こんにちは、寝袋!です。
登山の入門書などを読むと、
山での正しい歩き方
について、こと細かく書いてあります。
小股でチョコチョコ歩くとか、フラットフッティングとか、いろいろ。
それらを知ることは、とても重要です。
でも、
だめな人はいつまでたっても、なかなか身につかない
ものなんですよね。
ここでは、ちょっと違った視点で、
どうやったら、正しい歩き方が身につくのか?
をお話します。
大学山岳部では、細かく歩き方なんて教えませんが、新入生もあっというまに、素晴らしい歩き方を身につけます。
運動音痴でも関係なし!
やってみなさいとは言えない方法ですが、効果は抜群です。
大学山岳部の秘密、解説します。
大学山岳部の恐るべき春合宿
昔、本格的に登山を学ぼうとすると、山岳部が一番身近だった時代がありました。
「山をやりたい」
と、自分の意志で山岳部に入る人もいれば、なりゆきで入る人など、さまざまでした。
「登山をやってみたいけど、なにも知りません」
そういう人間も、たくさんいたのです。
大学山岳部というのは、そんな初心者に、順を追って教えていくような、そんな生ぬるい社会ではありません。(今は知りません)
「一気に奈落の底に落とし、一回目にして、山というものをわからせる」
それが、大学山岳部の入部直後に行われる、春の合宿です。
この荷物、誰が持つんですか? お前だ!
右も左もわからないまま、どこかの山に連れて行かれます。
新入生それぞれの前に置かれた、荷物満載(むしろはみ出る勢い)の巨大なザック。
「こんなデカイ荷物、誰が山へ持っていくんだろう?」
もしかして?
「さあ、お前らこれを背負え!」
うそでしょ?
どうやって歩けばいいんですか?
春合宿というのは、残雪期の山を選んで行われます。
アイゼンなども使いますが、雪は腐って重い雪で、それほど危険はありません。
ただ、ズボズボと足が埋まってとても歩きにくく、体力を奪っていきます。
「一歩一歩小さく歩け! 爪先入れろ!」
ぐらいは教えられますが、あとは、
「気合だせよ!」
という言葉しか飛んできません。
どうやって歩けばいいんですか?
もうこのまま、滑って下まで逃げて帰りたい。
誰もがそう思っていたであろう、それが「大学山岳部春合宿」というイベントなのです。
結論
さて、
「そのことと正しい歩き方の習得って、なんのつながりが?」
と思いますよね。
じつは、深いつながりがあります。
体力のない人間(新入生)が、重い荷物を背負って山を登るためには、
正しい歩き方をしないと、そもそも歩けない
のです。
正しい歩き方を知らなくても、正しい歩き方にたどり着かないと、前へ進めません。
軽い荷物ならば、若者ですから、無理矢理でもなんとかなります。
多少我流の歩き方だろうが、効率的でなかろうが、登れてしまうのです。
そうやっていると、
いつの間にか「間違った歩き方」が身についてしまう
のです。
前へ進める歩き方=正しい歩き方
本当に無茶なやり方で、現代風ではありませんが、あれはあれで
正しい歩き方への最短ルート
なのかもしれません。
以前、歩荷さん(ぼっか。山小屋などへ巨大な荷物を背負って上げる人)とお話させていただきました。
あの方たちも、いきなり実戦に投入され、現場でノウハウを体得するそうです。似ているやりかたですね。
初心者のみなさんへ
今回のお話で、何も、
「重い荷物を背負って山へ登れ」
と言いたいわけではありません。
私には、今、山で観ていて思うことがあるのです。
若い登山者のみなさんは、私のような中年より、体力があって無理がききます。
私はもう、20代のときのようには登れません。
悲しいけど、トレーニングしていても、せいぜい現状維持が精一杯です。
でも、若い初心者よりも、長いルートを速く歩けるかもしれません。
それは、効率的な正しい歩き方を身につけているからです。
「もし、若い初心者が、正しい歩き方をしていたら、全然かなわないのにな」
と、もったいなく思うのです。
これからも長く登山を楽しむために、早いうちに、正しい歩き方を身につけてください。
重い荷物を背負ってみるもよし、一歩一歩、意識してやってみるのもいいでしょう。
正しい歩き方は、効率が良いだけではありません。
安定していてフラつかないことで、安全でもあります。
しかも、一度身につけてしまえば、
「正しい歩き方」という武器は、これからもずっと、あなたの手にあるものです。