こんにちは、寝袋!です。
登山経験を積んできて、今では登山ガイドをしている私ですが、
「初心者の頃の自分に、これを教えてあげたい」
と思うことがたくさんあります。
それらを、当時の私の気持ちを振り返りながら、まとめていきます。
金言その5、
「登山スタイルは迷走してOK。いろいろやってみよう」
というお話です。
目次
私が初心者の頃から歩んだ登山スタイルの変化
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登山には、さまざまなスタイルがあります。
「山登り」とひとことで言っても、目的や楽しみ方は千差万別です。
そしてさらに、沢登りやクライミングといった、いわゆる「山登り」とは違った世界もあります。
私が初めて山に登ったときから、今までにやってみた登山スタイルを順を追って並べてみます。
まさに、右往左往で迷走を繰り返しました。
ただ登る
最初の頃は、登山に関しては何もわかりませんでしたから、
「ただ目の前の山を、黙って登るのみ」
でした。
こう、文字で書くと、なんだか格好良く見えてしまいますね。
実際は、ただ山頂だけを目指して、周りを観る余裕もなく、
「登れるかな? どうかな?」
と、そのことだけ考えていました。
誰もが最初はこうだと思います。
山頂で美味しいものを食べる
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そのうちに、
「どうせなら、山頂で美味しいもの食べたい! いつもオニギリじゃつまらない!」
と思うようになってきました。
他の方々がお湯を沸かして、カップラーメンやコーヒーをすする姿が、とてもうらやましかったのです。
ガスストーブとクッカーを買って、ザックに忍ばせるようになりました。
冷たいオニギリではない、あの温かいラーメンの美味しさに感激しました。
時々は、凝った料理を作ることもありました。
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写真を撮る
山へ行くときはカメラを持っていましたが、小さな安物のデジカメでしたから、イマイチ写りが悪かったです。
「ほら、見て。こんなきれいな場所だったんだよ」
帰ってきて、意気込んで誰かに見せても、
「へー」
という反応でした。
自分で見ても、
「あれ? こんな感じじゃなかったんだけどなあ。もっと景色に奥行きがあって・・・」
とガッカリした気分でした。
それからデジタル一眼レフを買ったり、写真のことを勉強したりしました。
なんとか私の腕でも、多少はマシな写真を持ち帰ってくることができました。
景色や花や星空など、山には魅力的な被写体が限りありません。
カメラを持たずに山へ行くことは、考えられなくなりました。
テント泊こそすべて
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次に考えたのは、
「せっかく山に登って、ちょっと山頂にいて、すぐに下山ってもったいない」
ということです。
「山の上でテント張れば、もっと楽しめるな!」
と、テント泊登山に手を出していきました。
山の上で一晩を過ごすと、
夕暮れと星空と朝陽を、山の上で見れる
という特典があります。
重い荷物を背負って行く苦労はありますが、その見返りは魅力的すぎました。
そのうちに、
日帰り可能な山でも、あえて一泊
とすら考えるようになりました。
テント泊を始めると、買い揃える道具は飛躍的に増えて、そのぶん楽しみも増えました。
比例して財布はどんどん軽くなりましたが。
長期縦走こそすべて
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テント泊で山の夜に慣れてくると、今まで不可能だったロングルートが選択肢に加わってきます。
2泊、3泊、4泊と、どんどん山の上で過ごす時間が増えていきましたね。
こう聞くと、大変なことのように思われるかもしれません。
でも、キツイ登りは初日が多くて、あとは水平移動の時間も長いので、縦走には楽な面もあるんです。
重い荷物を背負って歩くので、違う苦労はありますが。
そのうち、
「一度登ったら、なるべく長く山の上に滞在したい」
と考えるようになりました。
この頃の私は(今でも同じですが)、
「日帰り登山するなんて、スゴイ根性ありますね。私には出来ないなあ」
と本気で語っていましたね。
持てるものはすべて持つ
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体力も余裕がありましたので、どんどん荷物は増えていきました。
「山の上で、あったら楽しいだろうな」
と思うものを、次々と装備に加えていきました。
双眼鏡、ノート、カメラのレンズ多数、コーヒーミル、焚き木、本、お酒などなど。
「こんなことやったら楽しいだろう」
と思うことを、次々と試してみました。
ふくれあがるザック、買って1回しか使わないアイテムたち。
もったいないことをしていました。
ウルトラライトで
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そのうち、体力も落ちてきたせいもあったためか、装備の軽量化にはまった時期もありました。
速く歩くためではなくて、楽に長距離を移動するためです。
時間と体力が余れば、他の楽しみに費やす余裕が生まれてくることを知ったのでした。
ここでも、私はけっこうなお金を投入しました。
それこそ、一から十まで、すべての装備を軽量なものに変更したのです。
はまると徹底的にやってみたい性格なのです。
一番軽いときで、水以外で8キロの装備で、北アルプスを1週間テント泊で行けるようになりました。
とっても軽快でした。
日帰り装備に毛が生えたような重さで、ほんとうに縦走できたときは嬉しかったです。
その後、かなり厳しい状況にさらされた経験から、完全なウルトラライトはやめました。
現在はこのスタイル
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それでは、今現在の私の登山スタイルはというと、
- 食べるものは簡素
- 重装備とウルトラライトの中間
- お酒はもたない
- テント泊長期縦走メイン
- 写真撮影は欠かせない
といった感じが多いです。
カッチリ決まっているわけではなく、行く時と場所によって変えますが、だいたいこのようになりました。
もう使わない道具も、たくさん部屋に眠っています。
「誰か、安くていいから買ってくれないかな?」
と思いつつ、
「そのうちまた気分が変わって、使うかもしれない」
という気持ちがあって、断捨離出来ません。
私の迷走っぷり
好奇心に誘われて、いろいろなことを試してきました。
確固としたスタイルはないですし、無駄なものも多いですし、かなり迷走してきたのはわかっています。
「誰もが通りそうな道」のような気もしますが、はたしてどうなのでしょう?
個人的に、
「徹底したウルトラライトは余計だったな」
「かなり無駄遣いだったな」
と、一番反省しています。
私があとで気付いたこと
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右往左往するのは失敗?
それでは、これから登山の世界を広げていこうとしているみなさんに、
「確固たる自分の登山スタイルを見つけて、まっしぐらに楽しんでください!」
と言いたいかというと、そうではありません。
私は猛烈に反省しつつ、
「無駄になったことも多かったけど、やったからこそわかったことが多かった」
と感じているのです。
あのまま興味をもちつつ実行しなかったら、今もどこかで、その想いはくすぶっていたと思うのです。
次に、私が興味のままに実行してみた、ひとつの失敗談をお話します。
私の失敗談「冬山で焚き火実験」
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私は山で焚き火をしたくなりました。
ただし、山ではかなり慎重に、場所を選ぶ必要があります。
国立公園では焚き火など厳禁ですし、それ以外でも、お花や緑にダメージを与えたくはありません。
私が思いついた場所は、冬山でした。
すべてが雪の下に埋もれている冬山ならば、焚き火はOKだと判断しました。
冬山では、うまく薪(まき)が手に入るかどうかわかりません、
そこで、ザックに薪をしばりつけて、
「おじいさんは山へ柴刈りに」
といった感じで山に入っていったのです。
1,300mほどの北海道の低山に、軽めの薪をもって入りました。
テントを設営し、そのテントから多少距離をおいて、焚き火を起こしたのです。
「焚き火で暖をとって、豪快に極太ウインナーを焼くぞ」
というのが未来予想図でした。
ところが、その日はあいにく強風で、火の着いた薪から、火の粉が飛び散りました。
風は渦を巻き、テントの方へ飛んでいくものもあるのです。
「これは、やばい!」
と、そのときになって気付きました。
下手すると、冬の山奥でテントが萌えてしまう!
焦って火を消し、テントに撤収したのです。
1本だけソーセージを食べましたが、表面だけ焦げて、中は生でした。
でも、いい経験だった!
浅はかだったところ、危なかったところは反省するべきですが、あの夜はとても記憶に残っています。
- 薪を持って歩くという高揚感(?)
- 苦労して着火
- 焦げて美味しくなかったソーセージ
- 焦った消火
仮に成功していたとして、その後も焚き火を続けたかどうかは不明です。
たぶん、やらなかったと思います。
でも、とても楽しかったのでした。
登山ガイドからのアドバイス
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登山に初めて出かけて、
「楽しい!自分に合ってる!」
と感じた人は、それからどんどん山の楽しみを見つけていくと思います。
お花に興味をもって、お花目当てに山を選ぶ人もいるでしょう。
より危険でスリリングなルートに、挑みたくなる人もいるでしょう。
あなたがどれに興味をもつかは、あなたでもわかりません。
最初から1つのものを目指す人はいませんし、目指すことは不可能です。
だって、全部を知らないんですから!
ぜひ、興味をもったことに、どんどん挑戦してください。
実行してください。
無駄になる装備、お金、手痛い失敗はあるでしょう。
「あれにつかったお金、今あればなあ」
と後悔すること、貧乏人の私はしょっちゅうです。
でも、それでも言います。
「右往左往、迷走して、初めて本当にやりたい山登りが見えてくる」
答えは誰も知らないんです。
右往左往して当たり前なんですよ。
あなたのこれからの登山に、少しでも参考になれば幸いです。
こちらもどうぞ
かなりの登山経験を積んだ今になって、初心者の頃を振り返って思います。
「あの頃、これを知っていたら・・・」
登山について、お金も時間も無駄にしてきた私ですが、
「これから誰かの役に立てば、無駄じゃなかった」
と思えます。
初心者・初級者が同じ思いをしないために、恥を捨てて書きまくります。
最初から読んでみてください。
お役に立てれば幸いです。