- 発熱してほしくないのに発熱して、
- そのせいで出てしまった汗を
- 「速乾します!」(しているかどうかは別として)
なんて、おかしいでしょ?
ただ、着なければ済むことなのです。
レストランで、注文していない肉料理をサービスで出されて、
「今、ダイエットしてるから遠慮します」
と言うと、
「これで脂肪の吸収を抑えてくれますから大丈夫!」
と、黒烏龍茶を出されたようなものです。
肉料理を下げてくれるだけでいいから・・・。
永遠にヒートテックが登山に向かない理由
「ヒートテックは永遠に登山には使えません」
それはずばり、ヒートテックだからです。
熱を発生するというコンセプト自体が、登山に向かないのです。
ヒートテックが登山で危険じゃなくなるのは、ヒートテックが熱を発生しなくなったときです。
速乾性の改良だとか、そんなことに誤魔化されないようにしましょう。
登山には登山用の、ちゃんとしたベースレイヤーがあります。
安全に山に登りましょう。
ユニクロのおかげで評価を上げた「ミレーのアミアミ」こと、ドライナミックメッシュです。
ヒートテックでかいた汗から体を守るとは、恐るべきドライレイヤーですね。