こんにちは、寝袋!です。
登山で使う用語で「スプーンカット」というものがありますが、聞いたことありますか?
「雪渓歩きは、スプーンカットに足を置いて歩くといいよ」
という使い方をします。
スプーンカットはどんなものなのか、説明します。
また、スプーンカットは歩きやすさばかりが強調されますが、実は滑落の危険も潜んでいるんですよ。
初心者のかたは言葉の意味と、あわせて「スプーンカットに潜む危険」についても知ってください。
目次
スプーンカット?

スプーンでカット?
スプーンカットというからには「スプーンですくう」みたいなことを思い浮かべます。
プリンとか、スイカとか?
じつは「当たらずも遠からず」で、スプーンですくったあとに出来る模様のことなんですね。

上の写真は木材の加工の1つで、これもスプーンカットといいます。
なんだかとっても手間がかかりそうな加工ですね。
さて、コレと同じようなもの、山で観たことがありませんか?
そう、雪渓の上ですね!
登山のスプーンカットは雪渓の上に

春から秋にかけて、雪渓の上で観られるデコボコが、スプーンカットです。
冬の間に降り積もった雪が、春の暖かさに日中融けて、夜にまた凍るということを繰り返すと、こういうふうに、
スプーンでえぐり取ったようなデコボコ
になるんです。

足跡とスプーンカットの違いがわかりますよね?
スプーンカットは、一瞬、誰かが歩いた足跡のように見えることがあります。
でも、よーく見れば、
「こんな小さな(大きな)足跡はないな」
とわかると思います。
雪面全体に広がっていることからもわかりますね。

こんなに深いスプーンカットも
スプーンカットは、地形や季節によって、その形を変えます。
上の写真は、北アルプス剱岳(つるぎだけ)にある剣沢(つるぎさわ)の雪渓です。
季節は秋、まもなく雪が降るというのに、こんなに雪が残っているんですが、スプーンカットもかなり深いですね。
「自然の力ってすごいなあ」
と感じます。
スプーンカットは歩きやすい

下手な絵ですみません
さて、スプーンカットについて、よく言われることがあります。
「雪渓を歩くときは、スプーンカットに足を置くと歩きやすい」
ということです。
上の絵を見ていただければわかると思うのですが、スプーンカットの断面は階段のようになっています。
斜面に足を置くよりも、スプーンカットのなるべく平らなところに足を置いたほうが、滑りにくいのがわかります。
実際、とても歩きやすいので、スプーンカットをよく見て足の置き場を考え、登っていただければいいと思います。
スプーンカットが危険なパターン
ただし、
スプーンカットが歩きやすいからこそ潜んでいる危険
が実はあります。
経験者は知っていることなんですが、初級者のひとが、
「スプーンカット利用すれば余裕だな!」
などと思ってスイスイ登っていくと、ちょっと怖い思いをするかもしれません。
危険その1【急斜面】

スプーンカットは均一じゃない
急斜面を登って(下って)いく時に、最初のうちはスプーンカットが歩きやすくても、変化する場合があります。
はじめは安定して足を置けていたのに、上の方で平らなところがなくなったら、身動きとれなくなってしまいます。
アイゼンを付ければいいのですが、初級者の方がそんな斜面でザックを下ろし、アイゼンを付けられるでしょうか?
ザックも自分も滑り落ちていく~。
危険その2【じつはツルツル】

じつは固くてツルッツル
スプーンカットは、何度も融けて凍ってを繰り返していると書きました。
つまりスプーンカットは、雪渓なんですが、氷みたいなものです。
上の写真の斜面は、夏の早朝なんですが、カッチカチのツルッツルなんですよ。
しかも、太陽が当たると、表面が融けてすぐに濡れてきます。
「うひゃー、考えただけで怖い」
初級者はアイゼン!
初級者や自信のない人は「最初から(軽)アイゼンを付けて」、雪渓を登り始めるようにしましょう。
何回か経験するうちに、カチカチ具合とか、斜面の感じとか、予想できるようになってきますので、それまでは安全第一です。
スプーンカットは、春以降の雪渓の上に出来る、デコボコ模様のこと。
スプーンカットは歩きやすい。
ただし、歩きやすいからこそ、注意するべき危険もある。
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