こんにちは、寝袋!です。
みなさん、リングワンダリングって経験したことありますか?
視界が奪われた時に、真っすぐ進んでいるつもりなのに曲がってしまって、
いつの間にやら、円を描いてグルグルしてる
という、あれです。
私はまだ経験したことはないのですが、
「どうしてそんなことになってしまうの?」
と、不思議に思ったので、ちょっと実験してみました。
目次
リングワンダリングとは
輪形彷徨(りんけいほうこう)、環形彷徨(かんけいほうこう)は、人が方向感覚を失い、無意識の内に円を描くように同一地点を彷徨い歩く事を言う。
ランドマークが無いなど目的物が目に見えない時、視界を奪われた時、方向感官を地理的条件以外で失った時、この現象は加速される。
私は勘違いしてました
実は私、今回調べるまで「リングワンデリング」と読んでいました。
wikiが正しいとすると、英語とドイツ語の読みが、混ざってしまっています。
リングワンダリング=視界が奪われる+歩行が曲がる
リングワンダリングは、
- 視界が奪われて方向感覚がなくなる
- まっすぐ歩けずに曲がる
ことがかさなって、起きてしまうようです。
では、それぞれの原因を考えてみます。
視界が奪われる原因
登山していて、視界が奪われる原因を考えてみました。
- 吹雪
- 闇
- 霧
- メガネの紛失故障
- 目の負傷
- 広い樹林帯
以上でしょうか?
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/01/OVRB2786.jpg)
霧が出てもルートが見えていれば問題ないが
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/01/OVR71757.jpg)
雪と霧で真っ白な広い台地。慎重に。
霧や闇などに襲われても、ルートや踏み跡が見えていれば、迷う危険は少ないと思います。
ルートが見えない場合、例えば「雪原で霧」とか「雪原で吹雪」となると、慎重な行動が求められるでしょう。
歩行が曲がる原因
でも、
「真っ直ぐ歩くなんて、子供でも出来るわ!」
と思いませんか? 私もそう思っていました。
ところが、
- 利き足の違い
- 体のバランスの曲がり
- ケガ
- 歩き方の癖
で、案外まっすぐ歩けないものなのです。
そしてさらに深みにはまる
視界を奪われて歩いていて、リングワンダリングに陥ったとします。
すると、一周して前方に自分の足跡(トレース)を見つけるかもしれません。
「よしっ、あとはこのトレースをたどれば大丈夫だ!」
と、まさかそれが自分の足跡とは思わず、安心してグルグル回ることになるのです。
私は冬山で、先行者のアイゼンやスノーシューの形を、確認するようにしています。
でも、自分の足跡って、知らない人が多くないですか?
実証実験の方法
ちょうど手頃な雪原を見つけたので、実験してみました。
吹雪のときにやりたくないので、
積雪:5cm~20cm
帽子を下ろして視界をなくし、まっすぐ歩いてみる。
振り返ってトレースを撮影する。
という方法で、擬似的に視界のない状況を作り出しました。
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/01/OVRD0887.jpg)
積雪した畑
実験結果
それでは、実験結果をみてみましょう。
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/01/OVRD0889.jpg)
1回目
目を開けてビックリしました!
え? こんなに右に曲がってるの?
信じられないので2回目。
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/01/OVRD0890.jpg)
2回目
やや慎重になったのか、1回目よりはまっすぐに見えます。
しかし、ゆるやかに右に曲がって歩いて来ているのがわかると思います。
もう一度やってみます。
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/01/OVRD0891.jpg)
3回目
おっと、3回目は、また大きく曲がってしまいました。
やっぱり右に曲がってきています。
3回のトレースを比較してみると、違いがわかると思うので見てください。
1回目と3回目は、じつはやや積雪の多いところを通過しています。
歩いていても、何回かズボッと深くハマりました。
そういう時に、一気に方向感覚が奪われるようです。
山ではこれに傾斜が加わったり、多少の登り下りが加わってくるでしょう。
そうすると・・・考えただけでゾッとしました。
念の為、4回目に目を開けて、目標が見える状態で歩いてみました。
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/01/OVRD0892.jpg)
4回目。視界あり。
多少ぶれながらではありますが、小刻みに修正して、だいたい真っ直ぐに歩けたようです。
やはり視界のあるなしって、大きな違いなんですね。
私はどうやら、
右へ曲がって歩いてしまう癖
があることがわかりました。
最後に
![](https://nebukurou.com/wp-content/uploads/2019/01/OVR71207.jpg)
コンパスは必携
実験前は自信があったのですが、無残にも砕け散ってしまいました。
私は「真っ直ぐ歩けない人間」だったのか!
私は、必ずGPS端末でログを記録しつつ、コンパスと地図も併用しています。
幸運にも、リングワンダリングの経験はありません。
しかし、なんらかの原因でそれらが失われた時、私はリングワンダリングしてしまうでしょう。
過去、何度か吹雪で視界がない状態になり、ゾッとした瞬間がありました。
ほんの少し先に、遭難は迫っていたのかもしれません。
それではみなさん、安全に登山を楽しみましょう。お互いに。
視界のない時、最後の砦はGPSです。スマホ全盛ですが、私は必ず持っていきます。
リングワンダリングで有名な事故が「八甲田山」です。映画は有名ですが、史実とは違うところも多く、このドキュメントがかなり事実に迫っています。